転職活動中のよくある悩み8選と解決策を解説

転職 悩み

転職は人生のターニングポイントとも言える重大なライフイベントです。希望通りの転職先が見つかるだろうかと、悩みや不安を抱えながら転職活動を行っている方は少なくありません。転職活動中のよくある悩みとその解決策について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

転職活動中に感じる悩み

株式会社リクルートが転職活動者に行った「転職活動者調査 第2弾」(※1)では、転職活動中に不安だと感じることについては、全体では以下の6項目が上位に挙げられています。 

転職活動中に不安だと感じること

(※1)出典:株式会社リクルート「転職活動者調査 第2弾」(2023年6月)
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230606_hr_01.pdf

1.希望する年収を得られる仕事が見つかるかどうか

全体では20.6%の方が「希望する年収を得られる仕事が見つかるかどうか」に、不安を感じているようです。中でも30代が21.9%、40代が21.2%と他年代よりも高い傾向が見られます。転職で年収アップを目指している反面、理想と現実の間で不安を感じている方は少なくないようです。 

2.転職したいと思える仕事が見つかるかどうか 

全体では20.0%の方が「転職したいと思える仕事が見つかるかどうか」について、不安を感じているようです。この項目では20代が22.3%、40代が20.8%と他年代よりも高い傾向が見られます。仕事における成長ややりがい、将来のキャリアにつながる仕事を重視して転職活動を進める一方で、マッチングがうまくいかずに不安に思うこともあるかもしれません。

3.職場の上司または同僚と合う仕事が見つかるかどうか 

全体では13.8%の方が「職場の上司または同僚と合う仕事が見つかるかどうか」について、不安を感じているようです。この項目では20代と40代が15.4%で、他年代よりも高い傾向が見られます。職場の上司や同僚との関係性が仕事のパフォーマンスに影響することはあります。自身の本領を発揮するためにも、転職先で良好な人間関係が築けるかどうか、不安に思うことはあるようです。 

4.勤務場所や勤務時間等、希望の勤務条件で働ける仕事が見つかるかどうか

全体では12.9%の方が「勤務場所や勤務時間等、希望の勤務条件で働ける仕事が見つかるかどうか」に、不安を感じているようです。中でも20代が16.5%、30代が15.8%で、他年代に比べて突出して高い傾向が見られます。近年ではワーク・ライフ・バランスを重視して転職を考える方が一定数います。しかし、いざ転職活動を始めてみると、自身が希望する勤務条件を満たす求人は思ったよりも少ないと感じる方もいるようです。

5.これまでの経験・スキルが評価されるかどうか

全体では9.1%の方が「これまでの経験・スキルが評価されるかどうか」について、不安を感じているようです。その中で50代は11.2%と他年代よりも高い傾向が見られます。応募企業の選考を通過して内定を獲得し、希望の転職を実現するには、これまでの経験・スキルを正当に評価されることが不可欠と言えるでしょう。しかし、転職活動においては、社風との相性や条件面でのマッチングなど他の要素の影響で選考を通過できないことも少なからずあります。選考を通過できなかったことで、経験・スキルが評価されなかったと解釈し、不安を感じる方も一定数いるようです。

6.年齢によって不利になるのではないか

全体では8.4%の方が「年齢によって不利になるのではないか」と不安を感じているようです。特に、50代では15.0%、40代では11.2%で、高い傾向があるのが特徴的です。求人の仕事内容、役職やポジション、年収などの労働条件などを総合的に判断すると、自分の年齢とは合わないように感じ、「応募をしても選考の中で他年代より不利になるのではないか」と不安を抱く方がいるのかもしれません。

転職活動中によくある悩みと解決策

前述の上位項目に加えて、それ以外にもよくある悩みと解決策について解説していきます。

<悩み1> 希望する年収を得られる仕事はあるのか

企業の募集要項には「〇万円〜○万円」と幅を持たせた想定年収が掲載されていることが多く、企業は基本的にその範囲内で応募者に年収を提示します。よって、希望する年収を得られる仕事があるかどうかは、求人に記載された想定年収の上限と下限を確認することでおおまかに把握することができます。希望年収を得るためには、自身の経験・スキルに対して高評価を獲得することも大切です。応募する企業や役職の業務に対する理解を深め、自分の強みとの接点を見出してアピールするといいでしょう。

