転職活動における「面談」とは?「面接」との違いなどを解説

転職活動を進めていると、企業から面談の案内を受ける場合があります。面談では、どのようなやりとりをするのでしょうか?面談の内容や面接との違い、面談に臨む際の心構えなどについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。

面談と面接の違いとは

面談は相互理解、面接は選考の場

企業が面談を行う目的は、求職者と企業が対等な立場で相互理解を深めること。多くの場合、企業が求職者に対して、事業内容や組織、仕事内容、待遇、福利厚生、募集背景などを説明した上で求職者からの質問に答えるという形がとられます。

一方、面接は、選考を目的に、主に企業が応募者を評価・判断する場となります。したがって、選考を目的とする面接と異なり、面談の場で選考が行われることはありません。ただし、面談での印象がその後の選考に影響を与える場合もあるので注意が必要です。

面談はどのようなタイミング・目的で行われる?

企業が面談を設定するタイミングには、大きく次の4つがあります。

1.応募前

応募前に、企業と求職者の相互理解を促進する目的で設定される面談です。「カジュアル面談」と呼ばれることもあります。

企業としては、求職者との接点を増やして応募者増を図る目的で実施している側面もあります。したがって、求職者の方は、その企業について情報収集するつもりで臨んで問題ありませんし、面談を経て合わないと思えば応募をとりやめても構いません。
ただし、企業のホームページの内容など、把握できる情報は把握した上で臨みましょう。企業も人ですから、何も情報を得ずに来る人に良い印象は持ちませんし、その後の選考にも影響します。

2.選考途中

このタイミングで行われる面談の多くは、応募者の入社意向を上げる目的で実施されます。改めて情報提供と質疑応答を行いながら相互理解を深め、応募者の志望度を上げたいという意図が企業側にあります。

一方で、場合によっては、面接で拾いきれなかった情報を得たいとき、また、面接担当者とは異なる観点で応募者の人物タイプや自社へのマッチ度合いを見たいときなどにも、企業が面談の場を設けることがあります。この場合、企業が得た情報や印象は、この後の選考や採否にも影響するでしょう。
この点を考慮すると、面談であっても、選考の判断材料として見られているという意識を持って臨む方が良いでしょう。

3.内定後

内定が出てから承諾するまでの間に面談が行われることもあります。目的は、労働条件の確認やそこに付随する疑問点・懸念点の払拭、事務手続きの流れの確認などです。また、企業としては、内定承諾に向けて入社意向を上げる意図もあります。
応募者の皆さんとしては、内定後に企業から渡される書類、例えば労働条件通知書の内容などについて、書面だけだとわからないことを確認する機会です。入社予定時期と賞与額との関係や、社内の等級の位置づけなどがわからない場合もあるでしょうし、人事制度や評価制度に関する質問も、この段階になると増えてくると思います。気になることは確認しておきましょう。

また、ご家族やパートナーが疑問点や懸念点を抱いているようなら、それらも質問してクリアにしていくとよいでしょう。

4.内定承諾後〜入社前

入社までの手続きをスムーズに進めるための準備・確認の場として面談が設けられる場合があります。内容としては、退職交渉の状況や有給の消化状況、入社書類の準備状況などの確認が主です。また、企業が応募者に期待することを改めて伝えたり、顔合わせを兼ねて上長になる予定の社員が同席したりするなど、企業としては、このタイミングで面談を行うことで、内定辞退や入社意欲の低下を防ぐねらいもあります。

手続き面での気になることや懸念点があれば、適宜確認していくとよいでしょう。

求職者から面談を希望することもできる

ここまで、企業が面談を設定した場合の目的や内容を紹介しましたが、面談は、求職者から希望することもできます。その場合、企業側が了承すれば実現します。企業に直接確認したいことがある、選考でやりとりした社員とは別の社員の話を聞きたいといった希望があれば、遠慮なく申し出てみましょう。

面談に臨む際の心構え・注意点

タイミングを問わず、どの面談に臨むにあたっても留意しておきたい心構えとして、次の2つが挙げられます。

知りたいことや相談したいことは、できるだけ事前に伝えておく

知りたいことや相談したいことを事前に連絡しておけば、企業も十分な情報を準備して当日対応できるので、結果的に自分が得たい情報を的確に得ることができます。とくに、制度などの詳細に関する質問は、面談の場でいきなり尋ねても企業が明確な回答を返せず持ち帰りになる場合もあります。転職エージェントを介してでも、企業の担当者に直接メールするのでも構わないので、事前に連絡しておきましょう。

給与や役職などの条件交渉をする場合は、伝え方に注意

過度な要求をする、条件交渉を執拗に行うなど、選考時と大きく変わる態度や物言いは、良い印象を与えません。選考の場ではないとはいえ、面談での印象は選考や入社後の処遇・歓迎のされ方などに影響を与える場合があります。条件について確認・交渉すること自体は悪いことではありませんが、伝え方には注意しましょう。

なお、昨今では、オンラインで面談が行われる場合が多くなっています。オンラインの場合でも、基本的な注意点は対面の面談と変わりません。同じ意識で臨むようにしましょう。また、オンラインならではの注意点や気を付けた方が良い点については、以下の記事を参考にしてみてください。

転職エージェントなどとの会話の場も「面談」と呼ぶ

転職エージェントやスカウトサービスを使って転職活動を行う場合、転職エージェントのキャリアアドバイザーやスカウトサービスのヘッドハンターとも面談を行います。転職エージェントの場合、利用登録・申し込みを行ったあとに面談の案内が届き、最低1回は行うのが基本です。

面談の目的は、求職者に合う求人を見つけるための相互理解など

初回の面談の、転職エージェント側の目的は次の4つです。

  • 求職者を理解する
  • 求職者と関係性を構築する
  • 求職者の相談や疑問点、懸念点に応える
  • 求職者からのサポート依頼を支援する

求職者を理解してその人にあった求人を紹介するため、キャリアアドバイザーは、求職者のこれまでの経歴や今後のキャリアについての考え、転職活動に対するスタンスなどをヒアリングしていきます。

加えて、「体調を崩して休職していた時期があるので、その点を応募企業にフォローしてほしい」など、求職者からのサポートの希望があれば支援しますし、悩みや相談があればアドバイスも行います。

転職エージェントとの初回面談に向けて準備したいこと

また、初回の面談に臨むにあたっては、次の3つの準備をしておくとよいでしょう。

  • 転職軸の整理・優先順位づけ
  • 履歴書、職務経歴書作成
  • 面談先の転職エージェントについて調べる

いずれも、自分により合った求人を紹介してもらうために準備しておきたいことです。履歴書や職務経歴書は、途中まででも構わないので準備しておけると、キャリアアドバイザーが求職者のキャリアの方向性を考える上で参考にできます。

また、ハイクラスになればなるほど、自分と同じような年齢層や経歴の人への転職支援実績があるキャリアアドバイザーやヘッドハンターに相談した方が、自分の経歴やスキル・強みを理解した上での求人を案内してもらえる可能性が高まります。ホームページなどで担当者の経歴や実績、強み、また、転職エージェントやスカウトサービス自体の実績や強みを把握しておくとよいでしょう。

転職エージェントの活用法は、以下の記事も参考にしてみてください。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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