「集中力」を自己PRで伝える場合のポイント
仕事における「集中力」とは、「一つの業務や課題に意識を集中して取り組み、成果を上げる力」を指します。自己PRで集中力をアピールする際には、単に集中力があるというだけではなく、その結果どのような成果が上がったのかまでをセットにして伝えることがポイントです。何かに没頭するというだけの一般的な集中力ではなく、集中力の高さがどう業務に寄与したのかなど、自身のエピソードに基づいた自分らしい「集中力」を具体的に伝えるといいでしょう。
また、集中力をアピールしたつもりが、伝え方によっては、「一つのことしかできない・取り組まないのでは?」「仕事の好き嫌いがあるかも」「自分個人で集中することはできても、周囲と協業することについては苦手かも」という懸念を持たれる可能性もあります。ミドルシニアになってくると、個人の業務や課題に対する集中力というよりも、組織の課題やミッションに対して集中力を発揮し、メンバーの総力をあげて成果を出すという考えが大切です。
「集中力」の自己PR例文
「集中力」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。
会計・コンサルタント職の自己PR例文
私の強みは、物事の優先順位付けを的確に行い成果を出す「集中力」です。
前職では所属部署の人員が多くはない中で、顧客の状況や要望は多岐にわたり、常に業務がひっ迫していました。このままでは顧客に有益な課題解決・価値提供ができないと考え、今までのコンサルティング業務の中で成功している事例から共通要素を抽出し、顧客の経営・業務分析をする観点を重要項目に絞り、業務を効率化できるフレームワークを開発。それを基に分析し、顧客の決裁権者(CFOや経理財務部長など)と同じ目線でやりとりできるようにもしました。論点が双方で整理されて共通認識を持って進められることから、効率的に案件を獲得しコンサルティングサービスの提供まで実行可能になりました。属人化していたものを共通化・可視化したことで、売上は◯%アップ、案件数も◯%アップとなり、チームの底上げにも貢献できました。この経験スキルは貴社でも活かせると考えております。
エンジニアリングマネジャー職の自己PR例文
課題解決・目標達成に向けて、何が必要かを分析・取捨選択し取り組む「集中力」が私の強みです。
Webサービス企業で○名のエンジニア組織のエンジニアリングマネジャーを務める中で、チームメンバーのエンゲージメントスコアが低下しているという課題を抱えていました。そこで、エンジニアの働きやすさと働き甲斐向上を通じた生産性アップを重視しようと考えました。具体的には、自社のエンジニアのニーズを分析し、技術負債の解消、適切な開発環境の整備や高性能のハードウェアの提供、スキルアップのための各種手当(研修、技術書、コミュニティの参加など)の整備はもちろん、働き甲斐向上のために必要と判断した人事評価制度と経営陣からの見られ方の部分にも集中して取り組みました。営業や管理部門とは異なるエンジニアに適した評価制度は人事部と協議して決定。経営陣にエンジニアの価値を理解してもらうため、社内技術プレゼンや経営陣との交流の場なども設け、「この会社で働いて充実している・やりがいがある」と思えるような環境整備を推進。その結果、エンジニアのエンゲージメントスコアは過去3年間で◯%アップ。リファラル採用数・率ともに向上しました。この経験をもとに貴社に貢献したいと考えております。
IR・管理職の自己PR例文
私の強みは、課題に対して実現可能な事柄に集中して取り組み、成果を出す力です。
自社のIR活動は、従来は四半期ごとの決算発表、有価証券報告書作成・株主総会、機関投資家等からの問い合わせベースで、最小のものでした。そこで、企業価値向上のために積極的なIR活動を行うべく、他社のIR活動をベンチマークし自社のIR活動に不足していることを冷静に分析。2年前より、国内・海外の機関投資家とのミーティング実施数、個人投資家向け合同セミナーへの参加回数、証券会社のセルサイドアナリストや新聞記者向け個別説明回数、プレスリリースやIRサイトの情報発信頻度などをKPIとして設定。自社の人的資源を最大限活用するため、実現可能な活動に絞って展開しました。各種KPIを達成していくことで、セルサイドアナリストのカバー率向上、機関投資家の保有比率向上、流動性の増加も実現。株価向上にも一定程度寄与することができたと自負しています。この経験を活かして貴社にも貢献したいと思っています。
自己PRで採用担当者が確認していること
採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。
- 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
- その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか
集中力を強みにしている応募者の場合、「物事の取捨選択・優先順位付けを的確に行える力」があるかどうか、「自身(セルフコントロール)や組織(巻き込み・説明など)を、目的や目標の達成に向けてうまく集中させ、効率的・生産的に取り組める方法を身につけているかどうか」も見ています。
自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。
自己PR文の作り方のコツ
履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。
【1】書き出し
書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「集中力」を入れておくとわかりやすいでしょう。
【2】【1】を裏付けるエピソード
最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くのはNG。200~400文字程度にまとめてください。
【3】成果
【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。
【4】締め
応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。
自己PR文を作成する際の注意点
自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。
企業が求める人物像にマッチしていない
自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。
具体性に欠け、人柄がイメージしにくい
曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。
要点が絞られていない
アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。
専門用語が多く、分かりやすさに欠ける
異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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