転職回数は選考に影響する?面接で聞かれたらどう答える?経験社数が多い場合の転職活動のポイント

応募者の転職回数は、選考にどの程度影響するのでしょうか。ここでは、集計データの傾向をご紹介したうえで、転職回数が選考に与える影響や、転職回数が多い場合の転職活動のポイントなどについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に解説いただきます。

データで見る年代別の転職回数の傾向

2021年1月~6月にリクルートダイレクトスカウトに新規登録した会員データを、年代と転職回数別に集計しました。

転職回数の年代別のグラフ(2021年1月~6月にリクルートダイレクトスカウトに新規登録した会員データより算出)

20代では「転職経験がない人」が全体の7割以上を占めていますが、30代以降では、半数もしくは半数以上の人が転職を経験していることが分かります。また40~50代では、転職を3回以上経験している人が全体の3割程度を占めており、「転職1回」よりも多くなっていることが見て取れます。

転職回数は選考に影響する?

上記のデータで分かる通り、転職市場において複数回の転職を経験することは一定の割合であるようです。業界や職種によっては、採用する企業側も求職者の転職回数を以前よりも重要視しないことがあり、特にIT業界やWeb業界など比較的新しい領域の企業や、成長中で中途採用を積極的に行っている企業、外資系企業など、識者が支援した企業においては、転職回数よりも経験・スキルを重視した選考が行われていました。

なお、トータルの転職回数よりも「直近の転職頻度・在籍期間」を重視されることがあります。例えば、同じ「社会人歴15年・転職回数4回」でも、下記の2つのケースでは、採用担当者の受け取り方は大きく変わる可能性があります。

A:社会人歴10年目からの5年間は1社で勤めている場合
B:社会人歴10年目からの5年間で3社に勤めている場合

トータルの転職回数が同じでも、Bのケースは直近5年間で3回の転職をしています。採用担当者から「なぜ直近で転職を繰り返しているのだろう」「入社後すぐに離職するのでは」といった懸念を抱かれてしまうことも少なくありません。

転職回数が多くても重要視されないケース

複数回の転職を繰り返していても、採用担当者が選考の際に回数を重要視しないケースの特徴を紹介します。

キャリアに一貫性がある

さまざまな業界や企業規模での転職を重ねている場合でも、例えば「経理職でのキャリアを築いている」「営業職で多様な経験を積んでいる」などキャリアに一貫性が見えれば、入社後の活躍を採用担当者がイメージしやすくなります。

キャリアビジョンが明確

業界も職種も異なる内容で転職回数が多くても、例えば「◯年後に新規事業を立ち上げたい」など、転職理由に明確なキャリアビジョンがあれば、「キャリア構築のための転職だったのか」と採用担当者は納得することができるでしょう。

専門性の高い経験・スキルを持っている

例えば、「さまざまな業界でのマネジメント経験が豊富」「AIの分野で高いスキルを持っている」など、専門性の高い分野での経験・スキルは一定のニーズがあるため、転職回数が多くても採用されやすい傾向があります。

転職回数が多いと思われるおおよその目安

冒頭で紹介した「年代別の転職回数」を見ると、20代の転職回数は0回が73%、1回が18%です。転職回数が1回までの人が約9割を占めるため、20代の転職回数は2回以上になると、企業によっては多いと思われる可能性があります。30代では転職回数が2回までの人が87%を占めるため、3回以上の転職は多いと思われるかもしれません。40代・50代の場合は、転職回数が3回までの人が約80%います。そのため、4回以上の転職は企業から多いと捉えられかねません。

上記はあくまでも目安ですが、自身の転職回数と照らし合わせて参考にしてみてください。

転職回数が多い場合の転職活動のポイント

転職回数が多い場合の転職活動のポイントについて解説します。

応募先の選定

まずは、経験やスキルを重視するような企業を応募先に選ぶことも一案です。
例えば、成長中のベンチャー企業やスタートアップ企業では、事業の拡大に人材の採用が追いついていない可能性があるため、識者が支援した事例では転職回数を気にしない傾向がありました。業界や企業規模の幅を広げることで、経験・スキル重視の企業に巡り合う可能性が高まるでしょう。

職務経歴書の書き方のコツ

履歴書と違って、職務経歴書は必ずしも勤務先を時系列で記載する必要はありません。転職回数が多い場合、時系列で1社ずつ職歴を書いていくと、どうしても転職回数の多さが目立ちます。また、どのような経験・スキルがあるのかを採用担当者が素早く把握することも難しくなります。

そこで、職務経歴書をまとめる際は、これまでの職歴を「営業」「開発」「マネジメント」などの業務内容ごとにまとめる「キャリア式」が向いています。「何ができる人物なのか」を採用担当者が一目で理解することができます。

しかし、経歴は省略しないことが前提とされています。省略した場合、応募企業から経歴詐称を疑われ、内定取り消しや解雇などのトラブルにつながるケースもあるので注意が必要です。

※こちらからキャリア式のテンプレートをダウンロードすることができます。

面接での受け答えを意識する

転職回数が多い場合であっても、ビジョンが明確でそれぞれの転職で着実にキャリアアップを重ねているのであれば、一貫性があるため転職回数への説明にも説得力が増します。キャリアが一貫していることを意識して、夢や目標に向かって転職を重ねた結果であり、ポジティブな転職であることを採用担当者に対してはっきり伝えるようにしましょう。他責的な発言にならないよう注意しながら、失敗から学んだことがあれば、正直に伝えるのもポイントです。

面接で転職回数の多さを問われた場合の回答例

転職回数が多いケースでは、その理由を問われることもあります。回答例をご紹介しますので、面接の際の参考にしてください。

OK回答例(キャリアの一貫性を伝えるケース)

これまでに、公認会計士として監査法人での監査業務、大手事業会社の経理財務、スタートアップ企業の経理財務および事業企画、別業種のスタートアップ企業の経営企画を経験してきました。さまざまな企業規模や業界で、監査・アドバイザリー・経理財務だけではなく、事業企画・経営企画といったビジネスサイドを成長させる経験をしてきたのは、スタートアップ企業で、経理財務面だけではなくビジネスサイドの知見も持ったCFOを目指しているからです。

解説

経理財務、事業企画、経営企画などでの転職を重ねてきた理由に、スタートアップベンチャーのCFOを目指すという「キャリア形成の一貫性」を感じ取ることができます。

全て自責にする必要はありませんが、あまりにも他責要素が多い発言をしてしまうと、「会社や他人への不平不満が多い」「少しでもいやになると辞めるような短絡的な性格」と思われ、「今回も同様にすぐ辞めるだろうな」という印象を与えてしまう可能性があるため注意しましょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。