【外資系企業への転職】求められるスキルと転職活動のポイント

「語学力を活かしたい」「グローバルで活躍したい」「若いうちから活躍できそう」「年収を上げたい」などの理由から、キャリアの選択肢のひとつとして外資系企業を希望する方も多いようです。では、外資系企業への転職にチャレンジする場合、語学力以外にどのようなスキルが必要なのでしょうか。

そこで今回は、1976年イギリスで創業、2001年に東京オフィスを開設し、日系・外資系企業ともにスペシャリストの転職支援を一気通貫で行うマイケル・ペイジ・インターナショナル・ジャパン株式会社の水谷 央氏と服部 亜矢氏にインタビューし、外資系企業を目指す場合の前提知識や転職活動のポイントをご紹介いたします。

水谷 央氏、服部 亜矢氏

水谷 央氏

新卒入社時から一貫して外資系の転職エージェントに在籍し、人材採用に携わる。現在は日系企業に特化した人材紹介事業の責任者。当チームはエグゼクティブレベルから中堅レベルを主な対象に、セールス&マーケティング、IT、戦略コンサルティング、製造業、ヘルスケア&ライフサイエンス、経理・財務・内部監査、人事、法務&コンプライアンスなど多岐にわたる職種で採用支援に従事。

服部 亜矢氏

新卒で日系企業に総合職で入社後、海外の大学院に入学し教育学を専攻。帰国後に同社に入社し、日系・外資系企業のオフィスサポートと2018年に新規立ち上げたカスタマーサービス職の採用支援に従事。

「語学力を活かしたい」「グローバルで活躍したい」「若いうちから活躍できそう」「年収を上げたい」などの理由から、キャリアの選択肢のひとつとして外資系企業を希望する方も多いようです。では、外資系企業への転職にチャレンジする場合、語学力以外にどのようなスキルが必要なのでしょうか。

そこで今回は、1976年イギリスで創業、2001年に東京オフィスを開設し、日系・外資系企業ともにスペシャリストの転職支援を一気通貫で行うマイケル・ペイジ・インターナショナル・ジャパン株式会社の水谷 央氏と服部
亜矢氏にインタビューし、外資系企業を目指す場合の前提知識や転職活動のポイントをご紹介いたします。

外資系企業の働き方の特徴とは

日系企業は部署異動が多く、ジョブローテーションによってジェネラリストを育成しますが、外資系企業はジェネラリストよりも専門性の高いスペシャリストを求める傾向があり、自ら手を挙げない限り部署異動することはありません。

日系企業と外資系企業の雇用の違いは、“ピジョンボックス(鳩の箱)”をイメージすると分かりやすいかもしれません。外資系企業では個人の業務内容と責任範囲が鳩の箱のように明確に決められており、与えられた範囲で高い成果を出すことが求められます。一方、日系企業は個人の箱の定義が曖昧で、数名に広い箱を与えてみんなで成果を出し、「連帯責任」や「和」を重視する傾向があります。具体的な例として、外資系企業では「年収1,000万円でスペシャリストを1名採用」するところ、日系企業では「年収450万円で3名採用」し、リスクヘッジするといった違いがあります。

1人あたりの給与が高い分、外資系企業では短期で成果を求められます。もちろん企業によって社風の違いはありますが、短期で成果を出すために、ビジネスのスピードは当然速くなりますし、チームで成果を出そうとする日系企業と比べると、自身で考えて業務を遂行する力が求められるため、個人主義も強くなる傾向があります。外資系企業の大きな特徴と言えるでしょう。
また、成果を出せなければ、与えられたポジションに残り続けることはできません。外資系企業では経験・スキルを武器に転職を繰り返すことは珍しくなく、むしろチャンスがあればスキルアップ・キャリアアップのために積極的に環境を変えるのが一般的です。

外資系企業で求められる基礎スキル

スペシャリストを求める外資系では、スキルマッチしていることが前提ですが、専門性以外にも活躍するために必要な共通スキルがあります。

成果を出すための「業務効率化」と「優先順位付け」

短期間で成果を出すためには、業務効率を高めたり、優先順位を付けて業務を進めたりするスキルが求められます。「業務スピードを高めるために工夫していること」は、外資系企業の面接でも聞かれることの多い質問です。

積極的に成果を伝える「アピール力」

個人主義が強く、日系企業のように組織で動く環境ではないので、自ら積極的にアピールしていかないと、せっかくの努力や成果も気づいてもらえない可能性があります。また、「待ち」の姿勢は「意見がない」と受け取られてしまい、社内での影響力が弱くなってしまいます。自分なりのアイデアやソリューションを武器にして、「やりたいこと」を意思表示する姿勢が重要です。

責任の重圧を跳ね返す「プレッシャー耐性」

個人の責任範囲を明確にして「成果を出せば高い報酬を支払う」というスタンスの外資系企業では、一人で決断しなければならない局面も多く、プレッシャー耐性は重要です。

なお、プレッシャーは大きいですが、責任感を持って成果を出しさえすれば、性別や年齢、国籍や入社年次などに関わらず評価される点が外資系企業の魅力のひとつ。集中して成果を出したら、有給休暇を長期で取得してリフレッシュするなど、メリハリのある働き方も実現できるでしょう。

外資系転職に必要な英語力と、TOEICの点数は?

