ベンチャーから大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクターに【転職事例Vol.09】安藤俊一

ベンチャー系広告制作会社のAさんは、挑戦したいことを実現でき、自分を必要としてくれている大手広告代理店グループのクリエイティブエージェンシーを、納得して選んだ

「自分にどのようなチャンスがあるのかを知りたい」 と、Aさんはおっしゃった

Aさんと初めてお会いしたのは2015年の春、それから2カ月ほどで転職先が決定しました。私の方から、キャリアカーバーを通してお声掛けしたのが最初のご縁。30代前半で、ベンチャー系広告制作会社のクリエイティブ・ディレクターを経て、取締役まで務めておられました。留学経験があり、英語も堪能です。

Aさんが転職を考えた理由は、「このままでよいのか?」 という漠然とした不安から。自分は小さな会社の中で小さくまとまってしまっているのではないか、我流のクリエイティブがこれから先も果たして通用するのだろうか、今こそチャレンジする時ではないかといった思いから、私も含めて何名かのコンサルタントや人材紹介会社に接触し、求人情報を集めておられました。

「自分にどのようなチャンスがあるのかを知りたい」 と、初めてお会いした時にAさんはおっしゃいました。聞けば、他社の方々からは、広告クリエイティブに限らず、外資系エンタテインメント企業の宣伝部、大手ネット企業のプロジェクトマネジャー等の職種も紹介されたとのこと。そこで私も、広告業界だけでなく、周辺業界・周辺職種も含めていくつかの求人案件を紹介していきました。基準は、実務スキル、性格面や人物像を総合的に評価し、Aさんを気に入ってくれそうな会社。両者のことを深く把握していれば、こういったことはだいたいピンと来るものです。

自分を最も必要としているのは、やはり広告クリエイティブの世界だ

さまざまな求人案件を吟味し、気になった会社と面接する過程で、Aさんは現在の転職マーケットの相場観とご自身の市場価値を、いち早く的確に把握していきました。少し経つと、ご自身を最も必要としているのは、やはり広告クリエイティブの世界ではないかとおっしゃるようになりました。

なかでも、B社の選考がトントン拍子で進んでいきました。B社は、一部上場の大手広告代理店グループのクリエイティブエージェンシー。私がB社から承った募集要項では、もう少し経験の浅い方を募集されていましたが、AさんはB社に絶対に合うだろう、入社したら必ず活躍出来るだろうと確信したので、是非面接して頂きたいと積極的にご紹介したのです。B社の人事の方は、Aさんが想定外のハイキャリアだったため、当初はあまり気が進まないようでしたが、一度面接したところ、私の想像以上に印象が良かったらしく、次回の面接へと進むスピードが非常に速かった。その反応の良さが、採用意欲の高さを雄弁に物語っていました。その点はAさんご自身もお気づきのようでした。

一方で、B社の選考が進む間、私は更にいくつかの案件をご紹介していきました。Aさんの最初のご希望が「ご自身のチャンスを知りたい」というものでしたから、できるだけ可能性を広げて頂きたい、納得のいく転職活動を行って頂きたいと願ってのことです。

最終的に、AさんはB社に決めました。英語力を活かしたグローバルプロジェクトや大規模プロジェクトに参加できる、クリエイティブだけでなくマーケティングにも携われるなど、以前から挑戦したいと望んでいたことを実現できる環境が整っていること、そして何より自分がB社から必要とされていることが決め手となった様子で、Aさんは充分満足したという表情で、意気揚々と新天地へ踏み出されました。

今振り返ると、AさんがB社への入社を決める迄の間に、他にもさまざまな案件を紹介していったのが良かったのではないかと感じています。B社の良さ、ご自身とB社の相性を再確認して頂くためにも、複数の案件が必要だったのだろうと思っています。

「安藤さんが言うのだから」 とおっしゃって頂けたら、嬉しい

Aさんは職務経歴も優れていましたが、実際に接していても人間的に素晴らしい方でした。お忙しいにも拘わらず、電話をするとすぐに連絡が取れましたし、出られない時も、ほどなく折り返しのご連絡が入りました。私の経験では、Aさんのように電話やメールの対応が迅速で丁寧な方は、面接プロセスもたいていスムーズに進んでいきます。ごく初期の段階から、Aさんなら転職はさほど難しくないだろうと感じていました。

ただ、誰しも、転職活動をする際はあらぬ噂や周囲の声に惑わされ易いもので、一人で考えていると、必ず情緒不安定に陥る時期が来ます。その時に、メンター役として求職者の方のそばに居るのが私の役目。労働マーケットに精通した公正な第三者として、現在の転職市場の相場観、求職者の方の現在地、求人企業の事情などをできるだけ客観的に偏りなくご説明して、皆さんの不安を取り除いていきたいといつも考えています。

一方で、その方の役に立つと思えば、たとえ初対面の方であっても敢えて厳しい言葉を投げかけることがあります。転職する時は、必ずどこかで現実を直視する必要があります。特に、ある程度のキャリアを積んできた方は、これまでどのような業界・職種で働いてきたか、仕事に向き合ってきたかで、転職先は既にかなり絞られていると言っても過言ではありません。もちろん、高みを目指して頂く必要はあるのですが、いつまでも永遠に選り好みはできないのです。

Aさんもそうでしたが、序盤で掲げた転職の軸や理想は、さまざまな出会いを経て柔軟、且つ、現実的に変わっていくもの。転職の軸がしなやかになっていき、ご自身の体をご縁や流れといったものに気持ち良く任せ委ねることができた時、その方はきっと良い転職先に巡り合えます。決して逃してはならないチャンスが来たと判断したら、すかさず求職者の方の背中を押し、決断して頂くのも私の役割。これまでの経験から、この方にはこの会社、この仕事がピッタリだということは、私にはほとんど直感的に分かります。その直感を率直にお伝えした時に、私自身を信頼して頂けるかどうかが勝負です。「安藤さんが言うのだから」とおっしゃって頂けたら、これほど嬉しいことはありません。その様な時に、厳正な事実をお伝えしてもご納得頂けるだけの器量・人物になるために、私は日々、努力を惜しみません。

安藤 俊一さん

株式会社エリートネットワーク カウンセリング事業部

県立厚木高校から、立教大学を経て、新卒で、1988年4月(株)リクルート フロム エー(現・(株)リクルートジョブズ)へ入社。退職と同時に2002年7月(株)エリートネットワーク入社。以降、法人営業(企業担当)兼 転職カウンセラーとして、13年以上にわたって転職支援に従事している。担当業界は、IT、インターネット、Web、ゲーム、マスコミ・メディア、人材、流通、メーカーなど多岐にわたる。2000社以上に訪問・取材し、350名以上の決定実績がある。転職カウンセリングの予定が入っていない時間は、各企業の幹部の方や人事部に足繁く通い詰め、デジタルな情報だけでなく、社風・組織風土・各企業様が自社の従業員に求めるコンピテンシーといったアナログ的なニュアンスに至るまで取材・体感し、日々情報のブラッシュアップに努めている。

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