【建築・不動産の転職】No.1ヘッドハンターに聞く年収・キャリア形成・最新動向

【建築・不動産領域の転職トレンド】大手を中心にコロナ禍でも求人ニーズは堅調。PMCM企業の採用意欲は旺盛

我々は建築・不動産業界に強みを持ち、建築士に特化したキャリア支援を行っています。
コロナ禍初期は、飲食業界やホテル業界などの案件が一斉に止まり、その分野に強みを持つ設計事務所やデベロッパーなどは一部求人をストップする動きが見られましたが、それ以外では大手設計事務所やゼネコンを中心に、コロナ禍でも総じて堅調な求人ニーズが継続しています。

特に採用意欲が高いのは、建設プロジェクトにおいて発注者に代わってプロジェクトマネジメントやコンストラクションマネジメントを手掛ける「PMCM企業」。業界を問わずさまざまな案件を手掛けているため、コロナ禍でも業績を伸ばしており、求人ニーズも旺盛です。

【転職市場の今後の見通し】ホテル業界などの復調もあり、業界全体が活況。旺盛な採用ニーズが継続

企業体力があり案件を多く抱える大手設計事務所やゼネコン、そしてPMCM企業を中心に求人件数は高位安定が続いています。中堅企業もコロナ禍でも採用を継続してきましたが、ここ最近の案件増加を受けて再度求人に力を入れる企業が増えつつあります。

そして、ここにきて、一時ストップしていた飲食やホテルの案件も戻りつつあります。特に、2025年に大阪万博を控えている関西地区ではホテル中心に建設需要が増えており、職種に関わらず求人件数が増加。中でも設計に関わる人材は、そもそもの母数が少ないこともあり需給がひっ迫しています。

【決定年収の傾向】企業によるところが大きいが、人材不足が顕著な「設計職」は高く決まる傾向に

この業界は企業規模によって年収のレンジが大きく変わる傾向が強く、小規模な事務所で経験を積み、その経験を武器に大手に移ることで大幅に年収を上げる人が多いのが特徴です。

足元の傾向で言えば、設計の中でも設備設計職は圧倒的な人手不足が影響し、高年収で決まるケースが増えています。構造設計も需給がひっ迫傾向にあり、即戦力人材を中心に高い年収を提示する例が増えつつあります。

【企業が求める人材像とキャリアのポイント】一番欲しいのは経験豊富な即戦力。一方で「領域未経験者」を採用し育てる姿勢の企業も増加

求人ニーズは各社とも旺盛ながら、一方で求める人物要件のレベルも上がっています。人材不足で即戦力を求める企業が増えていることが要因ですが、即戦力のハイクラス人材は取り合いであり、採用難易度が高い状態が続いています。したがって、各領域で経験を積んだハイクラス人材は引く手あまたであり、希望に合った転職を実現できる可能性が高いでしょう。

そんな中、我々は採用未充足企業に対して未経験者にも間口を広げる提案を続けており、実際に採用に踏み切る企業が増えつつあります。
この業界は、領域が細かく分かれているため、例えば「木造建築の設計をやっていたけれど、マンションやビルなどRC造にも挑戦したい」など、経験領域を広げることでステップアップを目指す人が多いのが特徴。さらには、「施工管理の経験を活かしつつコンストラクションマネジメントもしくは設計にも関わってみたい」など業界内キャリアチェンジを志す人も少なくありません。
このようなスキルアップ意欲の高い「領域未経験者」に注目し、自社で育成しようと考える企業が増えているので、意欲ある未経験者にとってもチャンスが広がっていると言えそうです。

【求職者側の動き】30～40代の動きは引き続き活発。最近は50代の「現場志向の求職者」が増加傾向

この業界は、経験を武器に転職でキャリアアップを目指す方が多く、20代の若手から40代のベテラン層を中心に、常に人材が動いています。

ただ最近では、定年を前に50代のシニア層が新天地を求めて転職を志すケースが増えていると感じます。
役職定年を前に、まだまだ現場で力を発揮したいという意欲ある人が多く、「年収やポジションが下がる前に、経験を活かして活躍できる場所を求めたい」と相談に来られるケースが増えています。
その動きに呼応する形で、シニア層ならではの経験の厚さを評価し、採用する企業も増加。設計職や施工管理などはもちろん、最近は図面通りに施工されているかどうかを確認する工事監理の仕事においてシニア層を採用するケースが増えています。

