転職活動を始める前に知っておきたい注意点とは
転職活動~転職後に後悔するケースは、多くの場合、次のような原因によって起こります。
- 内定を得る前に現職を退職する
- 事前の確認・情報収集不足
- 条件の優先順位付けができていない
この3つの要因に沿って、具体的に7つの注意点をご紹介します。
注意点1:転職先が決まる前に会社を辞めてしまう
「現職が忙しすぎて転職活動をする時間がない」「しばらく休養期間をとってから次の道を考えたい」など、転職先を決めないうちに会社を辞める方もいらっしゃいます。しかし、後悔を招くケースも多いため、なるべく仕事を続けながら転職活動を行うのが望ましいでしょう。
「希望に合う求人が見つからない」「応募しても不採用が続く」など、転職活動は予想よりも長引くことがあります。ブランクが空くほど、企業から働く意欲や能力が不安視され、選考にマイナス影響が出て、さらに不採用が続くおそれがあります。また、無収入の期間が長くなって経済的な不安が増すと焦りが生じ、妥協して転職先を決めてしまい、入社後に不満を抱くことにもなりかねません。心身に支障をきたしている場合などを除いて、転職活動は在職中に行いましょう。
注意点2:優先順位を決めないまま、求人を選ぶ
希望条件のすべてを満たす求人はそうそう見つかるものではありません。見つかったとしても、条件の良い求人は競争率も高く、選考通過の難易度が高いものです。
そこで、まずは転職の「目的」を明確にし、求人を閲覧する前に、転職先に求める条件に優先順位をつけておきましょう。「この条件さえ満たしていれば、その他の条件は柔軟に考える」というスタンスで求人に向き合えば、応募先の選択肢が広がります。
優先順位を明確にしていないと、企業のブランド力・給与・役職など目先の魅力や条件にとらわれ、本来の転職の目的から外れた選択をしてしまうことがあります。そうなると、入社後に不満を抱くことになるかもしれません。
<優先順位を検討する項目例>
- 企業理念
- ビジョン
- 事業戦略
- 事業・商品の特徴
- 仕事内容
- 社風
- 経営者
- 社員
- 評価・教育制度
- 給与
- 設備
- 勤務場所
注意点3:転職市場の市場価値を知らないまま、自己評価する
転職活動を有利に運べるかどうかは、転職市場の「需給バランス」に左右されます。場合によっては在籍企業では高く評価されていても、転職市場では評価されないケースもあるので、自身のキャリアの「市場価値」を把握することが大切です。
転職市場と照らし合わせて自己評価が高すぎると、条件に合う求人が見つからないほか、応募しても不採用になり自信喪失してしまうかもしれません。逆に自己評価が低すぎる場合、せっかくのチャンスに気付くことができません。自身の市場価値を正しくつかんだうえで、自身の経験・スキルをどのように活用するかを考えてください。
なお、転職市場のトレンドは経済ニュースなどからも想像することができます。例えば、「IPO」「M&A」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などが活況な現在は、組織整備や仕組みづくりを手がけてきた管理部門マネジャー経験者のニーズが高まっています。経験分野のトレンドを調べておきましょう。
注意点4:家族・パートナーへの相談なく、転職活動を進める
「家族やパートナーに心配をかけたくない」といった気遣いから、相談しないまま転職活動を進め、「内定を獲得できた段階で初めて話す」という方は少なくないようです。ところが、「理解して応援してくれるだろう」と思っていた家族やパートナーから、予期せぬ反対に遭うケースは多々あります。
反対の理由はさまざま。年収ダウン・社格ダウン・転居などに対する抵抗のほか、配偶者の仕事や子どもの教育などへの影響で難色を示されるケースもあります。実際にあった事例として、中長期でのキャリア構築を見越して一時的に年収ダウンとなる転職を決意し、配偶者に話したところ「(配偶者が)家族のために仕事を辞めたいと考えていた」「子どもを私立の学校に入学させたばかり」といった理由で年収ダウンへの反発を受け、内定を辞退するなどが挙げられます。
なお、転職そのものには反対ではなくても、「パートナーである自分に相談もせず、勝手に転職活動を進めた」という点が反感を買い、感情的なトラブルを招くこともあります。転職するかどうかわからない状態であっても、転職活動を開始する時点で家族やパートナーに相談し、意見を聞きながら進めるといいでしょう。
注意点5:応募する企業を慎重に選びすぎてしまう
まずは1社に応募し、不採用になったら次の1社に応募――と、少しずつ活動を進める方もいらっしゃいます。この場合、1社の企業研究・選考対策に集中できるメリットもあるのですが、「比較検討」ができません。できるだけ複数企業に同時期に応募し、オファーの内容を比較したうえで選んだ方が、納得感が高い転職につながります。
また、1社ずつ応募していくと転職活動が長期化し、疲弊してしまうこともあります。こうしたデメリットを防ぐためにも、短期集中で臨んではいかがでしょうか。
注意点6:条件面だけで納得して入社を決める
仕事内容・役割・ポジション・給与などの条件面だけで入社を決め、後悔するケースもあります。例えば、職種はこれまでと変わらないものの「仕事のやり方・進め方になじめない」、あるいは「社風・カルチャーになじめない」といった理由から早期退職となるケースは少なくありません。
仕事のやり方や社風などは実際に働いてみなければわからない部分も多いのですが、選考段階である程度は確認することができます。人事担当者や事業部門長との面接だけでなく、現場で働くメンバーと対話する機会を設けてもらうのも一つの手。職場の雰囲気を感じ取るため、実際に働くオフィスを見せてもらってもいいでしょう。
注意点7:条件面を口約束だけで決める
内定を得たら、必ず「内定通知書・労働条件通知書」を発行してもらい、条件面が事前の話と異なっていないか、双方の認識にズレがないかを確認しましょう。
ハイクラス~エグゼクティブ層の方々、あるいは専門性が高い職種の方々は、独自で築いた人脈を活用して転職するケースも多々あります。もともと知人同士であったり、知人からの紹介で面談をしたりすると条件面が「口約束」になりがちですが、労働条件通知書などで条件面を正確に確認した上で、入社するかどうか判断しましょう。
転職活動に不安がある場合は転職エージェントに相談を
転職活動での失敗を防ぐためには、転職エージェントを活用するのも有効です。今回挙げた注意点についても、以下のようなサポートによって不安解消、判断ミスの防止につながります。
- 多忙な求職者に代わり、求人情報のピックアップ、面接日程調整、企業側との交渉などを代行してくれる
- 転職市場動向についての情報提供を受けられ、プロの客観的な視点で「現在のキャリアの市場価値」を判断してもらえる
- 転職エージェントとの対話を通じて、強み・志向・価値観などの整理ができ、転職の目的や優先順位が明確になる
- 応募企業の社風、経営陣のキャラクター・考え方など、求人情報だけではつかめない情報を聞けることもある
- 企業側に条件面の交渉・確認を行い、明文化してもらえる
ご自身の状況・目的に応じ、転職エージェントを活用してみましょう。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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