自己PRを面接で伝える際のポイントと回答例|シチュエーション別の例文4選

面接 自己PR

転職活動の面接では、「自己PR」を求められることがよくあります。企業が自己PRで注目しているポイント、評価につながる 伝え方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。合わせて、シチュエーション別の自己PR例文もご紹介します。

企業が面接で自己PRを求める意図とは

企業が面接で自己PRを求める意図としては、大きく分けて次の2つの目的があると考えられます。

人柄や仕事に対するこだわりを知るため

経験・実績・スキルなどは応募書類からわか りますが、応募者の人柄や仕事に対するこだわり、仕事に向き合うスタンスまではわかり ません。自己PRを通じてそれらを理解し、自社の理念・価値観・社風などにマッチするかどうかを確認したいと考えています。

仕事で強みを発揮できるか確認するため

同じ職種やポジションであっても、企業によって応募者に求める要素は異なります。例えば、プロジェクトリーダーを任せる人材に対し、「自身で都度判断してスピーディに行動を起こしてほしい」と考える企業もあれば、「関係各所と密に連携をとり、調整しながら進めてほしい」と考える企業もあるでしょう。

その人が得意とすることが、自社が求めているものとマッチしているかどうかを見極めたいと考えて、自己PRを求めることもあるでしょう。

面接での自己PRに関する質問例

面接で自己PRを求める場合の、企業の問いかけ方はさまざまです。

「自己PRをしてください」
「あなたの強みをお聞かせください」

このように自由な回答を促されることもありますが、もう少し具体的に、次のような質問をされることもあります。

「ご自身の○○部長としての特長は、どのようなものだと認識されていますか?」
「マネジメントにおいて、どのようなことを重視してこられましたか?」
「弊社に貢献できるとお考えになられた理由・背景を教えてください」
「弊社や募集職種につながる ご経験を教えていただけますか?」
「現職で最もやり遂げたとご自身で思う仕事の実績を教えてください」
「キャリアの中で、最も成功した仕事を教えてください」

特にハイクラス人材になるほど、「チームや組織の課題にどう向き合い、解決したか」「プロジェクトをどのように回していたか」「業務や組織の改善・変革をどのように進めたか」といったポイントに注目した質問をされる傾向があるようです。

面接で伝える自己PRを整理するポイント

企業に自己PRを伝える際は、次のような方法でアピールする内容を整理すると良いでしょう。

キャリアを振り返り強みを洗い出す

これまでの経験を振り返り、得意としてきた業務や分野、周囲から高く評価されたことなどを洗い出しましょう。このとき、当時のエピソードを含めて、できるだけ詳しく思い出すようにすると、自己PRの説得力が増します。具体的な強みが見つからない場合は、周囲の人にヒアリングをしてみると、自分でも気づかなかった強みが見つかることがあります。

応募企業が求める人材要件を確認する

企業の募集要項を読み込む、転職エージェントに相談するなどの方法で、応募企業が求めている人材の要件を確認し、最初に洗い出した自分の強みとの共通点を探りましょう。それが、その企業にアピールできる強みとなります。「企業が求めている人材とうまくマッチしない」と感じる場合は、もう一度これまでの経験を振り返り、活かせる要素がないか考えてみましょう。

強みを言語化してまとめる

応募企業が求める人材要件にマッチする強みについて、エピソードを交えてまとめます。その際に、あれもこれもと要素を盛り込むと、かえって要点がぼやけて伝わりにくくなることがあるので、アピールするポイントは1、2点に絞るのがおすすめです。
自己PRの構成の仕方については次項でご説明します。

面接での自己PRの伝え方

自己PRやそれに準ずる質問を受けたときは、次のような構成で話すと伝わりやすく、聞き手の納得を得やすくなるでしょう。

(1)「自分の強み」を端的に伝える

最初に「結論=自分の強み」を端的に伝えると良いでしょう。例えば、「課題分析・解決」「巻き込み力」「やり抜く力」「達成意欲の高さ」などです。この場合、無理に「○○力」といった言葉にまとめなくても、自身の仕事に対するスタンスやこだわりがわかる表現であれば問題ありません。

(2)根拠となる「エピソード」を伝える

次に(1)を裏付ける具体的なエピソードを伝えるとわかりやすくなります。(1)で伝えた強みが、どのような場面で、どのように発揮されたのか、採用担当者がイメージしやすいようにストーリー立てて語ると良いでしょう。

(3)「成果・実績」を伝える

(1)で伝えた強みを発揮した結果、どのような成果・実績につながったのかを伝えます。数値での成果や、Before-Afterの変化などの客観的事実を示すと、より説得力が増します。

(4)入社後にどのように活かせるかを伝える

ここまで伝えた強みを、応募企業でどのように活かしていこうと考えているかで結ぶと、よりアピールになるでしょう。採用担当者に、(2)~(3)の行動や成果が「自社でも再現してもらえそうだ」と納得してもらうことが重要です。

【シチュエーション別】自己PRの回答例

今までと同じ業界や職種に転職する場合と、業界や職種を越えてキャリアチェンジをする場合では、「これまでの経験をどのように活かしていくか」という観点でアピールするポイントも異なります。経験・未経験を軸とした「転職シチュエーション別」に、自己PRの例文をご紹介しましょう。

