面接で使える逆質問20選|効果的な質問のポイントや、思い浮かばない時の対処法

逆質問

転職活動の面接では多くの場合、一通りの質疑応答を終えた後、「何か質問はありますか?」と聞かれます。これは「逆質問」と呼ばれるものですが、具体的にどのようなことを尋ねれば良いのでしょうか。逆質問の考え方、逆質問を効果的に活用するポイント、目的別の逆質問例などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

逆質問とは

「逆質問」とは、一般的に採用面接の場で、応募者から企業に対して質問することを指します。面接の終盤、採用担当者から「何か質問はありますか?」と投げかけられたとき、気になっていることを質問します。

企業が逆質問をする理由

一般的に、企業が逆質問を通して知りたいことや、逆質問をする目的として考えられることをご紹介します。

入社意欲や熱意を知りたい

逆質問を通して応募者の自社への興味や、企業研究をしているかどうかを確認し、志望度の高さを知りたいと考える企業もあります。また「応募者がどのようなことに興味・関心を持っているのか」を知ることで、応募者の人となりや業務における価値観などを知りたいというケースもあるでしょう。

コミュニケーション力を知りたい

応募者から自発的に質問をしてもらうことで、「どのようなコミュニケーションを取るのか」「急な質問にどのように対応するのか」などを知りたいと考える場合もあります。

不安や疑問を払しょくしたい

「応募者の不安や疑問を払しょくすること」も、逆質問の目的のひとつです。応募者の気になっている点を解消して理解を深めることで、自社への志望度を高めたいと考えているケースもあります。

逆質問を準備する際のポイント

面接で逆質問を求められたとき、これまでの面接ですべての疑問が払しょくされているのであれば、「丁寧にご説明いただいたので、特にありません」などと答えるケースもないとは言えません。

しかし、少しでも気になっていることや、聞いてみたいことがあるのであれば、逆質問をすることによって、応募企業を選ぶ際の重要な判断材料が得られることもあるので、この機会を活用することも有効です。

従って、「応募企業への理解を深める」「自身が活躍できるかどうかを見極める」「入社意欲を伝える」などの目的を持って質問ができるよう、次のようなプロセスで準備しておくことをおすすめします。

疑問点や興味を洗い出す

まず、応募企業の求人やIR情報、プレスリリースなどの一般的な情報を見直し、経営方針、事業内容、新たなサービスや製品などについて、疑問点や知りたいことを洗い出してみましょう。また、面接が進んだ段階では、これまでの面接の内容を振り返って採用担当者とのやり取りを整理し、まだ確認できていない点や、新たに疑問を感じた点などをリストアップすると良いでしょう。 

意見や見解も交えつつ質問できるようにする

「なぜそれが知りたいのか」という質問の意図を明確に伝えることで、相手もより適切な回答がしやすくなります。「自分は○○と考えていますが…」「これまで○○を経験してきましたが…」など、自分なりの意図や見解を加えて質問できるように準備しておくと良いでしょう。 

「確認」と「アピール」を使い分ける

逆質問は、「知りたいことを確認する」という目的以外に、「アピール効果を高める」という目的で活用することもできます。

例えば、「入社するメリット/デメリット」や「自身の経験・スキル・志向にマッチするか」を見極めるために確認する項目としては、「組織構成」「仕事の進め方」「評価の仕組み」「報酬体系」「職場環境」「一緒に働く人の人柄や価値観」「マネジメントスタイル」「キャリアパス」「今後の事業戦略」などがあります。

一方、アピール効果を高めるためには、「○○の領域を得意としているが、今後その領域へ展開していく計画はあるか」「自身は○○の取り組みで成果を挙げてきたが、御社ではその経験を活かす機会があるか」といった質問の仕方をするのも一案です。その質問を聞いて、面接担当者は「この人を採用すれば、そのようなチャレンジも可能になるのか」といった期待を抱くかもしれません。目的に応じて質問の仕方を工夫すると良いでしょう。

面接段階別の逆質問のポイント

逆質問の内容は、一次面接、二次面接…という選考段階ごとに変えていくことをおすすめします。

なぜなら、例えば一次面接・二次面接は人事担当者や配属予定部門長などが担当し、最終面接は社長や役員が担当する場合、それぞれの担当者によってふさわしい質問内容は変わってくるからです。

