結核追跡ヘッドバンド、マラリアハッカソン…アフリカの医療を変えるテクノロジー特集

ヨハネスブルクの最先端を行く市街地に新しく設置されたイノベーションハブでは、他に類を見ないハッカソンにおいて、8カ国から来た若い科学者20人がコンピューターを熱心に見つめています。科学者たちが解読しようとしているコードは、政府高官や行政機関のメールのパスワードではありません。もっと崇高な目的を持っています。世界に災いをもたらす「薬剤耐性マラリア」に打ち勝つ方法を見つけ出そうとしているのです。

ヨハネスブルクの最先端を行く市街地に新しく設置されたイノベーションハブでは、他に類を見ないハッカソンにおいて、8カ国から来た若い科学者20人がコンピューターを熱心に見つめています。科学者たちが解読しようとしているコードは、政府高官や行政機関のメールのパスワードではありません。もっと崇高な目的を持っています。世界に災いをもたらす「薬剤耐性マラリア」に打ち勝つ方法を見つけ出そうとしているのです。

※参考資料

http://qz.com/782760/tb-tracking-headbands-mapping-cancer-and-a-malaria-hackathon-how-data-is-fighting-disease-in-africa/

結核追跡用ヘッドバンド、がんマッピング、マラリアハッカソン。データは、アフリカでどのように病気と戦っているのか

ヨハネスブルクの最先端を行く市街地に新しく設置されたイノベーションハブでは、他に類を見ないハッカソンにおいて、8カ国から来た若い科学者20人がコンピューターを熱心に見つめています。科学者たちが解読しようとしているコードは、政府高官や行政機関のメールのパスワードではありません。もっと崇高な目的を持っています。世界に災いをもたらす「薬剤耐性マラリア」に打ち勝つ方法を見つけ出そうとしているのです。

東南アジアでマラリアの病原菌が、なぜアルテミシニンをベースにした薬品に対する耐性を持つようになったのかを解明するために、コンピューターに精通した科学者であるハッカーたちが作業を行っています。世界保健機構(WHO)によれば、マラリアは2015年に約44万人を死に至らしめ、その90パーセントがアフリカで亡くなっています。そのマラリアに対する最も効果の高い治療薬が、アルテミシニンをベースにした薬品です。新しい治療の組合せを生み出すために、ハッカーたちは、このマラリアの病原菌のゲノム構造を研究しています。ハッカーたちは全員、今やヨハネスブルクの最先端地区にあるウィットウォータースランド大学内に新しくできたトゥシモロゴンイノベーション区域に本拠地を置くIBMの新しい基礎研究所(2013年に建設された南米大陸でナイロビに次ぐ2つ目の研究所)に集結しています。

“世界地図が人間の能力に与えてきた影響を想像してください。それと同じ魔法のようなことが、生物学にも起ころうとしているのです。”

アフリカで病気を治療し、病気による懸念を取り除くために活用されている、体の内部と外部の両方から得られるデータやIBMのコグニティブ・コンピューティング・システム、”Watson”は単なる手段の1つです。最近行われた5日間のハッカソンで、世界各国から集まった医学研究者たちは、マラリアのデータマッピングソリューションをやり遂げるために力を合わせました。より長期にわたる他の研究プロジェクトでも、がんや結核のような病気を治療するためにデータを用いています。

結核を追跡する

ジンバブエ人のダーリントン・マピエ氏は、核の研究に注力している生物学者です。結核は、肺に影響を及ぼす細菌感染症で、WHO(pdf)によれば、2014年には世界中で960万人が苦しめられたとのことです。

マピエ氏は今後、結核と診断された患者に渡されたヘッドバンドとリストバンドから集められるデータを分析する予定です。追跡装置(様々な服装に合うように多くの色が用意されており、患者が恥ずかしいと思うのを避ける工夫がなされています)は、地域社会で空気伝染病が広がる仕組みを、公衆衛生機関がより理解できるように手助けする目的で設計されています。

もしプロジェクトが研究段階から実現に至れば、データのマッピングによって生み出された感染や伝染の統計に基づいて、より適切なワクチン接種を医療関係者が実施することができ、手あたり次第に行うワクチン接種よりも効率的であるとマピエ氏は語ります。プロジェクトの最終目的は結核の”未報告例”の数を減らすことにあります。WHOは全結核患者のうちおよそ300万人、37パーセントが診断を受けていないか、正しい治療を受けていないために”未報告”となっていると見積もっています。

「この種のテクノロジーへのチャンスは大きく広がっています」と語るマピエ氏は、感染率が高いヨハネスブルクを拠点とする団体とともに研究をしている医療グループと連携を取っており、彼は結核感染率が高い田舎や鉱山地区へのプログラム拡大を望んでいます。

2014年にWHOへ報告があった結核の症例数
東南アジア 2,580,605
西太平洋 1,375,572
アフリカ 1,342,400
東地中海沿岸 465,677
南北アメリカ大陸 288,476
ヨーロッパ 321,421

WHO世界的結核報告書2015

がんのマッピング

シウォ氏の研究チームは、がんが発生した場所から他の場所にどのように移動するのか、つまり”転移”について研究しています。転移が、がん患者の生存率を大幅に下げている今、転移性のがんをよりよく理解することは、公衆衛生に大きな効果をもたらすでしょう。

シウォ氏は、体内にあるがんの地図を描きあげることが自分の研究の目的と考えています。がんを体内に広げる細胞が通る近道を作る細胞間の遺伝子”ルート”を地図に起こすのです。

IBM基礎研究所の科学者たちががんを観察するためのアルゴリズムを開発(IBM基礎研究所)
IBM基礎研究所の科学者たちががんを観察するためのアルゴリズムを開発(IBM基礎研究所)

「世界地図が人間の能力に与えてきた影響を想像してください。それと同じ魔法のようなことが、生物学の世界にも起ころうとしているのです」とシウォ氏は語ります。

今までのところ、このアルゴリズムでマラリアとがんには潜在的な関連性があるという驚くべき発見をしました。2つの病気に直接的な関係性はない一方、がんの転移を引き起こす遺伝子変異体と、マラリア抵抗性を助ける遺伝子変異体にはとても近い性質があるのです。この関連性が判明し、多くのアフリカ人が、マラリア感染に対する何らかの保護をもたらす遺伝子変異を発現させているだけでなく、その遺伝子ががんの転移、特に乳がん患者のがんの転移も推進させていることが分かったのです。

研究チームはこの研究を米国癌学会に提出し、現在、相互評価を受けているところです。うまくいけば、この発見でいずれは各患者の分子地図を作ることができるかもしれません。地図の完成には時間がかかりますが、シウォ氏はすでに地図のひな型をデザインしました。

個別医療地図の仮デザイン(IBM基礎研究所)
個別医療地図の仮デザイン(IBM基礎研究所)

この研究の他に、ヨハネスブルクにあるIBMの研究所でシウォ氏のチームが努力していることは、現在がんの統計報告に生じている5年のタイムラグを削減することです。南アフリカの全国がん登録所とともに研究を進め、IBMの科学者たちは現行の統計を蓄積し、集めたデータを解析する共有ネットワーク上で、病状報告書を自動更新・保管できように試みています。がん患者数が増加傾向にあるアフリカ大陸で、このデータがまだ無防備な状態にある病状に対応する助けになるかもしれません。

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