外資系企業では、TOEICスコア「650点以上」または「800点以上」の基準を設ける求人が多いようです。もちろん、企業によっては英語をほとんど使わないポジションもあるので、英語力が不足していても転職することは可能です。ただ、「マネージャーはレポートラインがグローバルで英語必須」など、英語力不足ではキャリアアップできる保証がありません。企業によっては「英語が堪能になるまで育成する」よりも、「英語が堪能な人材をマネージャーとして採用した方が早い」と考える可能性があるからです。

企業によって求められる英語力は異なります。英語力に自信がない場合は、日系企業で英語を使う機会の多いポジションもあるので、ビジネスレベルの英語力を磨いてから外資系企業に転職するという選択肢もあります。

なお、英語力が不足していても、経験が100%マッチしていた点を評価されて内定が決まったケースもあります。このケースでは、他にスキルと英語力を完全に満たした人材が見つからなかったため、英語力が身に付くまでのサポート環境を整えてもらうことで内定を得ることができました。入社後の活躍を見据えると英語力は確実に必要ですが、ポジションによっては英語が堪能になるまでの猶予を設けてもらえる可能性もあるので、まず転職エージェントに相談してみることをお勧めします。

外資系企業への転職活動で知っておきたいこと

基本的に日系も外資系企業も転職活動のプロセスは同じですが、採用の決定権を現場責任者が持っていたり、グローバルに決裁者がいたりするなど、日系企業と異なる特徴的な点もあります。

一次面接を現場責任者が行うケースがある

外資系企業の場合、採用の決定権を現場責任者が持っているケースも多いため、一次面接を人事担当者ではなく現場責任者が行うことがあります。日系企業では、一次面接は人事担当者が「志望動機」や「転職理由」、「自己PR」などを質問し、人柄や社風との相性を確認するケースが多いのですが、現場責任者が面接を行う場合は、具体的な業務に関する質問が多くなります。

企業によっては5~10回の面接がある

もちろん面接回数は企業によりますが、金融業界や大手Web系企業では5回~10回の面接を実施するケースもあります。日本法人とグローバルの責任者がそれぞれ面接してミスマッチを減らそうとするため、面接回数は必然的に多くなります。ただしITエンジニアなど選考に時間をかけていると採用が難しくなる職種では、1~2回などで判断しているケースもあるようです。

外資系企業がすべて英語面接を行うわけではありませんが、グローバルの責任者との面接は、間違いなく英語面接になります。よほど英語に慣れた方でない限り、転職エージェントに電話面接や英語面接の練習をしてもらった方が、本番でうまく伝えることができるでしょう。

内定通知書が出るまでに時間がかかる

外資系企業では、人材採用の承認フローが海外に及ぶため、口頭で内定が伝えられてから実際に内定通知書が届くまでにかなりの時間を要します。例えば、採用ポジションの部門トップが日本にいたとしても、「APACの管轄はシンガポール」「グローバルの管轄はドイツ」など、管轄エリアのトップが全員サインしなければならないため、遅いケースでは1カ月近くかかることもあるようです。

外資系企業の転職支援を行っている転職エージェントであれば、内定通知書が出るまでの日数や回答期限をある程度は把握をしているので、スケジュールのアドバイスも的確です。また、複数の転職エージェントを活用する場合も、比較検討して転職先を選ぶために、内定通知書をもらうタイミングは絶対に揃えることをお勧めします。

外資系企業への転職Q&A

外資系企業への転職を目指す方の、「よくある質問」と回答をまとめました。

評価査定は日系と外資系で違いはありますか?

外資系でも360度評価を採用している企業もあれば、上司だけが直接評価する企業もあるので一概に言うことはできません。日系企業に比べると「数字ベース」で評価することが多いため、主観は入りにくい傾向にあります。

退職金などの福利厚生面が気になります。

退職金や確定拠出年金(401k)などを導入している外資系企業も増えていますが、住宅手当や家族手当などの福利厚生面は、日系企業の方が充実しているようです。一方で、外資系に多いのがストックオプション。ボーナスと同程度のRSU(Restricted
Stock
Unit 譲渡制限付き自社株式取得権)またはストックオプションを付与するケースが多く、年収とストックオプションのモデル例として「1,800万円(ベース給与)+300万円(ボーナス)+300万円(ストックオプション)」といった形になります。

外資系企業では、日系企業のようなポテンシャル採用はないのでしょうか?

以前は即戦力重視の採用でしたが、求める人材要件に合致する人材が国内にいない場合に、ポテンシャル採用に切り替えるケースも増えてはいます。ただし、日本語を話せない外国籍の人材でカバーするケースもあるので、「人材不足=ポテンシャル採用」とは限りません。

外資系企業へ転職を検討している方へのメッセージ

転職エージェントを使うと「積極的に転職を勧められるのでは」と、抵抗感をお持ちの方もいらっしゃると思います。でも、求人情報だけでは年収目安や企業規模など、表面しか見えません。転職先を選ぶには、具体的な業務内容や人間関係、将来性などの情報が重要なはずです。

特に外資系企業の採用マーケットは常に変化しているので、もし転職するまでの期間に余裕をお持ちであれば、転職エージェントに登録して6カ月や1年かけて情報収集したほうが、転職活動の質が高まりますし、ミスのない選択ができると思います。また、ご説明した通りグローバルとの面接や内定通知書が届くまでに時間を要する点からも、早めに動いた方が安心です。無理に転職を勧めることはありませんので、転職を決めている方もまだ迷っている方も、ぜひ相談してみることをお勧めします。

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