仕事がつらいと感じる場合の原因・対処法、乗り越え方を紹介

仕事 つらい

「仕事がつらい」「もう限界だから辞めたい」と感じたとき、「仕事を辞めるべきか、それとも耐えて続けるべきか」「つらいからと言って、このまま辞めてしまってもいいのだろうか」と悩んでしまう方もいるでしょう。仕事がつらいと感じる原因や対処法、つらい時期の乗り越え方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

調査からみる、仕事がつらいと感じている方の割合と理由

「仕事がつらいのは当たり前」と考え、「つらいと思うこと自体が甘えではないか?」と自身を責めてしまう方もいるようです。まずは、仕事がつらいと感じている方の割合や、そう感じる理由について解説していきます。 

仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、またはストレスがある

厚生労働省が実施した「令和4年労働安全調査(実態調査)」(※1)によれば、「仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、またはストレスがある」とする労働者の割合は、82.2%にものぼっています。全体の8割超が仕事や職場などに対する悩み・ストレスを抱えているため、「仕事がつらい」と感じることは、甘えとは限らないと言えるでしょう。

(※1)出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r04-46-50_kekka-gaiyo02.pdf)  

仕事がつらいと感じる理由

前述の調査で「仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、またはストレスがある」と回答した方は、具体的にどのようなことに「つらい」と感じているのでしょうか。主な理由を見ていきましょう。 

1:仕事量が多く、残業などで疲弊している

「担当する仕事の量が多い」「長時間の残業が常態化している」など、忙しい日々を過ごしている場合は、肉体的にも精神的にも疲れが溜まりやすく、「つらい」「もう辞めたい」と感じる方もいらっしゃいます。慢性的に人手不足の職場や、納期に追われる仕事をしている場合などに当てはまりやすいでしょう。

2:仕事で失敗して落ち込んでいる

仕事で大きな失敗をした場合、「周囲に迷惑をかけてしまった」と自分を責めてストレス過多になってしまう方もいます。また、日々の業務の中で失敗を繰り返してしまうことで「自分は仕事ができないのでは?」「向いていないのでは?」と悩んでしまう方もいるでしょう。 

このように、周囲の信頼に応えられないことや、自己肯定感が下がってしまうことで落ち込みやすくなり、仕事そのものがつらくなってしまうケースもあるようです。

3:仕事の責任が重く、プレッシャーを感じている

キャリアを重ねる中で、仕事における責任範囲が大きく広がったり、プレイングマネジャーとして部下やチームに対する責任を任されたりすることは少なくないものです。以前よりも大きな責任を任されることにプレッシャーを感じて、「つらい」「もう限界だ」と感じてしまうケースもあるでしょう。

4:仕事にやりがいを感じられない

仕事内容や仕事の進め方などに不満があり、仕事にやりがいを感じられない日々にストレスを感じてしまうケースもあります。また、企業理念や組織全体の考え方に対し、「自分とは方向性が合わない」と感じることで、仕事で目標達成をすること自体がつらくなってしまう方もいます。上司などから思うような評価を得られなかったり、会社の評価制度そのものに疑問を感じたりする場合もこれに当てはまるでしょう。 

5:職場の人間関係が合わない

職場の人間関係が合わず、日々一緒に働き続けることにつらさを感じているケースもあります。パワハラやセクハラなどがある職場環境の場合は、特に強いストレスを感じやすいと言えるでしょう。 

また、社風や企業文化そのものが合わず、居心地の悪さやストレスを感じてしまうケースもあります。 

「仕事がつらい」と感じたときの対処法

仕事がつらいと感じたときは自身の悩みやストレスの要因を理解し、その解消につながるようなことに取り組んでみるのも一案です。 ここでは「仕事がつらい」と感じる要因別に対処法をご紹介します。 