この順序は募集職種やポジションによっても変わり、中には最初に役員面接を行うケースもありますが、いずれにせよ、面接担当者に応じて質問の切り口を変えることがポイントとなります。

ここでは、一次面接=人事担当者、二次面接=配属予定部門の責任者・上長候補、最終面接=役員クラスを想定して、段階別の逆質問のポイントを解説しましょう。

一次面接

【人事担当者を想定】
一次面接では、会社全体の理解を深めるための質問、例えば「今後の事業展開」「会社としての強み」「人事制度」「社風」のほか、「今後の選考の流れ」などについても質問して良いでしょう。逆質問をアピールにつなげたい場合は、企業研究の成果や志望動機、興味を持った部分、自身のキャリアプランとの接点などを示し、応募企業への関心度の高さを伝えながら質問をすると効果的でしょう。

人事が面接を担当している場合、現場責任者や役員クラスに聞く方が良い内容は、この場で質問しないようにすることが無難でしょう。ただ、例えば次の選考にかかわる質問など、先に確認しておきたいことがある場合は、質問を預けさせてもらい、後ほどメールなどで回答をもらうといったことも、企業によっては対応してくれます。

転職エージェントを利用している場合は、面接の場ではなく転職エージェント経由で、現場担当者や役員クラスに確認をとってもらうことも考えられます。

二次面接

【配属予定部門の責任者・上長候補などを想定】
二次面接にあたっては「配属予定部門の組織構成」「風土」「働き方」「仕事内容や進め方」「求められるスキル」「活躍・評価される人材の特徴や評価ポイント」など、より具体的な仕事場面をイメージして質問を考えると良いでしょう。それによって企業に志望意欲が伝わる可能性があり、現場について詳細に確認することで、自分に合った職場かどうかを判断することもできるでしょう。

経験・スキルをアピールしたい場合は、これまでの面接で伝えきれなかった強みを提示しつつ質問するのも一つの方法です。例えば「私には○○の経験があり、○○業務の中で□□のように活かせると考えておりますが、具体的にそういった場面はありますか?」などの聞き方をしてみましょう。

最終面接

【役員クラスを想定】
改めて応募企業の採用情報や、IR情報などを読み込んだ上で、「経営戦略」「事業方針」「中長期的なビジョン」など、役員クラスに直接聞くことで、より企業理解を深めることができる質問を考えましょう。面接担当者の役職や氏名が事前に分かる場合は、メディアでの発言などを調べて、人物タイプを想定しておくこともおすすめです。

また、これまでの選考などを経て生じた疑問点や懸念点をクリアにしたり、自己PRや入社意欲を補足したりする機会として活用しても良いでしょう。

【目的別】面接での逆質問例20選

「○○が知りたい」「強みをアピールしたい」などの目的別に、20個の逆質問例をご紹介しますので、参考にしてください。

仕事内容を知りたい場合

  • 新規顧客開拓については、どのような手法をとっていらっしゃるのでしょうか。
  • ○○のデータ分析や管理には、どのようなツールを使っているのでしょうか。
  • ○○の取り組みでは、どのような部署や外部パートナーと連携しているのでしょうか。
  • 1日の具体的なスケジュールの例を教えてください。
  • 中途入社で活躍し、高く評価されている方々の特徴や傾向があれば教えていただけますでしょうか。
  • 入社までに学んでキャッチアップしておくべきことはありますか。

企業について知りたい場合

  • ○○事業を積極的に展開されていますが、今後の展望を教えてください。
  • 御社では現在○○事業の売上が○割を占めているようですが、今後、比率を変えていくことは考えていらっしゃいますか。
  • 事業の多角化を進めていらっしゃいますが、これから新たに進出を考えている分野はありますか。
  • 社長のインタビュー記事で、風土改革を推進していくとの談話を拝見しました。そのお考えに至った背景を教えていただけますか。

職場の雰囲気や働き方を知りたい場合

  • 御社のホームページを拝見すると、部門間・職種間の連携が密に取れているとお見受けします。社内コミュニケーションをスムーズにする仕組みがあれば教えてください。
  • エンゲージメントの強化に取り組んでいると伺いましたが、そのために新たな制度や仕組みを導入する計画はあるのでしょうか。
  • テレワークが中心のようですが、チームマネジメントではどのようにメンバーをケアしているのでしょうか。メンバー同士のコミュニケーションを促進する仕組みはあるのでしょうか。
  • 御社のミッション・ビジョン・バリューを拝見しました。「御社らしさ」を表す、具体的なエピソードや取り組みを教えてください。

