【最新】転職時の賃金変動状況(2023年7-9月期) 

【最新】転職時の賃金変動状況(2023年7-9月期)

株式会社リクルートが提供する転職支援サービス『リクルートエージェント』における2023年7-9月期の「転職時の賃金変動状況」について解説します。「転職時の賃金変動状況」では“転職者の賃金は転職前後でどのように変化しているのか”という点に着目し「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合」の経年変化を観察していきます。

「前職と比べ賃金が明確に(1 割以上)増加した転職者数の割合の算出式

※前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。 

【全体】7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は35.3%

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大きく水準を切り下げましたが、翌年2021年1-3月期には概ね感染拡大前の水準に復した。足元2023年7-9月期は、そこから更に伸長を続けており、最高値(※1)を更新しています。 

前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合

【職種別】転職時の賃金変動状況

続いて、職種ごとに7-9月期の転職時の賃金の変動状況について見ていきましょう。 

IT系エンジニア

IT系エンジニアの7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は39.9%という結果になりました。2019年頃より幾分減速感が見られていましたが、2021年に上昇基調に復し、以降、最高値(※2)を更新しながら、上昇を続けています。足元2023年7-9月期は、2023年1-3月期に記録した過去最高値と概ね同水準にあります。 

IT系エンジニアの転職時の賃金変動状況

機械・電気・化学エンジニア

機械・電気・化学エンジニアの7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は31.8%となりました。2019年以降、下落基調が続いていたなか、2020年10-12月期を底として反発。以降は上昇基調に復し、足元2023年7-9月期は2012年以降で最も高い水準となっています。 

機械・電気・化学エンジニアの転職時の賃金変動状況

営業職

営業職の7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は33.9%という結果に。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大きく水準を切り下げましたが、翌年2021年1-3月期には概ね感染拡大前の水準に復しました。その後、一時的に弱含むも、以降は上昇基調に復し、足元2023年7-9月期まで、感染拡大前を大きく上回る水準での推移が続いています。 

営業職の転職時の賃金変動状況

事務系専門職 

事務系専門職の7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は33.2%となりました。2017年以降、弱めの動きが続いていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大も重なり、2020年頃にかけては幾分水準を切り下げました。2021年4-6月期以降は上昇基調に復し、足元2023年7-9月期は最高値(※2)を更新しています。 

事務系専門職の転職時の賃金変動状況

接客・販売・店⻑・コールセンター

接客・販売・店長・コールセンターの7-9月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は39.4%となりました。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大幅に水準を切り下げましたが、その後は2020年7-9月期を底として反発し、2023年1-3月期には過去最高値(※2)を更新。足元2023年7-9月期も、引き続き、高い水準を維持しています。 

接客・販売・店⻑・コールセンターの転職時の賃金変動状況
解説

高田悠矢

2010年に日本銀⾏⼊⾏し、経済指標の推計⼿法設計や景気判断など、マクロ経済・金融領域における統計分析業務に携わる。
2015年に株式会社リクルート⼊社(統合前はリクルートキャリア所属)後、経営統括室、事業開発室、人事部、広報部を兼務し、戦略策定のための分析や、リコメンドエンジンの開発、人事課題に対する統計分析の適用、⾃社データを活用した経済指標の作成・発信など、データ起点のさまざまな取り組みの企画・実⾏を担う。2021年にRe Data Science 株式会社 創業/株式会社リクルート特任研究員就任。2018年より、総務省 統計改革実⾏推進室 研究協力者。