仕事量の多さや責任の重さが要因の場合

直属の上司などに相談してみる方法があります。業務負荷の高さやプレッシャーによるストレスの大きさなどを伝えることで、仕事の振り分けや担当業務の責任範囲などを見直してもらうことができるかもしれません。 

ミスをしたことが要因の場合

ミスを繰り返している場合は、その要因を洗い出し、ミスを防ぐために必要なことを考えて実践することがまず大事です。ミスをしなくなることで、周囲の評価も変化するでしょう。 

一方、大きなミスをしたことに落ち込んでいる場合は、気持ちを切り替えて仕事に取り組むことが重要です。メンタルヘルスの専門家に相談するなど 目の前の仕事に集中できるような環境の整えるのも一案です。

仕事のやりがいが要因の場

仕事内容そのものにやりがいを感じられない場合は、自分自身で小さな目標を立て、それをクリアしていくことで達成感を得ることも有効です。 仕事の進め方や企業理念などが自身の考えに合わないと感じている場合は、上司などにその背景や目的について詳しく聞いてみることで納得できるケースもあります。 

評価制度に不満や疑問がある場合も、上司に評価されるポイントなどをあらためて確認し、実践してみることで解消できる可能性があります。

職場の人間関係が要因の場合

相性の合わない人物がいる場合は、自ら歩み寄ってみることで関係性を改善できる可能性もあります。 一緒に働くチームのリーダーやメンバーとの人間関係に問題を感じている場合は、上司に相談してみることで、チーム替えなどの対応をしてもらえるかもしれません。 

社風や企業文化が合わない場合は「仕事は仕事」と考えて割り切り、必要に応じた付き合いのみにとどめることでストレスを軽減できるケースもあります。 

上司に相談できない場合はどうすればいい?

「上司に相談しても対応してくれない」「そもそも上司との関係性に問題がある」という場合は、上司よりも上の職位の人物や、人事担当者などに相談してみる方法があります。 

パワハラ、セクハラなどのハラスメントがある職場の場合は、人事担当者や社内のハラスメント相談窓口などに相談することで対処してもらえるケースもあります。「社内では相談できない」と感じている場合には、外部の専門機関に頼ることもできます。厚生労働省が設置している「総合労働相談コーナー」では、職場のトラブルなどの相談を受け付けているので、相談してみると良いでしょう。 

ただし、心身の健康に問題を感じている場合は、まず専門の医療機関に相談し、休職を検討することも重要です。

自身の力では解決できない場合の対処法

先に挙げたような対処法に取り組んでも「問題を解消できない」「やはり仕事がつらい」という場合は、自身の力では解決できない可能性があります。ここでは、そうした場合の対処法をご紹介します。

部署異動や配置換えなどの可能性を探す

上司に部署異動や配置換えなどを申し出たり、社内異動の公募制度などを活用したりする方法があります。仕事内容や職場の人間関係が変わることで悩みを解消できる可能性があるので、今の会社を辞めずに済むかもしれません。

転職を検討してみる

「どうしても今の仕事を続けていくことがつらい」「耐えられないので辞めたい」と感じている場合は、転職を検討してみることも一つの方法です。ただし、「今の仕事や職場から離れたい」という思いだけで転職活動を進めることは、慎重に考えましょう。ミスマッチな転職先を選択してしまう可能性があるでしょう。 

転職を検討する場合は、自身にマッチする転職先を探すためにも、仕事がつらいと感じる要因をもとに「どのような仕事・職場であれば、つらさを解消できるのか」を考えてみることが大事です。 

「仕事がつらい時期」を乗り越える方法

仕事がつらいと感じる時期を乗り越えるために役立つ方法をご紹介します。

リフレッシュするために仕事を休む

責任感が強い人物ほど「仕事を休めない」と思ってしまうケースも少なくありません。しかし、ストレスや疲労を溜め込まないためには、仕事を休むことも必要です。有給休暇などを取得して、仕事から距離を置いてみることで気持ちを切り替えやすくなるでしょう。 