制度について知りたい場合

  • ○○職は数値での成果が見えにくいと思いますが、どのような指標で評価されているのでしょうか。
  • 従業員の「リスキリング」を推進するとのことですが、教育プログラムとしてはどのようなものを揃えていくお考えでしょうか。
  • 「働き方改革」を進めているとのことですが、生産性を高めるために導入した制度などはあるのでしょうか。

自分の強みや志望動機をアピールしたい場合

  • 私は新規事業プロジェクトにおいて「アジャイル型」の推進を得意としています。そのスキルを今後も活かしていきたいと思いますが、御社ではどのような方針でプロジェクトを進めているのでしょうか。
  • 今後、○○業界向けにもサービスを展開していくお考えはありますか。私は営業として○○業界を担当していたこともありますので、その経験とネットワークが活かせるのではないかと思い、お尋ねします。
  • 私はマネジメントにおいて、心理的安全性が高い組織作りを意識してきました。御社ではどのようなマネジメントスタイルを重視されているのでしょうか。

面接では避けた方が良い逆質問例

基本的に逆質問は、応募者が企業に向けて自由に質問できる場ですが、中には控えた方が良い質問や、表現に注意した方が良い質問なども見受けられます。ここでは、それらの一例をご紹介します。

控えた方が良い質問

面接で控えた方が良い質問は、主に以下の3つです。

調べればわかる質問

求人情報で確認できること、企業ホームページやプレスリリースに記載されていることなど、調べればすぐにわかる内容を聞くのは避けた方が良いでしょう。「情報収集力が足りないのでは」「自社を理解しようとする意欲に欠けるのでは」などと捉えられてしまうかもしれません。企業研究はしっかりと行うことが基本です。

抽象的な質問

「社長が考える経営とは何でしょうか?」など、意図がわかりにくい抽象的な質問は答えづらく、相手によっては良い印象を与えない可能性があります。「インタビューを拝読して○○を大切にしていると感じましたが、そのお考えに至った理由をお聞かせください」など、質問の背景と自分なりの見解を提示した上で尋ねれば、納得して回答してもらうことができるでしょう。

面接担当者以外にした方が良い質問

内容に問題はなくても、人事に「どのようなメンバーが自分の部下になるのか」と聞いたり、現場担当者に福利厚生のことを詳しく聞いたりするのは適切ではないこともあります。明確な回答が得られない可能性が高いので、自身が知りたい内容は誰に質問するのが良いのか考えてみると良いでしょう。

表現に注意が必要な質問

離職率に関する考え方や、業績悪化の要因、口コミサイトの情報の真偽など、どうしても知りたい場合は聞いても構いませんが、聞き方には注意した方が良いでしょう。

例えば、「昨年度の業績悪化の背景を教えてください」とストレートに聞くのではなく、「昨年度の業績悪化について○○が要因として大きかったように推測していますが、一番大きな要因はどのような点にあったとお考えでしょうか?」などと、自分の考えを示しながら、マイルドな表現で尋ねることも有効です。 

逆質問が思い浮かばない・迷った場合の対処法

どのような逆質問をするか迷った場合は、「この転職によって何を実現したいのか」という動機や目的に立ち返ってみると良いでしょう。「この会社でそれが実現できるだろうか?」と考えれば、おのずと確認したいポイントが見えてきます。また、応募企業で働いている姿をイメージしてみてください。具体的にイメージが浮かばない部分があれば、そこについて聞いてみると良いでしょう。

企業研究を深めることで、新たな疑問や興味が湧いてくることもあります。企業ホームページだけでなく、メディアのインタビュー記事、経営陣のSNSでの発信など、多様な情報に目を通すことで、「この話をもっと詳しく聞いてみたい」というポイントが見つかるのではないでしょうか。

「逆質問を使って必ずアピールしなければ」と力む必要はありません。応募企業への理解を深め、自身にマッチするかどうか見極めるために「逆質問を活用する」というように考えてみましょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。