転職の最終面接で高評価につながる「逆質問」とは?具体的な質問例と考え方を解説

最終面接でも設けられることが多い逆質問の時間。面接担当者からの「何か質問はありますか?」に対して、どのような質問すると、より相互理解が深まり、評価にもつながりやすいのでしょうか? 組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。

転職の最終面接の目的・位置づけ 

採用選考の最後に行われ、内定とするかどうかの最終判断がなされる最終面接。多くの場合は、社長や役員、事業責任者などが面接を担当します。 

一次・二次面接では、求める人物像や仕事内容にマッチした人物かどうかの確認に重きが置かれるのに対し、最終面接では、会社のビジョンや社風と合っているか、また、応募者が描く将来像と会社の方向性が合っているかなどの確認に重きが置かれます。 

最終面接で企業が逆質問を求める意図 

最終面接で、企業が応募者に対して「何か質問はありますか?」と逆質問を求める場合の主な意図を3つご紹介します。 

志望度の確認

まず、自社に対する興味の度合いや志望度の高さを判断する意図があります。例えば、複数の応募者の面接を並行して行っていた場合に、より具体的な質問を投げかけた応募者と、ホームページなどで調べればわかるようなことを質問する応募者や質問のない応募者がいた場合に、それぞれの志望度の高さを図る材料とすることもあります。 

企業や仕事に対する理解度の確認 

質問内容から企業・仕事に対する理解度を判断し、ミスマッチを回避する意図もあります。ある程度自社のことを理解している前提の質問が出てくれば、「応募者は自社のことをわかっている」と面接担当者は考えますが、「いまさらこの質問か…」と思うような質問をされた場合、自社に対する理解が浅い、あるいは自社に興味がないなどと判断される場合があるでしょう。 

応募者が抱いている懸念点をクリアにする 

もし応募者が気になっていることがあれば、その懸念を払拭したり、追加情報を提供したりして、自社への入社意向を醸成しようとする意図もあります。 

「特にありません」と答えるのはNG? 

最終面接で「質問があるか」と聞かれたとき、「ありません」と答えることは、絶対にNGというわけではありません。これまでの面接や面談で十分なコミュ二ケーションができて相互理解が深まっている、また、疑問点はクリアになっていると判断できるなら、「これまでの面接で丁寧にご説明いただきましたので」などと前置きした上で、「特に気になる点はございません」と答えても構わないでしょう。反対に、「何か質問しなければ」と無理に考えて、的外れな質問をしてしまうよりは、正直にそう伝えたほうが良いこともあります。 

ただ、「興味が薄いのか」「志望意欲が低いのか」などと、がっかりされる可能性もないとは言えません。また、公開されているものだけでは把握・理解しきれない情報を経営陣から聞くことで、最終的に入社するかどうかを決める大きな判断材料が得られる可能性もあります。従って、できれば事前に5つ程度の質問を用意しておき、その中から2つほど選んで聞くことができれば理想でしょう。 

最終面接での逆質問を考える際のポイント 

最終面接での質問を考えるにあたっては、次のような準備をしておくことをおすすめします。 

採用情報やIR情報から疑問点を洗い出す 

応募企業の求人票やIR情報、プレスリリースなどの一般的な情報を見直し、経営方針、事業内容、新たなサービスや製品などについて、疑問点や知りたいことを洗い出してみましょう。 

これまでの面接でわからないことを洗い出す 

一次面接・二次面接を振り返って、採用担当者とのやり取りを整理し、まだ確認できていない点や、新たに疑問を感じた点などをリストアップしてみましょう。 

面接担当者の情報を探してチェックする 

応募企業から「最終面接は○○が担当します」と案内があったり、転職エージェントの担当キャリアアドバイザーから聞いたりして、面接相手の役職・氏名がわかっているなら、より詳細な情報(経歴やメディアなどでの発言内容など)を押さえ、人物タイプを想定しておくと良いでしょう。 

意見や見解も加えつつ質問できるようにしておく 

「なぜそれが知りたいのか」という質問の意図を明確に伝えることで、相手も回答しやすくなります。「自分は○○と考えていますが…」「これまで○○を経験してきましたが…」など、自分なりの意図や見解を加えて質問できるように準備しておきましょう。 

転職エージェントに内容をチェックしてもらう 

転職エージェントが間に入っている場合は、疑問点をぶつけて面接で聞くべきことか、また、面接で尋ねる場合はどのように尋ねると良いかを相談しておくこともおすすめです。 

最終面接で好印象を与える逆質問の例 

上述したように逆質問は、企業側にとっては志望度や理解度を図るものですが、応募者としては、経営に関するコアな情報や中長期的な方針、経営陣の価値観・人柄など、相手が経営陣だからこそ得られる情報をとりにいく良い機会です。 