建築・不動産領域の高年収＆満足度の高い事例TOP3を紹介

前述のように、即戦力のハイクラス人材は引く手あまた。各企業が求める高い要望にピッタリ合った人材はとりわけ高い年収を提示されるケースが増えています。実際の事例を紹介します。

【Case1：40代前半】サブコンの設計施工から、チャレンジングな環境を目指してPMCM企業に1100万円で転職

大手のサブコンで長らく設備設計と施工を経験してきたAさん（40代前半・男性）。単身で地方に赴任していましたが、なかなか東京に戻れる気配がなく「経験を活かして東京で働きたい」と希望されていました。

条件面を考えれば同業界・同職種でのマネジメントサイドへの転職が順当と思われましたが、Aさんは「経験を活かしつつ新しいことにもチャレンジしたい」という意欲を持っておられました。そこで、ゼネコンではなくPMCM企業のコンストラクションマネージャー職への転身を提案。3社をご紹介しましたがいずれもAさんの豊富な現場経験が高く評価され、即内定を獲得しました。その中からＡさんは、業界トップクラスの企業ながらチャレンジングな事業展開を続けている会社に入社を決めました。

前職の年収は1000～1100万円で、転職先は1100万円。ほぼ同水準での転職となりましたが、家族のいる東京に戻りイキイキ活躍されておられます。

【Case2：60代前半】豊富な設計経験を活かし年収1000万円越え転職に成功

準大手ゼネコン、大手デベロッパーで設計職として経験を積んできたBさん（60代前半・男性）。60歳を過ぎ、グループ企業に出向となりましたが、「もっと最前線で活躍したい」という思いが強く、転職を希望されました。

当初、Bさんは年収大幅アップを希望していたため、なかなか希望に合った求人が紹介できずにいましたが、本来の目的である「最前線での活躍」を優先することでご納得いただき、いくつかの案件をご紹介しました。経験的には申し分ないことから、Bさんに興味を持つ企業は多く、その中から「マネジメントだけでなく現場業務も任せたい」という大手デベロッパーと意気投合。トントン拍子で転職が決まりました。年収は1000万円から約1050万円と、微増ながらアップを実現しました。

【Case3：40代前半】発注者側への転身を目指し、PMCM企業に注目。残業時間が減り実質年収アップを実現

大手ゼネコンと建設会社で設備設計に携わっていたCさん（40代前半・男性）は、発注者側への転身を希望し、大手不動産系デベロッパーへの転職を目指しておられました。しかし、経験豊富な即戦力人材ながら、やや内向的な性格のためにライバルに競り負けてしまっていました。

視野を広げていただくために、PMCM企業の転職ウェビナーにお誘いしたところ、いろいろな案件の代理業務を手掛けられることに興味を持っていただけるように。求人企業側も、Cさんの経験を高く評価し、複数社から内定を獲得。その中から業界トップクラスの企業に入社を決めました。

年収は、前職の1100万円から少しダウンし、1000万円で決定。ただ、前職は残業が多く残業代が年収を押し上げていたため、実際の年収は800万円程度。実質年収アップとなりました。今では残業が減ってメリハリのある生活が送れるようになり、「転職して本当によかった」と満足いただいています。

【建築・不動産領域のハイクラス転職のポイント】いま勢いがあり伸びしろもあるPMCM企業に注目すればチャンスが広がる

この業界でハイクラス転職を目指すにあたり、発注者代理業務を手掛けるPMCM企業の存在は外せないと考えています。
PMCM領域はまだ歴史が浅く、成長中であるうえ今後の伸びしろも大きいのが特徴。加えて、各プロジェクトにおいてクライアントの要望にすぐに応えられる知識や経験が必要とされるため、即戦力人材を高く評価する傾向にあります。実際、各社とも意匠設計や設備設計、構造設計、施工管理などそれぞれの得意分野を持ったハイクラス人材が集まっているので、特化した強みを保有している方はぜひPMCM企業に注目してみてほしいですね。

ただ、クライアントの代理業務を担うことになるため、クライアントの立場を理解し要望に応え続ける、コンサルタント的な立場が求められます。したがって、経験やスキルだけでなく、コミュニケーション力や提案力なども見られています。
とはいえ、難しく捉えすぎる必要はありません。しっかりと自分の軸を持ち、PMCM企業に注目する理由や実現したいキャリアを自分の言葉で伝えることを意識すれば、人となりは十分伝わります。アピールが不安な方は、我々が経験やスキルを紐解き、意欲や熱意を整理するお手伝いをしますので、ぜひ気軽にお声がけください。