「ポジティブ・前向き」を自己PRで伝える場合のポイント
「ポジティブ・前向き」であることは、何事もプラスに捉え、能動的に仕事に取り組める力があることを示しています。例えば、仕事上でトラブルに直面したり、思いがけない困難に巻き込まれた際、悲観的になることなく対処できたり、周りに元気を与えたりできる存在だと言えます。組織のムードメーカーとなり、周囲に好影響を与えられる力があることは、どのような業界・企業でも評価されることでしょう。
ただ、「ポジティブ・前向き」はどうしても自己評価になりがちです。そこで、前向きな思考の持ち主であることが、周囲にどのような影響を与えたのか、そして、どのような成果につながったのかを、客観的な数字や成果とともに伝える必要があります。「ポジティブ・前向き」さは、誰もがアピールしやすい内容です。前職でのエピソードなどを交えながら、他者との差別化ができるような成果に結びつけて伝えるように心がけましょう。
「ポジティブ・前向き」の自己PR例文
「ポジティブ・前向き」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。
営業・リーダー職(不動産)の自己PR例文
私の最大の強みは「前向き」であることです。前職では10年間、不動産営業に従事してきましたが、売上目標の達成に向けてプレッシャーを感じる場面も多いことから、前向きな思考で仕事に取り組むことを常に意識してきました。先日、私がリーダーを務める営業チームのメンバーが抱える大型投資物件の契約が急遽キャンセルとなり、営業目標が未達に終わる可能性が高まりました。しかし、すぐに気持ちを切り替え、チーム内で目標、見込顧客、メンバーの営業活動状況の整理・可視化を行ったり、営業トークスクリプトをブラッシュアップして営業の精度を高めたりなどし、チーム一丸となって新規開拓に臨んだところ、新たな顧客の獲得に繋がり、目標数字を20%上回る形で達成することができました。私は、どんな逆境にもめげることなく、常に前向きに取り組む姿勢を大切にしています。貴社でもこうした姿勢を貫き、売上アップに貢献したいと考えています。
エリアマネジャー・管理職(小売)の自己PR例文
私が常に大切にしてきたことは「ポジティブでいること」です。
関東で15店舗のスーパーを展開する企業で12年勤務し、直近3年間はエリアマネジャーを務めてきました。私がマネジャーになった時期は、景気の影響もあり業績悪化で苦しい状況が続いていましたが、だからといってリーダーが後ろ向きの発言や行動をしていては、誰も本来の力を発揮することはできません。厳しい時こそ前向きに明るく振る舞うこと、また自身がスタッフのお手本となるよう行動することで、スタッフにも活力が生まれ、それがお客様への接客にも好影響を与えるのではないかと思い、行動に移しました。その結果、右肩下がりだった既存店売上が下げ止まり、昨年は前年比15%の売上アップを達成した店舗も出てきました。貴社においても、持ち前の「ポジティブ」な姿勢を活かしていきたいと考えています。
エンジニア職(家電メーカー)の自己PR例文
私の強みは、「常に前向きな姿勢を忘れないこと」です。
前職では家電メーカーの設計開発職に18年従事してきました。時には思うような試作品ができず、開発部署全体に重苦しい空気が漂う場面もありました。プロジェクトが停滞し始めると、部内のコミュニケーションも少なくなりがちです。そこで私は、「今うまくいっていないことは、今後より良い商品を作るための通過点だ」と発想の転換をし、「今後のために今何をしたらいいのか?」を考えるようにしました。具体的には、各メンバーが今どのようなことに悩んでいるのか、どのようなことが解決したら次に続けられるのか等をヒアリングし、関係者が会話できる場を定期的に設けるようにしました。すると、回数を重ねるごとに活発に意見交換がなされるようになり、技術的な課題をクリアすることに繋げることができました。貴社においても、自身の強みである「前向きさ」を発揮し、組織の活性化に貢献していきたいです。
自己PRで採用担当者が確認していること
採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。
- 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
- その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか
「ポジティブ・前向き」をアピールすることは、仕事上の困難に直面した時も、うまく対処法を見つけ出し、職場を活気づけられる人材だというプラスのイメージにつながります。営業や接客など、対人スキルが必要となる職種のみならず、周囲に好影響を与えるという点で、どんな仕事に取り組む上でも歓迎されるスキルでしょう。
ただし、注意したいのは「楽観的である反面、論理的に深く物事を考えることができないタイプなのではないか?」と思われる可能性があることです。前向きであることと同時に、責任感を持って業務に取り組んできたことや、論理的に仕事を進める力があることなどを示せば、マイナスイメージを抱かれることもないでしょう。
自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。
自己PR文の作り方のコツ
履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。
【1】書き出し
書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「ポジティブ・前向き」を入れておくとわかりやすいでしょう。
【2】【1】を裏付けるエピソード
最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。
【3】成果
【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。
【4】締め
応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。
自己PR文を作成する際の注意点
自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。
企業が求める人物像にマッチしていない
自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。
具体性に欠け、人柄がイメージしにくい
曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。
要点が絞られていない
アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。
専門用語が多く、分かりやすさに欠ける
異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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