Web面接(オンライン面接)のための事前準備、当日の注意点、受け答えのコツを解説

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コロナ禍を機に広く導入された「Web面接(オンライン面接)」。「日程調整がしやすい」「遠隔地からの応募者に対応しやすい」などのメリットがあるため、現在では多くの企業で定着しています。
ただし応募者にとっては、Web会議に慣れていたとしても、Web面接となると勝手が違い、戸惑うこともあるようです。Web面接のための準備や当日の流れなどについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

Web面接とは?対面の面接との違い  

Web面接とは、パソコンやスマートフォンを使用し、インターネット(オンライン)上で実施する面接を指します。オンライン面接などと呼ばれることもあります。対面の面接と比較すると、移動の必要がない分、時間・距離の制約に縛られずに面接日程を調整しやすいというメリットがあります。遠隔地の企業に応募する場合も、移動時間などを考慮することなく面接を受けられます。

一方、対面で実施する面接とは異なり、その場の雰囲気をつかみにくいというデメリットもあります。場合によっては音声が途切れて聞きづらく、会話に集中できないというトラブルも起こり得ます。こうしたWeb面接の特性を踏まえた対策を行い、面接の機会を有効に活用しましょう。

Web面接のための事前準備

Web面接に向けて、事前に準備しておきたいことをご紹介します。 

機器を準備する

Web面接に使用できる機器は、主にパソコン、タブレット、スマートフォンがあげられます。より画面が大きい方が採用担当者の表情や反応が分かりやすいこと、自身のカメラ映りを確認しやすいことから、パソコンを使用することも一案です。スマートフォンを使う場合は、面接中に倒れることがないようにスタンドやホルダーを用意しましょう。

また、マイク機能付きイヤホンを使うと相手の声が聞き取りやすく、自分の声もクリアに伝わりやすくなるのでおすすめです。使用する際は、事前にオンラインツールを使って音声テストをしておくと安心です。

通信環境を確認しておく

不安定な通信環境では、面接途中で通信が途切れる、画面が固まる、相手の声や自分の声が聞き取りにくい、やりとりにタイムラグが発生する…といった問題が発生する可能性があります。

Web面接を受ける場所のインターネット環境(固定回線のほかにモバイルWi-Fiやスマートフォンのテザリングなど)が安定しているかどうかを確認しておきましょう。

静かな環境を選ぶ 

Web面接を受ける場所は、騒音や周囲の声などが入らない静かな環境を選びましょう。自分自身はもちろん、採用担当者も会話に集中できるようにすることが大切です。

指定のオンラインツールを試しておく

Web面接で使用するツールは、オンライン会議向けのもあれば、面接に特化したものもあります。企業から、当日の使用ツール、接続先URL、パスワードなどが事前に送られますが、自身が日常で使用しているツールと異なる場合は、使い方を確認しておくと安心です。場合によってはダウンロードが必要となるため、事前に準備しておきましょう。

また、普段プライベートで使用しているツールで面接を行う場合、プロフィール写真・アカウント名などがビジネスにふさわしいものでなければ変更しておくことも検討しましょう。

カメラ映りを確認・調整する

カメラ映りは、面接の印象を左右することがあるため、相手の画面に映し出される自身の姿を想定して準備することが大切です。以下のポイントをチェックし、調整しておいてください。

カメラの位置・角度

Web面接の場合、カメラの角度によって見え方が変わります。極端に上向きや下向きだったり、近すぎたり遠すぎたりしないように、カメラの位置と角度を調整しましょう。証明写真と同様に、胸から上が映る程度の距離感が適切です。

照明

照明が暗いと、人物の印象も暗く感じられる可能性があります。Web面接を受ける予定の部屋の照明が暗い場合は、ライトを設置するなどして明るさを調整することも有効です。眼鏡をかけている場合は、反射光にも配慮すると良いでしょう。窓がある部屋では、その日の天候や時間帯によっても明るさが異なり、日が差し込む方向により顔が暗くなってしまうこともあります。面接当日の状況を考慮して調整しましょう。

なお、デスクやテーブルは黒よりも白っぽい色の方が「レフ板」の効果により顔が明るめに映ります。手元に白い紙やハンカチを置くだけでも効果的です。オンラインツールによっては映像の補正機能が付いていますので、活用しても良いでしょう。

背景

背景はなるべくシンプルな方が、採用担当者が会話に集中しやすくなります。背後にプライベートの雑多なものが映り込まないようにしておくのが望ましいでしょう。住宅事情から背後のものが映ってしまう場合、ツールの機能を使ってぼかしたり、バーチャル背景を設定したりする方法もあります。

