「行動力」を自己PRで伝える場合のポイント
自己PR文において「行動力」をアピールしたい場合には、どうしても仕事のスピードや行動量などに注目してしまいがちです。しかし、これだけでは、採用担当者に自身の行動力を十分にアピールすることは難しいでしょう。なぜなら、採用担当者の多くは、単にフットワークが軽いだけでなく、確かな根拠や明確な目的意識を持ったうえでの行動力を求めているからです。
そのため、行動力にフォーカスして自己PR文をまとめる際には、自身の行動の背景にある「想い」や「こだわり」がうまく伝わるような文章に仕上げることがとても重要です。また、自身が行動することによって「どのような変化が起きたのか」「どのような良い結果がもたらされたのか」といった具体的な成果についても盛り込むことが大切になります。
「行動力」の自己PR例文
「行動力」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。
営業職(専門機器メーカー)の自己PR例文
前職では専用機器メーカーの法人営業として、持ち前の「行動力」を武器に、新規開拓に力を注いできました。当初は手薄だった自動車業界の取引量を増やすため、展示会などのイベントに積極的に参加して人脈を広げ、新たな顧客を開拓。自動車部品メーカーなど約20社から新規の受注を獲得し、会社の売上を前年対比で20%アップさせました。貴社においても、行動力を活かして売上・顧客拡大に貢献したいと思います。
小売り・管理職の自己PR例文
関東エリアにあるスーパーマーケット25店舗を統括するマネジャーとして、自身の強みである「行動力」を発揮し、売上拡大に貢献してきました。業界の固定観念を打破するために勉強会を通じて異業種の先進事例を積極的に学び、SNSを活用した販促手法などを取り入れた結果、既存店売上高を1年で50%以上アップさせることに成功しました。貴社においても、管理職として培ってきた行動力を活かし、事業拡大に貢献していきたいと考えています。
エンジニア職(SIer)の自己PR例文
私の強みは「行動力」です。前職のSIerで携わっていた食品メーカーの基幹システムの開発プロジェクトにおいては、積極的に取引先へ足を運び、製造現場のスタッフと顔を合わせて議論を繰り返すことで、現場の課題を一つひとつクリアにしていきました。この結果、作業効率を50%以上アップさせるシステムを構築でき、取引先からも信頼を獲得することができました。貴社においても、持ち前の行動力を発揮して、プロジェクトを力強く推進していきたいと考えています。
自己PRで採用担当者が確認していること
採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。
- 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
- その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか
行動力をアピールすることは、与えられた仕事をこなす受け身の姿勢ではなく、自ら積極的に行動して成果を上げられる人材を求める企業に有効です。規模が小さく成果が数値化できないようなケースであっても、主体的に行動できていることを具体的なエピソードを交えて文章化できれば、自身の行動力をうまくアピール材料につなげることができるでしょう。
自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。
自己PR文の作り方のコツ
履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。
【1】書き出し
書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「行動力」を入れておくとわかりやすいでしょう。
【2】【1】を裏付けるエピソード
最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くのはNG。200~400文字程度にまとめてください。
【3】成果
【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。
【4】締め
応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。
自己PR文を作成する際の注意点
自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。
企業が求める人物像にマッチしていない
自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。
具体性に欠け、人柄がイメージしにくい
曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。
要点が絞られていない
アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。
専門用語が多く、分かりやすさに欠ける
異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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