転職エージェントで転職活動を行う時にかかる費用は?

初めて転職エージェントを使って転職活動を行う方が不安に感じるのが、「費用はかかるの?」「どこまで無料でサービスを受けられるの?」という点。実は法律で細かく定められていますので、ここで分かりやすく解説します。

転職エージェントでの転職活動は、無料です

有料職業紹介事業において、求職者の利用料は無料であることが法律で定められています

転職を希望する求職者と労働者を求める企業の間に入り、求人を紹介・斡旋する行為を行う有料職業紹介事業。日本においては許可制(有効期間は新規3年、更新5年)で、厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者のみがサービスを提供することができます。
職業紹介には、有料職業紹介事業(転職エージェントなど)と無料職業紹介事業(ハローワークや大学の就職課など)の2種類があります。有料職業紹介事業という名前からサービス利用が「有料」と誤解される求職者もいますが、あくまでこれは募集企業に対して有料であるという意味。職業安定法で「求職者からの手数料は原則受け取ることができない」と定められていますので、基本的に求職者は無料で人材紹介サービスを利用することができます。

転職エージェントは、募集企業から、入社時に成功報酬を得て事業運営しています

有料職業紹介事業では、サービスを利用して採用が決定した場合、成功報酬として紹介手数料を募集企業から受け取ります。紹介手数料には、「届出制手数料」と「上限制手数料」の2種類があり、どちらを選ぶかは、国に事業の許可申請を行う際に併せて届け出を行っています。

・届出制手数料
最大50%を上限に、厚生労働大臣に届け出た範囲内で自由に手数料率を定めることができます。実際には採用決定者の年収の30%〜35%程度が紹介手数料の相場となっており、これを著しく上回る場合は、届け出の際に合理的な説明が必要になります。例えば自社が紹介する人材の採用難易度や希少性の高さにより、高めの手数料を設定するケースがあります。
※紹介手数料=採用決定者の初年度理論年収×届け出ている紹介手数料の料率。
理論年収(1年間勤務した場合の月額給与の12カ月分と賞与を合わせた額)が800万円で、紹介手数料率が35%の場合は、紹介手数料は280万円となります。

・上限制手数料
支払われた賃金額の11.0%相当額が手数料の上限となります。昔からある制度として残っているものの、実際にこちらの手数料を採用している有料職業紹介事業者は非常に限られているのが現状です。

転職エージェントでは、入社決定時に紹介手数料を支払う成功報酬型の料金体系が一般的ですが、サーチ型(エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング)の案件では、候補者のソーシングに手間がかかるため、採用活動開始時に「着手金(リテーナーフィー)」を設定している転職エージェントもあります。着手金は、紹介手数料の一部を先に支払うもので、入社決定時に残りの紹介手数料を支払う仕組みです。

有料職業紹介事業者が手数料を求めることができる場合もあります

有料職業紹介事業者は、紹介手数料以外に「受付手数料」や「求職者手数料」を受け取ることができる仕組みが法律で定められています。ただし、実際に転職エージェントが紹介手数料以外の手数料を求めるケースはほとんどありません。

・受付手数料
「求人受付手数料」は、求人の申込みを受理した際に、1件につき710円を限度として、募集企業から受け取ることができます。「求職受付手数料」は、芸能家、家政婦(夫)、配ぜん人、調理士、モデル又はマネキンの職業に係る求職者から求職の申し込みを受理した場合、1件につき710円(免税事業者は660円) を限度として、求職者から受付手数料を受け取ることができます。

・求職者手数料
芸能家、モデル、経営管理者、科学技術者及び熟練技能者の職業(経営管理者、科学技術者、熟練技能者の3職種については年収700万円超に限る)について、6ヶ月間の賃金額の11.0%(免税事業者は10.3%)を上限とする手数料を、求職者より受け取ることができます。

定着性を重視し、返金制度を設けている転職エージェントが多数

上記で述べた通り、転職エージェントでは入社決定時に成功報酬として手数料を受け取りますが、半年以内など短期で離職した場合は手数料の一部を返金する「返還金規定」を設けているところが多数あります。また、転職エージェントにとっては、離職が発生することで募集企業からの自社への評価や今後の取引継続にもかかわってきますので、入社後の定着を考えて、無理に求職者を入社させるといったことは行いません。

ハイクラス人材は企業の業績を左右する重要なポジションでの入社となりますので、「合わない会社に入社してしまい活躍できない」という結末は、求職者・募集企業の双方にとって非常にリスクが高くなります。だからこそ転職エージェントの方が、当事者同士よりも、求職者・募集企業の双方の志向性や仕事の進め方などを考慮し、フィットするかを慎重に判断しています。

転職エージェントで費用がかからず無料で受けられるサービス

入社時に紹介手数料のかかる募集企業とは異なり、基本的に無料でサービス利用ができるのが求職者。具体的にはどのようなサービスを受けられるのでしょうか。ここでは一般的な転職エージェントが提供している転職支援サービスを紹介します。

  • 面談、キャリア相談、希望条件のヒアリング
  • 企業、求人紹介、求人の提案
  • 職場・社風・仕事の進め方の特徴・評価制度・福利厚生などの情報提供
  • 職務経歴書や志望動機の添削・アドバイス
  • 面接対策
  • 面接日程の調整
  • 条件交渉
  • 入社サポート

転職の検討時から内定・入社までの一貫した転職サービスにより、転職活動にかかる手間を大きく減らせるのがメリット。さらに豊富なノウハウや知識を持った転職コンサルタントから客観的な視点で転職アドバイスを受けられる、転職サイトなどでは公開されていない非公開求人を紹介してもらえるなど、様々な魅力があります。 個人情報について不安を感じるという求職者もいますが、有料職業紹介事業者に対する法律では、個人情報についても厳正な取扱いを行うことが定められています。安心して利用できるサービスになっていますので、ぜひ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

※文中に記載のある各種法律は、2020年4月現在の情報です。