トラブル発生時の対応を確認する

面接途中で通信が切れるなど、トラブル発生時にはどう対処するか、企業に確認しておきましょう。通信環境でトラブルが発生した場合は、画面をオフにして実施したり、電話などの音声のみで対応したりするケースもあります。当日は緊急連絡先のメモを手元に用意しておくと安心です。

応募書類・メモ帳を準備しておく

面接では履歴書・職務経歴書をベースに質疑応答が進みます。自身の画面上に表示できるようにしておくか、プリントアウトして手元に置くか、見やすい方で準備しておきましょう。ただし、ずっと文書を見ながら話すことのないよう注意してください。

また、採用担当者の話をメモしたい時のために、手元にメモ帳を準備すると良いでしょう。パソコンでメモを取ると、タイピングに気が逸れたり、音が響いたりすることもあるので注意が必要です。もしパソコンでメモを取りたい場合は、事前に相手に同意を得ることをおすすめします。

対面同様に回答の準備をしておく

対面面接と同様に、想定質問に対する回答を準備しておきましょう。

特にWeb面接では、対面面接よりも聴覚や視覚情報が得にくくなるため、採用担当者は話す内容から情報を得ようと集中することになります。その際に、話す内容が整理されていないと、「話が長い」という印象を与える可能性があります。できるだけ事前にポイントを整理しておき、簡潔に伝えられるように意識しましょう。

Web面接の当日の流れ  

一般的にWeb面接当日の流れは以下のようになります。事前に把握しておきましょう。

1.接続・カメラ映りの確認 

時間に余裕を持って接続し、通信状態とカメラ映りを確認します。

2.入室・待機 

入室も時間に余裕を持つようにし、採用担当者が入室するまでそのまま待機します。

3.挨拶

採用担当者が入室したら、氏名を名乗って挨拶をします。

4.質疑応答 

自己紹介、自己PR、転職理由、志望動機などの質疑応答が行われます。

5.逆質問 

多くの場合、最後に「何か質問はありますか?」と採用担当者に聞かれます。企業研究を行ったうえで事前に質問事項を考えておいたり、面接で気になったことがあったら質問したりすると良いでしょう。

6.退室 

面接が終了したら、お礼の言葉を述べて退室します。

Web面接当日の注意点

Web面接当日の注意点について、流れに沿ってお伝えします。

髪型や服装

服装については応募企業によって対応が異なります。「面接の服装自由」「スーツ着用」などの指定があれば、それらに従いましょう。また、面接中に立ち上がる状況になる可能性もゼロではないため、上下とも対面の面接を想定した服装にしておくことが大切です。基本的には対面の面接と同様に、その企業のビジネスマナーに則っているもので面接に参加すると良いでしょう。

髪型やメイクについても、対面の面接に臨む場合と同じと考えるようにしましょう。特にWeb面接では、顔を明るく見せ、また表情やリアクションが相手に伝わりやすいように、できるだけ前髪が顔にかからないようにすることをおすすめします。

面接前の最終チェック

オンラインツールに接続をしたら、画面上のカメラ映りをチェックし、カメラ位置や機器の配置・照明・背景などに問題がないかどうかを最終確認します。パソコン上にメールソフトやSNS画面などを開いていると、面接中に受信通知音が鳴る可能性がありますので、すべて終了させておきましょう。

入室・待機

企業から「10分前に入室」「開始時間ちょうどに入室」などと指定があれば、それに従って入室します。特に指定がない場合でも、パソコンのフリーズなど予期せぬトラブルに対応できるよう、開始時間の5分前を目安に余裕を持って入室しましょう。ツールに接続したら、音声がミュートになっていないか、カメラがオフになっていないかを確認します。接続後に画面が待機状態になった後も、そのまま席を外さずに待機しましょう。

始まりの挨拶

採用担当者が入室し、画面に映って挨拶を交わしたら、「本日、面接を受けさせていただく○○(氏名)と申します。よろしくお願いいたします」と名乗ってお辞儀をします。本人確認をするためにも、挨拶の際はフルネームを名乗るようにしましょう。

質疑応答中

質疑応答中は、画面に近づきすぎたり離れすぎたりしないよう、カメラとの距離を意識してください。自身が話す際には目線をカメラに向けることを意識し、採用担当者が話している最中は画面を見て表情や反応を確認しましょう。

