40代・50代が、年齢を味方に・武器に転職する切り口

40代、50代のミドルシニアにとって、年齢は「ネガティブ要素」と捉えていらっしゃる向きがあると思います。もちろん、一般的には40代以上の方々にとって、実際のところ年齢が足切り要件となってしまっている案件は非常に多いことを、転職活動されていらっしゃるミドルやシニアの皆さんは肌で感じていらっしゃることでしょう。

しかし一方では、キャリアカーバーユーザーのエグゼクティブ各位には年齢を強みとして、前向きな切り口とする方も多く存在しています。「年齢を味方にする、武器にする」代表的な切り口をご紹介します。

40代、50代のミドルシニアにとって、年齢は「ネガティブ要素」と捉えていらっしゃる向きがあると思います。もちろん、一般的には40代以上の方々にとって、実際のところ年齢が足切り要件となってしまっている案件は非常に多いことを、転職活動されていらっしゃるミドルやシニアの皆さんは肌で感じていらっしゃることでしょう。

しかし一方では、キャリアカーバーユーザーのエグゼクティブ各位には年齢を強みとして、前向きな切り口とする方も多く存在しています。「年齢を味方にする、武器にする」代表的な切り口をご紹介します。

「40代は、若い」と思え!

まず、嘘偽りのない事実から。マネジメントポジション、エグゼクティブポジションにおいては、40代は「若い」「旬」な年齢です。
採用側の経営者、企業からすれば、キャリアカーバーに登録されていらっしゃる40代幹部人材は、これまでその方なりの職務経験を積み重ねてこられながら、相応の組織責任を負っており、更にいよいよこれからより重責を担っていくべき「買い時」の世代の人材なのです。

今、日本人の中位年齢は何歳か、ご存知でしょうか?

「48.9歳」です(2020年の中位年齢)。
事実として、40代のほとんどは、日本人の平均年齢より若いのです。

人材業界に身を置いてきた感覚として、10数年前(2000年代)に比べて少なくとも5歳、下手をすると10歳近く、世代感覚は若返っていると思います。要するに、いまの40代は、少し前までの30代と同じような世代感覚が経営者や企業決裁者にはある訳です。
それなのに、40代の一定割合の方々は、一昔前の40代のイメージに囚われ、既に<黄昏れ>てしまっている印象もあり、これは危険だなと感じます。

40代の皆さんは、こうした事実を踏まえて、更に今後の伸びシロ、ご自身の今後のビジョンとパッションをアピールしてください。その展望や気概をお持ちであるか否かこそが、分かれ目なのです。
ご自身が40代で、転職活動においてなぜか年齢制限を感じるとすれば、それはあなた自身が勝手に老け込んでいるからかもしれませんよ。

50代は「実績に基づく安定感、安心感」オーラを!

では、50代はどうか? 経営者、企業がこの世代に求めることは、自社にもたらしてくれる「安定感、安心感」です。
「この人に、この部隊を任せておけば安心だ」「うまく切り盛りしてくれるに違いない」「なんとかテコ入れしてくれるだろう」「後進を育成してくれると期待している」、このように思える50代のマネジメント、エグゼクティブ各位を招聘したいのです。

一方では柔軟性やグッドコミュニケーターである(押し出しが強いというよりも、傾聴型であったり、飾らない、偉ぶらない、誰に対しても等しくフランクであるというような)ということも50代には非常に大事だと感じますが、まず何よりも、ご自身の職務専門性の部分で、しっかりとした実績や知見、幅広い関連人脈を持っているといった<仕事力の安定感、安心感>があることに尽きます。

あたふたと転職活動するのではなく、自然体で、ゆったり構えた、ご実績からくる安定感、安心感を、ファクトベースでしっかり応募先企業に伝える。これが50代エグゼクティブの皆さんの転職成功の鉄則です。

「攻め型」か、「支援型」か、明確に!

40代以降は年齢を重ねるに連れて、30代まで以上に自身のキャリアについての考えるべき方向性をはっきりさせる必要性が高まり、それを見誤ったり曖昧なまま過ごしてしまうと、後々取り返しのつかないことになってしまいます。

本稿はキャリアカーバーユーザーの皆さんを対象にお届けしていますので、そのキャリアの前提はマネジメント、エグゼクティブとしての役割ですが、視界を外に向けてみれば、広く一般のミドルやシニア世代の皆さんは、40代以降にはセカンドキャリアとしてこれまでとは全く異なる仕事や生活に切り替えたり、セミリタイアやリタイアを選択される方もいらっしゃいます。

特に、マネジメント、エグゼクティブの皆さんという意味では、「更に新しいチャレンジを積極果敢に行い、成長していく人」なのか、「後進の育成に重きを置き始めている人」なのか、立ち位置を明確にされることをお薦めします。
特に50代後半から60代に入りますと、この両者いずれかははっきり分かれ、それに応じたポジション、雇用形態でのご検討俎上に載っていただくことが非常に重要であり、そこが噛み合っていない限り、なかなか良縁は得難い状況です。

40代戦略、50代戦略、それぞれとも相まって、皆さんご自身がどのような立ち位置にいらっしゃるか(それが企業側から求められる貢献要素を明確に含んでいるか)をはっきりさせること。
ミドルやシニアとしての「自分らしさ」の明確化こそが、これからの、まだまだ長い仕事人生をやりがいを持って歩んでいく(走っていく)術(すべ)なのです。

人生100年時代、40代以降のキャリアプランは、いまや、かなりの「幅(職責のバリエーション)」と「長さ(時間)」があります。ご自身の人生設計と合わせた明快な指針を持ち、それに合致した転職活動をして頂ければ、後半人生の歩みは希望に満ちたものとなることは間違いありません。

ではまた、次回!

井上和幸氏

井上和幸

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。

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