肉体的に疲れている場合は、しっかりと休養をとることが大事です。一方、精神的な面でつらいと感じている場合は、趣味に没頭したり、スポーツなどで体を動かしたりするとリフレッシュにつながりやすいでしょう。

信頼できる相手に相談する

つらい気持ちを一人で抱え込んでしまうことで、落ち込みやすくなり、出口が見つからなくなってしまう可能性があります。上司や同僚などに相談できない場合は、家族やパートナー、友人など、信頼できる相手に相談してみることもおすすめです。 

相談した結果、解決策が見つからなくても、話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなることもあります。また、「仕事ができない自分がつらい」と感じているなど、自己肯定感が下がっている場合も、自身の存在を認めてくれる相手と話すことで自信を取り戻しやすくなるでしょう。 

長い目で見て「成長の機会になる」と考える

体力的・精神的に疲弊していない場合はつらい時期が過ぎた後に自己成長を感じられる場合がある、という意識を持つことも前向きな考え方の一つです。 

特に、転職や異動から間もない時期などは、業務を覚えたり、職場に馴染んだりするまでの間は「仕事がつらい」と感じやすい期間でもあるでしょう。しかし、一定の期間を経て仕事や職場に慣れていくうちに、やりがいや楽しさを感じるようになるケースは少なくないものです。 

そのため、「数カ月間は、自身の成長のために仕事を頑張る」と決めて、集中して取り組んでみるのも一案です。期間を区切ってゴールを設定することで、つらい時期も乗り越えやすくなるでしょう。 

「仕事がつらい」と感じたときに避けたほうがいいこと

「仕事がつらい」と感じたとき、避けたほうがいい行動についてご紹介します。 

「仕事がつらいのは当たり前」と考えて、一人で耐え続けない

一人で悩みを抱え込んで耐え続けた場合、自分自身を追い詰めてしまう可能性があります。その結果、心身に異常を感じてしまうケースもあるので、誰かに相談したり、つらい気持ちを吐き出したりすることも大事だと考えましょう。 

また、第三者の意見を聞くことで、客観的な視点で現在の状況を把握しやすくなります。仕事を辞めるべきか、続けるべきかについても判断しやすくなるでしょう。

感情的になって、そのまま会社を辞めることは避ける

 
「仕事がつらいから、今すぐ辞めたい」と思うあまり、感情的になって会社を辞めてしまうケースもあります。しかし、体力的・精神的に限界を感じている場合などはもちろんその限りではありませんが、次の転職先が決まらないまま退職した場合、定期収入がなくなることや仕事が見つかっていないことなどによって、焦りが芽生えやすくなります。また、転職活動が長引けば、不安な気持ちから「早く決めたい」と考え、ミスマッチな転職先を選んで入社後に後悔する可能性もあります。 

会社を辞めてから転職活動をしたいと考えている場合は、一定期間の生活費を確保しておくなどの準備をしておくと安心でしょう。 

また在職中に転職活動を進める場合は、仕事との両立の仕方や、転職活動の進め方について事前に検討しておくといいでしょう。 

「仕事がつらい」と思ったら転職エージェントやスカウトサービスの活用を

転職エージェントやスカウトサービスは、基本的には無料で活用できるため、転職するかどうか決めていない場合でも相談しやすいでしょう。 

転職エージェントでは、転職活動のプロであるキャリアアドバイザーの面談を通じて、客観的なアドバイスを受けることができるため、自身の今後のキャリアに対する考えも整理しやすくなります。また、採用の可能性がある企業の紹介を受けることで、どのような企業に転職できそうか把握しやすくなるでしょう。 
スカウトサービスも、自身のキャリアやスキルに興味を示す企業からのスカウトメールを受けられるので、今後の転職の可能性を探りやすくなります。 

「仕事がつらい」と思ったら、まずは転職エージェントやスカウトサービスを活用してみるのも一案です。 

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。