<悩み2> 転職したいと思える仕事の求人が見つからない

転職サイト、スカウトサービス、転職エージェント、ハローワーク(公共職業相談所)、友人・知人(縁故・リファラル)、企業のホームページ、転職フェア、SNSなど、転職先の探し方には様々な方法があります。中でもスカウトサービスや転職エージェントでは、求職者の経験・スキルを把握した上での求人紹介やスカウトを行うため、自分では思っても見なかった経験・スキルを評価されることがあります。意外な求人との出会いがあるかもしれませんので、まずは登録してみるのも一つの解決方法です。

<悩み3> 転職先の上司や同僚との関係構築に不安がある

人間関係の不安要素を取り除くためには、応募企業の社風が自分に合うかどうか、どのような社内交流が行われているのかなどについて確認してみましょう。企業のホームページ、SNS、代表インタビュー、社員インタビューなども参考になります。企業によっては採用選考の前に、人事担当者とのカジュアル面談やオフィス見学、同年代の社員との面談などの希望に対応しているケースもありますので活用するといいでしょう。転職エージェントやスカウトサービスの担当者を通じて社内の様子をヒアリングする方法もあります。 

<悩み4> 勤務場所や勤務時間等、希望の勤務条件で働ける転職先が見つかるか

転職先に求める希望条件が多い場合は、すべての希望が叶う仕事はなかなか見つからないかもしれません。その中で何が叶えば自分が納得できるのか、条件を整理してから転職活動に臨むといいでしょう。整理して優先順位をつけた結果、業界や職種を変えるキャリアチェンジという選択肢が見えてくることがあります。職種や業界を限定せずに柔軟にとらえることで転職先の幅は広がってくるでしょう。 

<悩み5> 転職活動でこれまでの経験・スキルが評価されるか

転職活動では、応募企業が求めている役割やレベルに合致した経験・スキルをアピールできるかどうかが理想の転職を実現するための鍵となります。まずは希望する職種やポジションについて企業の募集背景をしっかりと把握しましょう。それに紐づけられる自身の経験・スキルを選び、事実ベースで整理してエピソードに落とし込んで伝えると効果的です。エピソード化する際は、「S:どのような状況で(Situation)」「T:どのような課題があり(Task)」「A:どのような行動をして(Action)」「R:どのような成果が出たのか(Result)」の4つの枠組みでまとめる「STARフレーム」という手法が便利です。 

<悩み6> 年齢を重ねることで転職が不利になるのではないか

厚生労働省が発表した「令和4年版 労働経済の分析」(※2)によると、少子高齢化に伴って生産年齢人口が減少傾向にあり、企業では年齢にかかわらず多くの人材を欲している状況があります。大前提として年齢による採用選考は原則禁止されていりますが、とはいえ、キャリアが長くなると企業から求められる経験・スキルは多く、高度になる傾向があります。条件にこだわりすぎず、自分の経験・スキルを整理して市場価値を掴むといったことを心がけて、転職活動に臨むといいでしょう。 

(※2)出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/backdata/02-01-01.html 

<悩み7> 転職活動を行っていることが周囲に気付かれないか心配

現職に在籍している方の場合は転職活動が職場に知られて会社に居づらくなってしまうケースは少なくありません。内密に転職活動を進めるために、次の点に注意するようにしましょう。 

  • 企業に確認して可能であればオンライン面接を活用する。
  • 出社時の服装は転職活動前と変えないようにする。
  • 同僚に転職活動の話は一切しない。
  • SNSに転職活動に関する情報を投稿しない。

<悩み8> 仕事と転職活動の両立が難しいです 

現職に在籍している方の場合は仕事と転職活動を両立させる工夫として、例えば次のような方法があります。 

  • 長期休暇中に情報収集や書類作成を進め、応募は一気に短期集中で行うなどで時間を確保する。
  • 業務が落ち着くタイミングを選んで活動する。
  • 3カ月間という一般的な転職活動期間にこだわらず、じっくりと時間をかける。
  • 面接の日程調整など、転職エージェントにサポートをお願いする。

転職活動中の悩みはプロに相談を

転職活動において不安や悩みはつきものです。解決の糸口を見出せない時、希望条件に合った求人を効率的に探したい時などは一人で悩みを抱え込まず、転職エージェントやスカウトサービスなど転職支援サービスを利用することも有効です。 

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。