終わりの挨拶と退室

面接が終了したら、退室の指示を待ちます。採用担当者がシステム自体を終了したり、先に接続を切ったりするケースもありますが、基本的には「ご退室ください」といった指示に従ってログアウトすることが多いようです。先に退室することを促されたら、再度「本日はありがとうございました」とお礼の言葉を述べて退室しましょう。

Web面接での受け答えのコツ

Web面接中に受け答えをする時は、以下のポイントを心がけると良いでしょう。

ゆっくり・はっきりと話すことを意識する

面接では緊張のあまり、どうしても早口になりがちです。さらにWeb面接の場合、相手の話す言葉が不明瞭で聞き取りにくいことも多々あります。従って、Web面接で話をする際は、相手の聞き取りやすさを重視して、意識的にゆっくり・はっきり発音することが大切です。

また、オンライン環境下ではタイムラグのために会話のタイミングが合わせにくく、相手の言葉に被せて話し出したり、譲り合ったりしてしまうこともあります。ですから、会話のキャッチボールも「ゆっくり」を意識し、相手の言葉が終わって一拍置いてから話し出すようにするとスムーズでしょう。

リアクションは大きめにする

画面を通して行うWeb面接では、聞き手の反応や表情が読み取りにくいため、リアクションが小さいと「自分の話が伝わっているのだろうか?」と相手を不安にさせてしまいます。採用担当者の話を聞く時は、なるべく口角を上げて明るい表情で、いつもより大きく相づちを打つなど、相手の話に興味を持って聞いていることが伝わるリアクションを心がけましょう。

メモや飲み物は事前に断る

面接中にパソコンでメモを取ったり、用意した書類や別のモニター・パソコン画面に目を通したり、飲み物を飲んだりする際は、「〇〇をしてよろしいでしょうか」と採用担当者に了承を得てから始めるようにするのが無難です。特に書類や別のモニター・パソコン画面を見ながら話すと、棒読みになってしまったり、顔の向きが変わったりして不自然に映る可能性があります。事前に断っておくことで、採用担当者も違和感なく対応することができるでしょう。

Web面接におけるよくあるQ&A  

Web面接に臨むにあたって、よくある疑問にお答えします。

Q.バーチャル背景を使っても良い?

バーチャル背景や背景ぼかしなどをオンライン会議で使用することはよくありますが、面接でもビジネスシーンで違和感のない背景であれば問題ありません。面接に集中するために、シンプルな壁などの背景を使うと安心です。

Q.家族と同居しているなど、静かな環境を整えるのが難しい場合は?

家族と同居している場合は、面接を受ける時間をあらかじめ伝えておき、大きな音を立てたり、室内に入ってきたりしないように配慮してもらいましょう。また、宅配便などの訪問でドアチャイムが鳴らないよう、面接の時間を避けて時間指定しておくことも大事です。自宅で面接を受けられる環境がない場合は、貸し会議室などを利用する方法もあります。

Q.事前に準備したメモを面接で見ても良い?

Web面接中も、事前に準備したメモを見ることは可能です。ただし、メモを読み上げるだけでは説得力に欠けてしまうことも考えられるので、メモがなくても話せるように事前にしっかりと準備しておくことが前提です。その上で、緊張して伝える内容を忘れてしまった時に、採用担当者に「メモを見てもよろしいでしょうか」と断ってから見るようにすると良いでしょう。

Q.面接の最中にほかのアプリの通知音が鳴った場合は?

開始前の時点で、面接に使用しないアプリの通知を切っておくことが基本です。うっかり切り忘れていた場合は、「失礼いたしました」と一言謝ってから、アプリの接続を切りましょう。

Q.自宅以外で面接を受けるのはマイナス印象になる?

前述の通り、自宅で面接を受けることが難しい場合などは、レンタル会議室などを利用することは問題ありません。ただし、Wi-Fiのつながるカフェやコワーキングスペースの共同空間などは、雑音が入ったり、背景に人が映り込んだり、面接中の会話を周囲に聞かれてしまう可能性もあるので避けた方が良いでしょう。安定した通信環境があり、機密性を担保できる場所を選ぶことがポイントです。

Q.音声が途切れて質問が聞き取れなかった時は?

Web面接で一時的に音声が乱れることはよくあります。そのような時は、聞こえたふりをして話を合わせたりせず「申し訳ありません。音声が途切れて聞き取れませんでしたので、もう一度お願いします」とすぐに聞き直しましょう。通信トラブルを避けるには、事前に通信速度をチェックして安定する場所を探しておく、余計なアプリやタブを消してパソコンをきれいにしておくなどの対策も有効です。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。