初めての転職のやり方|準備〜退職交渉の流れ、ハイクラス人材の進め方のコツも解説

屋外で仕事の打ち合わせをする人たち

初めての転職活動で、「どのように転職を進めていけばいいか分からない」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。転職活動をスムーズに進めるために、転職準備~内定・退職交渉に至る基本的な流れについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

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転職活動の基本的な進め方と平均的な活動期間

まずは転職活動の全体像を理解するため、転職準備~内定・退職交渉までの一連の流れと、各プロセスに要する期間について解説します。なお、転職活動に要する期間は、経験・スキルや希望する条件によってさまざまですが、一般的に「3~6カ月程度」が目安です。

自己分析、キャリアの棚卸し:約1週間

今後のキャリアの方向性を見定め、企業選びの基準や、選考で伝えるべき自身の強みを整理するために、自己分析やキャリアの棚卸しを行います。

情報収集:約1週間

どのような企業がどのような職種を募集しているのか、転職情報サイトなどを利用して求人情報を検索し、自身が希望する業界・職種・企業について調べます。また、転職エージェントを活用し、希望する業界・職種の採用ニーズをキャリアアドバイザーに聞いてみるのも有効です。

書類作成、応募:約2週間

企業に応募する際には、「履歴書」や「職務経歴書」などの提出を求められることがほとんどです。情報収集を経て応募する企業が決まったら、その企業に提出する「履歴書」や「職務経歴書」を作成しましょう。業界・職種未経験の仕事にチャレンジする場合は、業界・職種・企業研究に時間がかかるため、情報収集と書類作成に3週間以上必要な場合もあります。

面接対策、面接:約1カ月

書類選考を通過したら、次は面接に進むのが一般的です。企業によっては、筆記試験や適性検査を実施することもあります。エンジニアや施工管理など、比較的売り手市場の職種は面接回数が少なく、外資系や管理職のポジションなどは面接回数が増える傾向があります。

内定、退職交渉、入社:約1カ月〜3カ月

入社を希望する企業から無事内定を得られたら、企業に在籍したまま転職活動を行っていた場合は、現職の企業との退職交渉に臨みます。退職が決まれば、必要な手続きや入社のための書類作成・手続きを進め、入社に至ります。

退職交渉は予想以上に時間がかかることもあるため、余裕を持っておくことが大切です。特に管理職や専門職の場合、強い引き留めにあったり、後任の選定がスムーズに進まなかったりすることも考えられるでしょう。

【プロセス別】転職活動のポイント

次に、転職活動の各プロセスでの注意点やポイントを紹介します。

自己分析、キャリアの棚卸しのポイント

自己分析やキャリア棚卸しは、次の3つのステップで行うことをおすすめします。

  1. これまでの経験を振り返り、獲得してきた能力やスキルをすべて書き出す
  2. 書き出した経験・スキルから共通点を探り、自身の強みや得意分野を明らかにする
  3. 1と2をふまえて、転職先を選ぶ基準を決める。キャリアの方向性や取り組みたい仕事に加えて、年収やポジションの希望も整理し、優先順位づけまで行う

情報収集のポイント

管理職や専門スキルなどを持つハイクラス人材の場合、公開されている情報だけでなく、転職エージェントが保有している非公開求人の情報や、リファラル採用、ビジネスSNSなども活用して、より多くの情報を取りに行くことをお勧めします。というのは、ハイクラス層向けの求人の場合、応募者の現職での年収や役職、業務内容、経験、スキルに応じて、企業が年収や役職、業務内容を再検討して提示することがあるからです。転職情報サイトや企業ホームページ、ハローワーク、転職エージェントの求人などの公開情報だけを調べていると、希望に合致する求人が限られる可能性があります。

より自分にマッチした求人に出会う方法には、次のものがあります。

  • 複数の転職エージェントに登録する。企業は、ハイクラス層向けの求人を出す際に1社の転職エージェントにだけ任せている場合があるため、ハイクラス層向けの求人情報をより多く知るには、複数の転職エージェントを活用することも有効です。
  • 転職エージェントの担当者に、自身の経験やスキル、実績、希望に合致したものを探してもらったり、自身が興味を持っている企業や経験・スキルを活かすことができそうな企業に「こういう人がいるのですが、会ってみませんか?」とアプローチしてもらったりする。
  • ハイクラス層向けの転職サービスのスカウトを利用する
  • ビジネスSNSやスカウト型サービスに登録し、企業からの直接オファーを待つ
  • 知人・友人などのリファラル採用を活用する

また、転職エージェントに相談する際は、希望する業界や役職、業務内容などについて、少し幅を持たせて相談することをお勧めします。「年収1500万円以下の求人は検討しません」「CxOクラス以外のポジションは考えていません」など、条件を限定的にしていると、それ以外の活躍可能性を転職エージェントが提案しづらくなり、選択肢が狭まる可能性があります。

