リクルートが厳選した2,200名以上のヘッドハンターが、あなたに最適な仕事をご提案します。

会員登録(無料)

すでに会員の方はこちら

役員・役員クラスの転職は難しい?ポイントと注意点をプロが解説

役員・役員クラスは、企業の経営や組織・事業の運営などに深く関わるポストと言えます。転職活動をする際、一般社員とはまた違う注意点があるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、役員・役員クラスの転職市場の状況や難易度、転職の際に評価されるポイントなどを伺いました。法的な制限などで気を付けたい点もご紹介します。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

【監修】

杜若経営法律事務所 弁護士 星野 悠樹(ほしの ゆうき)氏

経営法曹会議会員。中央大学法学部卒、慶應義塾大学法科大学院中退。 主に会社法関係案件(会社支配権に関する各種紛争案件等)、使用者側の人事労務案件(解雇案件、ハラスメント案件等)の法律相談、訴訟対応等を取り扱う。

役員・役員クラスが転職をする理由と、採用で求められることとは?

役員・役員クラスの転職理由や採用で求められることについて触れる前に、役員と役員クラスの違いや、その転職理由、採用において求められることを解説します。

役員と役員クラスの違いとは?

株式会社における『役員』は、会社法第329条1項では「取締役」「会計参与」「監査役」を指します。「代表取締役」は、複数の取締役を代表し、株式会社を代表する権限(代表権)を有します。また、会社法施行規則においては、「役員」の中に「執行役」(指名委員会等設置会社において業務執行をする者)も含まれます。

一方、役員クラスに関しては、法律で定められた役職ではありません。執行役員、執行役員候補、経営幹部、経営幹部候補、次世代経営幹部、役員補佐、VPoEなどを募集している場合は、役員クラスのポストと言えるでしょう。「執行役員」は、会社法上の役員ではないため、「執行役」とは異なります。昨今、よく聞かれるCEO、COO、CTOのような役職を設け、「執行役員」と同様のポストとしている企業も見られます。これらの役職は、総称して「CxO」と呼ばれ、「Chief=組織の責任者」「Officer=執行役」を意味し、「x」には担う役割・業務の頭文字が入ります。ただし、CxOは、「代表取締役CEO」のように役員を兼ねるケースもあります。

役員クラスは、役員が決定した事業計画や方針を業務として執行する役職であり、上層部と現場のパイプ役として、現場における最高責任者の役割を果たします。キャリアステップとしては、役員クラスのポストで経験・実績を積んだ後、株主総会の議決を経て役員となるケースが多いでしょう。

役員・役員クラスが転職する理由とは?

役員・役員クラスが転職する理由の一つには、「経営者の方針と、自身が目指す方向性にズレが生じていること」が挙げられます。役員・役員クラスのポストに空きが出る際には、経営方針や組織運営が変化している可能性もあるので、現在の状況をしっかり把握しましょう。
一方、中小企業やオーナー企業(創業者の親族など、特定の一族が経営権を持つ企業)の場合、「トップダウン型の経営にて経営方針が変化する」「同族経営により、上のポストを目指せない」などのケースもあります。こうした場合、社内の人材が役員・役員クラスに就任することが多いでしょう。

役員・役員クラスの採用で求められることは?

マネジメントスキルや特定分野の専門スキル、経営スキルが求められます。特に役員は、経営・会計・監査などの担当分野の責任者として部門を統括する立場でもあるため、各分野で認められるだけの実績・成果が求められることになります。役員クラスの場合も、募集分野・担当する職務と類似した経験・実績・成果が重視されます。

また、企業経営や組織・事業の運営に深く関与するため、「企業文化にマッチしているか」「企業の中長期的な成長や、目指すビジョンの実現に貢献できるか」も採用の判断に影響します。応募企業が掲げているミッション・ビジョン・バリューに対してどのように共感したのか、また、どのようなスキル・経験を生かせるのかをアピールすることが評価のポイントになるでしょう。

役員・役員クラスが転職する際、リファレンスチェックはある?

企業にとって重要なポジションのため、経歴詐称や犯罪歴などの身辺調査を含めたリファレンスチェックを行うケースもあります。前職・現職の職場の関係者などに勤務状況や人物像について問い合わせを行う可能性もあるので、日頃からスムーズな人間関係を築いておく方が安心できるでしょう。

役員・役員クラスが転職するのは難しい?

ここでは、役員・役員クラスの転職市場について解説します。

役員の転職市場

役員は、同等のポストが少ないため、管理職や一般社員よりも転職のハードルは上がります。ポストや報酬などの処遇で折り合いがつかないこともあります。企業経営において重要な役割を持つため、新たな役員人材を迎え入れる際は内々に進めることが多いでしょう。また、企業の代表を務める「代表取締役」は、その立場や実績に見合うポジションが少なく、転職の難易は高いと言えます。

役員クラスの転職市場

役員クラスは、株主総会で役員選任の決議を経るなどの手続きが不要で、従業員として雇用されます。ポストを自由に新設できるため、事業拡大や新規事業の立ち上げなどに伴い、実行と責任を担う役員クラスの人材を求める企業も少なくはありません。人材が不足しているスタートアップ企業やベンチャー企業などは、外部から広く人材を募集することもありますし、役員・役員クラスの経験がなくても、管理職経験やプロジェクトリーダーの実績がある人材なら歓迎する企業もあります。