同業界・同職種に転職する場合の回答例

【広告・営業→広告・営業】

組織力を活かした営業活動を強みとしています。
現職では○○業界シェア上位◯社にアプローチし、競合○社によるコンペを経て、○千万円の大規模案件の受注に成功しました。このときは顧客折衝だけでなく、マーケティング、エンジニア、デザイナー部門の協力も得て、プロジェクトチームの取りまとめも担いました。ゴール設定、KPI設定、人材配置、スケジューリングなどをリードすることで質の高い提案をすることができたと考えております。
この経験を通じ、複数部署を巻き込む組織力を活かした、大手企業の開拓ノウハウを獲得しました。御社の○○サービスも大手企業を対象に積極的にアプローチされるとうかがっております。組織力を活かした営業経験を活かして拡販に貢献したいと考えています。

【ポイント】

応募企業が求める「大手企業向けの営業力」という要件に対し、どのように自分の強みが活かせるかを想像し、把握できています。営業としての仕事の進め方を具体的にすることで、入社後の活躍イメージや、組織を牽引する人材としての期待も持てるでしょう。

同業界・異職種に転職する場合の回答例

【IT・システムエンジニア→IT・プリセールス】

システムエンジニアとして○年間の知識と技術力をベースにした「巻き込み力」が私の強みです。
現職は規模が小さなことから、SEとしての開発業務だけに留まらず、営業や営業企画、マーケティングと共同で顧客向けのコミュニティ作りやセミナー運営などにも関わってきました。技術者視点を活かした「ならでは」の提案や、講師の活動も積極的に行い、コミュニティも1年目の◯社から◯社へ大幅に拡大させることができました。その結果、顧客ロイヤリティを高めることに成功し、○%という製品解約率の低さにも貢献できたと思います。
御社でも技術的知見を活かしながら、より顧客に近い位置で業務に取り組み、新規顧客の開拓やロイヤリティの向上などに、プリセールスとして貢献していきたいと思います。

【ポイント】

「なぜ職種を変えて転職したいのか」という背景や理由が、自己PRの中で納得感を持って伝わります。応募職種との接点が具体的に説明されていることで、未経験職種ながらも活躍をイメージできる点が評価されるでしょう。

異業界・同職種に転職する場合の回答例

【SIer・プロジェクトマネジャー→メーカー・プロジェクトマネジャー】

プロジェクトを完遂するための、臨機応変な対応力を強みとしています。
現職では○年にわたり、複数のアプリの新規開発プロジェクトのマネジメントを手がけてきました。社内外から要望による仕様変更や、スケジュール変更が頻繁に発生したプロジェクトでは、個々のメンバーの稼働可能な時間と進捗状況を見極め、他チームと調整しての人員確保、企画・営業部門との協議による機能・仕様の優先順位づけなどを行い、メンバーに過度の負荷がかからない体制を維持しながら開発を進めました。結果、リリース後の利用者満足度は○%と、目標を上回る成果を達成しています。
業界は変わっても、現職で磨いてきた調整力やチーム運営スキルは、数多くの新サービスを投入していく御社において、PMとしての役割で貢献できると考えております。

【ポイント】

応募企業が期待する「PM」「新サービス開発経験」という人材要件に対し、異業界でも経験・スキルを早期に活かせるイメージをもたせる内容。自身の強みを具体的な場面や数字を使い、説得力を持って伝えていることも印象的です。

異業界・異職種に転職する場合の回答例

【コンサルティングファーム・コンサル→事業会社・経営企画】

コンサル業務で、顧客のグローバル展開を支援・実現してきた多くの知見が強みです。
◯◯業や□□業の顧客を中心に、M&A、組織改革、新規事業創出などのプロジェクトを担当してきました。多様なステークホルダーが関わる中で、常に目的を見据え「それを達成するにはどうすれば良いのか」を顧客経営陣と共に考え抜いてきました。ときには、顧客にとって痛みを伴う組織や業務プロセスの変更も、目的達成のためにいとわず提言することもあります。実績の1つとして、某メーカーのグローバル新規事業プロジェクトにて企画段階からサポートし、ローンチから3年で対前年比売上○%アップを実現し、新たな事業の柱となるサービスを育てる一助となりました。
事業のグローバル展開を目指す御社の経営企画として、多様なプロジェクトを担当して得た成功事例やノウハウはもちろん、失敗事例も含めた知見を活かし、貢献していきたいと考えております。

【ポイント】

「グローバル展開の初期段階を担える人材」という応募企業の要件にマッチしたアピールで、異業界異職種からの転職であっても、活躍・貢献を期待させる自己PRとなっています。仕事へのスタンスがクリアに想像できる伝え方ができているのも評価されるでしょう。

強みや長所を活かす自己PRの例文集

アピールしたい強みや長所を軸とした自己PRの考え方は、以下の記事を参考にしてください。

コミュニケーション力分析力実行力集中力忍耐力
細かいところに気がつく力課題解決力行動力調整力マネジメント経験

面接対策には転職エージェントやスカウトサービスの利用もおすすめ

自身の強みや仕事へのこだわりを明確にするには、これまで経験してきた業務を振り返り、周囲から評価を受けたことや、成果を挙げた経験、得意とする業務や分野などを洗い出して整理すると良いでしょう。その上で、志望企業が求めている人物像との共通点を探り、軸となる強みを選んだら伝え方を工夫してください。

ただ、こうした作業は自分一人ではなかなかうまく進まないかもしれません。そのようなときは、転職エージェントなども活用し、客観的な視点でのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。