【2023年度上半期】コンサルティング業界の転職市場は今後どうなる?

コンサルティング業界のイメージ画像

コンサルティング業界の2023年度上半期の転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年度上半期の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひ参考にしてください。

コンサルティング業界の2023年度上半期の転職市場の展望を一言でいうと

「生成系AI」「SaaS」「クロスインダストリー」などのキーワードで採用ニーズが上昇。
業界内では中堅・ベンチャーへの転職が増加。異業界出身者は「キャリア形成」を求める。

1.【コンサルティング業界】業界・企業側の動き

コンサルティング業界の採用は引き続き堅調です。2023年春以降の動きでは、「エマージングテクノロジー(将来、実用化が期待される先端技術)」関連の求人が増えています。例えば「メタバース」、「ChatGPT」に代表される「生成系AI」などが挙げられます。それらを活用して価値創出を目指す事業会社からのコンサルティングニーズが高まり、各社は知見を持つ人材採用を強化しています。新領域の事業ではリスクもあるため、セキュリティやガバナンスの専門人材のニーズも増えています。
また、導入したSaaSツールを十分に活用できていない事業会社も多く、活用ノウハウと担当人材育成の相談がコンサルティング企業に寄せられています。こうした明確なテーマはなくても、コロナ禍を機に「単一事業」のリスクを実感した企業が、変化への対応力を備えるため、新規事業の開発を図る動きが目立っています。そのニーズを受け、コンサルティング企業では「保険×ヘルスケア」「通信×鉄道」など異業種を組み合わせた「クロスインダストリー」やM&Aなどを駆使して事業開発支援を行っています。こうした背景により、中途採用においてはコンサル経験者に限定せず、幅広い業種の事業会社から経営企画・事業企画などの経験者を迎えています。コーポレートサイドでは、2022年半ば以降から「人的資本経営コンサル」というワードでの求人が発生。「人事コンサル」は従来ブティック型ファームが主に手がけてきたが、大手ファームも採用に乗り出しています。大手ファームでは、昨今の大手外資系ITのレイオフや米国のリセッション懸念を機に、若手の大量採用から、マネジャー/シニアマネジャークラスなど即戦力採用強化にシフトしています。そのほかの動きとしては、東海・関西・九州などの拠点の採用を強化。「地方勤務求人」は今後も増えていくことでしょう。一方、グローバルの影響を受けにくい中堅ファーム、また、数百人規模へ成長を遂げた新興ベンチャーファームは採用意欲が高く、求人市場で存在感を増しています。規模を問わず、採用が順調なファームの特徴として、「現場(配属予定部門)が採用活動に参画」していることが挙げられます。面接で多くの情報を提供するとともに、個々に応じて中長期視点でのキャリアプランを提示できている企業・部門が人材獲得に成功しています。

2.【コンサルティング業界】求職者側の動き

コンサルティング業界内の転職では、大手から中堅・ベンチャーファームへの転職が増えています。求めているのは、「自由度の高さ」「成長実感」「経営陣との距離の近さ」「自身の志向に合う評価方針」「幅広い課題・フェーズへの関与」など。一方、事業への「手触り感」を求めて事業会社を目指す人は、経営企画、新規事業企画、DX企画などに転職する傾向が見られます。事業会社はコンサルティング企業との協業に慣れてきたため、社内での活躍イメージができ、コンサルティング出身者を受け入れるハードルが下がっているようです。ほか、経験を生かして地方企業に転職する動きも見られます。異業界からコンサルティング企業への転職も増加しています。以前は「年収アップ」の目的が多く見られましたが、昨今の若手は「スキルアップ」「中長期視点でのキャリア形成」を望む意識が高まっています。以前より労働時間短縮、リモートワークなど労働環境の整備が進んだこともあり、安心して選ばれています。

新規事業関連職(コンサルティング業界内)の求人推移
コンサルティング業界 転職マーケット割合
コンサルティング業界への転職者数の推移

2023年度上半期のそのほかの業界の動向について知りたい方は、こちらを参考にしてください。
【2023年度上半期】転職市場の動向|17業界コロナ禍後の中途採用・転職活動の最新状況を解説

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。

福本 和真

新卒で銀行系証券会社に入社。その後リクルートキャリア(現リクルート)に入社し、リクルーティングアドバイザーとして、大手のインターネット業界やSIer通信キャリア等の採用支援に従事した後、現在では大手コンサルティングファームを担当している組織のチームリーダーを務める。

横山 賢太郎

新卒でメガバンクに入社。その後リクルートキャリア(現リクルート)に入社し大手顧客担当として金融、IT、スタートアップ、コンサルティングなどの業界を担当。Digital組織の立ち上げ支援、AI、SaaSなど先端テクノロジーを活用したトランスフォーメーション支援等の実績を多数創出。自身の転職体験も踏まえて「日々を活き活きと働けるフィット感の高い転職」をモットーに活動中。