書類作成、応募のポイント

応募書類を作成する際は、自己分析やキャリアの棚卸しで整理した自身の強みなどを、応募企業の求人要件に合致する形で自己PRや志望動機として表現しましょう。

また、職務経歴書は、自身の経験年数や在籍企業数、経験職種、異動歴などに応じて、自分をアピールしやすい形式・書式を選びましょう。A4サイズ2枚程度にまとめるのが一般的ですが、2枚では十分に伝えきれない場合、読みやすさを意識していれば3枚以上になっても問題ありません。その際は、詳細情報は「実績一覧」「主な担当プロジェクト一覧」などと別紙にするなどして、読みやすくする工夫をしましょう。

以下の記事で履歴書・職務経歴書のテンプレートをダウンロードすることができるので、併せてご覧ください。

企業に応募する際は、応募企業数を絞り込みすぎないこともポイントです。ポジションによっては、企業の採用枠が少なく、ライバルも強力であることを考えると、厳選しすぎると転職活動が長期化する可能性もあります。先述したとおり、ハイクラス層は応募者に応じて企業が年収や役職を再考して提示するケースもあるため、「興味を持った企業には積極的に応募し、面接や面談で具体的な話を聞いて希望に合った企業・業務かどうかを判断する」というスタンスで活動を進めることをお勧めします。

また、選考が進むタイミングや内定時期を揃えることで、複数の企業を比較検討することができます。退職・入社したい時期も考慮しながら、できるだけ複数の企業の選考を同時進行で受けられるように応募しましょう。

面接対策、面接のポイント

とくにハイクラス層は、企業からの期待・要求が高く寄せられます。企業研究と面接対策を十分に行って面接に臨みましょう。「志望動機」や「転職理由」など、ほぼ確実に聞かれる質問への回答は一貫性を持ってできるよう準備しておくことがポイントです。

とはいえ、多忙の中の準備となるため、足りない点やわからない点は、転職エージェントをはじめとした第三者を活用して情報を補ったり、理解を深めたりして疑問点は解消しておけるとよいでしょう。転職エージェントによっては、相談すれば、面接練習をしてもらえる場合もあります。

内定、退職交渉のポイント

選考が中盤〜終盤に入ってきた段階で、内定が出る前に給与などの条件を確認し、希望があれば伝え、交渉しましょう。条件に関する希望をもっているにもかかわらず、合わない条件を安易に受け入れると、入社後に後悔するため、交渉が必要だと判断した際は、面接や面談などの場で丁寧に切り出しましょう。

また、内定承諾の条件を、事前にある程度自分の中で明確にしておくことも重要です。内定承諾を企業が一定期間待ってくれるケースもあれば、承諾しなかった場合に次に内定を出す有力な応募者がいるために早く結論を出すよう求められるケースもあります。後者の場合、判断が遅いとチャンスを逃したり、評価が下がったりする可能性があります。

退職交渉においては、引き留められて予想以上に時間がかかるケースが多く見られます。内定承諾書に記載されている入社日までに退職ができず、入社が間に合わなかった場合は、転職先に大きな迷惑がかかります。場合によっては、内定が取り消しになる可能性もあるため、退職交渉は意思を持って行うこと、また、退職交渉が長引くことも想定して入社日や退職交渉の開始時期を設定しましょう。

管理職や専門職などハイクラス層の転職活動は、会社を辞めずに進めよう

ハイクラス層の場合、希望通りの企業が見つかるまでに時間がかかることも考えられます。万が一、転職活動が長期化しても、余裕を持って転職活動を続けられるように、できるだけ働きながら動くようにしましょう。会社を辞めずに転職活動を進めることのメリットは次の2つです。

【1】希望を満たす求人が少ない

管理職や専門職のポジションを、大量採用することはありません。異動や昇進など、社内で人材を確保することも多いからです。そのため、条件に合う求人がなかなか見つからず、転職活動が長期化する可能性があります。求人に応募する以外に、企業や転職エージェントからのスカウトを待つなど、条件に合致する仕事をじっくりと探す姿勢が重要です。

【2】選考基準が高い

管理職や専門職の採用は、組織や事業に与える影響も大きいことから、経験・スキルはもちろん、人柄と社風とのマッチ度も慎重に見極める傾向があります。そのため、「他の求職者と比較したうえで決定したい」「リファレンス・バッググラウンドチェックが入る」などの事情から、選考が長引くことがあります。

効率的な転職活動のために、転職エージェントの活用を

転職が初めての場合、これまでのキャリアの中で何を強みに転職を進めるのか、どのような求人に応募するのか、転職市場の相場観など、分からないことが多いもの。転職活動を効率的に進めるために、専門家である転職エージェントを活用しましょう。

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粟野友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。