また、これまでの選考などを経て生じた疑問点や懸念点をクリアにしたり、自己PRや入社意欲を補足・訂正したりする機会として活用することもできます。 

ただし、逆質問時のアピールが採否に大きく影響することは稀なので、アピール機会ととらえるよりは、企業に対する自分の理解を深める機会と考えた方が良いでしょう。次に紹介する質問例を参考に、逆質問の準備をしておきましょう。

質問例1:経営方針、ビジョン、経営者の思いを把握する 

○年後に○億円企業を目指すことを掲げていらっしゃるなど、御社の高い成長性に魅力を感じております。その実現にあたって、3つの既存事業のうち特にどこに注力されるのかを教えていただけますか? 

御社が掲げていらっしゃる「○年後に○億円企業を目指す」とい目標の達成に向けて、新規事業やMAなども検討されていると拝察します。具体的な方向性について、開示いただける範囲で教えていただけるでしょうか? 

【解説】 
経営計画や事業内容について、具体的な数字を挙げて質問をすることで、応募企業について良く調べていることが伝わります。また、今後の方向性や成長性について期待や興味関心を持っていることでも、「自社と求職者の価値観が一致している」という印象を企業に与えることができるでしょう。 

質問例2:事業、商品・サービス、顧客などについて把握する 

○○事業では今後○○業界や△△業界以外への展開も進めていかれると次面接でうかがいました。御社のプロダクトの特性上、私の経験してきた◎◎業界や▲▲業界でもニーズがあると感じており、それらの業界への事業展開の可能性があれば私もより貢献できるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか? 

【解説】 
これまでの面接を通じて応募企業への理解を深め、それによって、志望度が一層高まったことが伝わる質問です。今後の事業展開に関して、自分なりに考えを整理して見解を述べている点や、自身との接点を見出して貢献する意欲を見せている点でも、好印象を持たれる可能性が高いでしょう。 

質問例3:組織、人、社風などを把握する 

御社独自の、従業員の成果を公平に評価する人事評価制度に魅力に感じております。導入背景を採用ホームページで拝読しましたが、組織のカルチャーなどは導入前後でどのように変化したでしょうか?中には新しい制度・カルチャーに合わない人もいて、組織としての痛みもあったのではないかと思いますが、どのように乗り越えられたでしょうか? 

【解説】 
現在の人事評価制度の導入背景まで調べ、それについて自分なりの仮説を持って質問をしているので、企業側も答えやすく、円滑なコミュニケーションが望めます。同時に、「自社の評価制度に魅力を感じてくれている」「この人なら組織風土にマッチしそうだ」という印象を企業に与えるでしょう。 

最終面接における逆質問のNG例 

反対に、逆質問の際に控えたほうが良い質問や、表現に注意したほうが良い質問としては、次のものが挙げられます。 

控えたほうがよい質問

控えたほうが良い質問は、以下の3つです。 

調べればわかる内容

ホームページを見ればわかるような質問は「調べていない=志望度が低い」と判断されることがあります。 

自分なりの見解や仮説を提示しない、抽象的な質問 

「社長が考える経営とは何でしょうか?」「事業の成功をどのように定義づけていらっしゃいますか?」など、質問の意図がわかりづらい抽象的な質問は、答えづらく、相手によってはいい印象をもたれない場合があります。「インタビュー記事を拝読して、○○を大事にされていると感じましたが、そのお考えに至った背景を教えていただけますか?」など、調べてきている土台があるからこその質問であれば、納得して答えてもらえるでしょう。 

最終面接の担当者以外にした方が良い質問 

例えば、管理職として入社する場合、「どのようなメンバーが自分の部下になるのか」といったことは、最終面接の担当者である経営陣は詳しくない可能性があります。また、福利厚生、配属の想定、年収など、人事や現場の社員に聞いたほうが的確な答えが返ってくる質問も控えた方が良いでしょう。 

表現に注意したほうが良い質問

離職率の推移についての考えや、業績悪化の要因、口コミサイトの情報の真偽などは、どうしても気になる場合は聞いても構いませんが、聞き方には注意しましょう。 

例えば、「昨年度の業績悪化の背景を教えてください」とストレートに尋ねると、相手の心証を悪化させたり、戸惑ったりする可能性があります。 

「昨年度の業績悪化について、IR情報などから○○が要因として大きかったように推測していますが、一番大きな要因はどのような点にあったとお考えでしょうか?」「昨年度の業績悪化の要因は○○だとこれまでの面接でうかがいましたが、今後の改善方針をどのように考えていらっしゃいますか? 」などと、マイルドな表現で尋ねましょう。 

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。