役員・役員クラスの転職でトラブルを起こさないための注意点

役員・役員クラスの方が転職する際の法的制限の有無や注意点について解説します。

役員・役員クラスの転職に「法的制限」はない

日本国憲法第22条では、「職業選択の自由」を規定しています。一方、会社法の第356条では、取締役の「競業、及び利益相反取引の制限」を定めています。しかし、これは「取締役在任中の行動」を制限するもので、「退職後」は制限されないとしています。したがって、役員・役員クラスが転職すること自体には、法的制限はないとされています。

「競業避止義務」で制限を課すケースも

取締役には、「自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引」(競業取引)の規制が置かれており、競業取引をしようとする場合には取締役会または株主総会による承認を受けねばならないとされています。これは、取締役が職務上で知り得た情報(顧客情報など)を自己の個人事業などに利用して利益を追求すると、会社の犠牲のもとに個人の利益を得る危険が生じることから、会社の利益と取締役個人の利益の調整を図る規制です。競合他社に転職して取締役を務めることには問題ありませんが、転職前に競業取引を行う場合には規制の対象になります。承認を得ていない競業取引は取締役としての義務違反となり、企業が損害を被った場合には損害賠償を請求される可能性もあります。

また、企業は労働契約を結んだ従業員(役員クラスも含む)に対し、「競業避止義務」を課すことができます。「競業避止義務」は、入社時の誓約や就業規則に含まれる競業禁止特約によって定められ、所属する企業の不利益となる競業行為を禁ずるものです。違反した場合には、「退職金の支給制限」「損害賠償の請求」「競業行為の差し止め請求」などの措置が行われることもあります。

転職時の「競業避止義務」で注意したいこと

「競業避止義務」では、本人の同意があれば、「同業他社への転職を可能とするまでの期間を定める」「同業にて起業をしない」などの制限を設けることも可能とされています。入社時、あるいは退社時に合意する誓約書・契約書に競業避止義務として盛り込まれていた場合、トラブルにつながる可能性があります。
ただし、入社時の誓約書だけで退社後の競業に強い制限をかけることは難しく、また、退職時に競業避止義務を求めるかどうかも、在職中に経験した業務内容や得たスキルなどによって変化します。退職時に競業避止義務を定めた誓約書・契約書への署名を求められた場合、拒否することも可能です。強硬に署名・提出を求められた場合は弁護士に相談すると良いでしょう。

役員・役員クラスが円満退職するためのコツ

現職の取引先、顧客、社内の関係者と事前にコミュニケーションせず、引き継ぎの体制を整えずに転職した場合、業界内などの評判に影響を与える可能性があるので注意しましょう。役員・役員クラスの転職であっても、転職先の企業名を通知する義務はありません。退職時に誓約書への署名を求められたら、競業避止義務の規定が盛り込まれているかどうか、規定の詳細を確認しましょう。気になる記述がある場合、内容の変更を申し出ることも可能です。交渉してみると良いでしょう。
また、同業他社に転職する場合は、ノウハウ・顧客情報・人材の流出などを懸念されるため、モラルを守り、関係性を悪化させないことが大切です。特に、「技術情報や内部情報などの秘密保持義務を守ること」「顧客情報などを流用しないこと」「人材の引き抜きをしないこと」の3点に注意しましょう。

役員・役員クラスが転職する際の企業の選び方

役員・役員クラスの転職方法や注意点をご紹介します。

役員・役員クラスの一般的な転職方法

役員を外部から採用する場合、株主や社員への影響を考慮し、情報を公開せず、水面下で採用活動を行う傾向があります。役員・役員クラスの採用手法は、「既存の役員から紹介された人材を選出する」「業界内などで評判の高い人物をヘッドハンティングする」「エグゼクティブ向けの特定の転職エージェントを活用し、採用活動を行う」などが挙げられます。
「役員候補」「執行役員候補」「幹部候補」「CxO候補」を募集は、転職サイトなどで情報を一般公開することもあります。しかし、こうした場合、当該ポストにおける人材の採用を必須とせず、あくまで候補者として採用するケースもあります。選考での評価によっては、役員クラスのポストに就けるとは限らないので注意しましょう。

同じポストでも責任範囲や職務範囲が異なるケースもある

組織運営の体制が整備されているような、いわゆる大企業と、オーナー社長が経営する中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業とでは、役員・役員クラスの果たすべき役割や職務のレベルが大きく異なる可能性があります。後者の場合は、会社の規模が小さいこともあり、社長などの代表取締役の決定権が強いため、役員・役員クラスはそこに追随するのみというケースも少なくはないでしょう。企業の規模や経営体質によって、責任範囲や職務範囲に差異があるので注意しましょう。

また、役員クラスの場合は、企業や事業の成長段階によって責任範囲や職務範囲が変化するケースもあります。「募集しているポストの定義」「担当する職務・役割・責務」をしっかり確認することが大切です。役員クラスのポスト・待遇にて採用される場合は、管理職とは責任の重さが異なり、課されるミッションに対して一定の責任を負います。成果を挙げられない場合は進退を問われる可能性もあるため、求められる成果の度合いや達成すべき期間なども確認することをお勧めします。

スカウトサービスや転職エージェント活用で、ミスマッチを防ぎ、選択肢を広げる

役員・役員クラスの求人情報は一般公開されないケースが多いため、非公開情報を持つスカウトサービスや転職エージェントを活用すると良いでしょう。複数企業の情報を持っているケースもあり、選択肢を広げることができます。また、企業の募集背景や経営方針なども理解していることが多いため、ミスマッチを防ぐことにも役立ちます。担当する事業の内容や組織の規模、採用で重視されること、課されるミッション、年収、キャリアステップなどの詳細を確認し、自身の経験・実績・希望にマッチした転職先を探すことができるでしょう。