転職成功しやすい年齢と、転職が難しくなる年齢はある?

「転職を考えているが、今のタイミングで動くのは適切なのだろうか」「年齢によって転職成功率はどのように変わるのだろうか」――転職に際して、「年齢」を気にかける方は多いようです。
結論を言えば、転職の成否は経験・スキルによるものであり、何歳になっても転職は可能です。しかし、年代によって転職のしやすさは異なります。各年代の転職の特徴について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に解説いただきました。

年齢が若いほうが転職しやすい傾向がある

厚生労働省が発表しているデータによると、転職を希望する人のうち、実際に転職を経験した人の割合は年齢が若いほうが高く、40代~50代は低い傾向が見られます。25歳~29歳では5割を超えているのに対し、40代~50代では3~4割にとどまっています。

転職希望者に占める転職就業者の割合

転職希望者に占める転職就業者の割合に関するグラフ

出典:令和元年9月27日 厚生労働省職業安定局「中途採用に係る現状等について」P20・図表17
(備考)
1.総務省「平成 29 年就業構造基本調査」 により作成。
2.転職就業者は 、「就業者のうち前職のある者 で、過去 1 年間(平成 28 年 10 月以降)に 離職を経験した者」をさす 。

若年層が転職しやすい理由

20代を中心とした若年層のほうが転職しやすい理由としては、主に次のような要素が挙げられます。

ポテンシャルを評価される傾向がある

20代を対象とする採用では、入社後に自社で育成していくことを前提に、「ポテンシャル」「仕事への取り組み姿勢」「意欲」などを評価します。

また、20代後半となると、ひととおりのビジネス経験を積んでいることに加え、「新しい環境になじめる柔軟性がある」と考えられており、転職市場ではニーズが高い年代と言えます。この年代は、異業種・異職種へのキャリアチェンジのチャンスも豊富です。

中高年層と比較すると希望条件が複雑ではない

30代以降、年齢を重ねていくにつれ、結婚して家庭を持ったり、ローンで住宅を購入したり、家族の介護を抱えたりする人の割合が増えます。そうした方々は、家族やローンの都合上、「年収」「勤務地」「勤務時間」などにおいて転職条件に制約が加わることがあります。そのため、転職活動をして内定を獲得できても、条件が折り合わずに断念するケースも少なくありません。

さらに40代~50代となると、年収や勤務地条件のほか、「役職」を求めるケースも多くなります。管理職以上のポジションは数が限られているため、自身の希望や条件に合致する求人になかなか出会えず、転職活動に苦戦することも多いのです。

「長期勤続によるキャリア形成」の求人が多い

一定規模以上の企業では、社風に馴染み将来的に事業を支える人材を育成するため、新卒や若手を採用して長期でのキャリア形成を行います。

しかし、少子高齢化が進んでいる現在、新卒採用に苦戦している企業が多くを占め、新卒採用予定数を満たせないケースも増えています。その結果、社会人経験1~3年程度の「第二新卒」をはじめ、20代を中心に中途採用を行っているのです。

「35歳」が、転職が難しくなる分岐点?

30代でも、前半のうちは異業界・異職種への転職を実現している事例が多数見られます。一通りのビジネススキルを身につけており、新しい組織になじむ柔軟性もまだまだ高いと見なされるためです。

しかしながら30代後半になると、専門スキルやマネジメント経験など、「即戦力性」を求められる傾向が一層強くなります。とはいえ、以前はよく言われた「35歳が転職できる限界年齢」という説は、今の時代にはそぐわないものとなっています。「人生100年時代」と言われ、定年も延長されつつある現在、35歳は「これからまだまだ活躍できる年代」と捉えられるようになってきました。30代以降は、20代~30代前半と比べると求人の選択肢は減るものの、転職のチャンスは十分にあります。

また、近年は新しいテクノロジーを活用したビジネスモデルやサービスを手がけるスタートアップ企業が台頭してきています。こうした企業では、事業の推進や組織体制の整備のためにビジネス経験が豊富な人材を求めており、30代後半~40代の方を事業部長クラスや「CxO」のポジションで迎える求人が増えています。

なお、「35歳以上の転職が難しい」と考えられている背景として、企業側の採用ニーズだけではなく、前述した「求職者側の希望条件が複雑化する」といった要因もあります。転職を成功させるためには、条件の優先順位を明確にし、ある程度条件をゆるめて求人を検討することも大切です。

少子高齢化によって中高年層にも門戸が広がっている

日本では少子高齢化が進み、労働人口の減少が深刻な問題となっています。労働力を増やすため、女性や外国人と並び、シニア層の活用も促進する機運が高まっています。厚生労働省からも、平均寿命の伸長により、就業期間も長期化していくことが見込まれるデータが公表されています。

高齢者の就業率の推移に関するグラフ

40~50代・ハイクラス層の転職事例

ハイクラス層の場合、役職定年を見据えて40代~50代でセカンドキャリアへ踏み出す転職、これまでのマネジメント経験を活かして経営に携わる転職などの事例が増えています。40~50代のハイクラス人材を対象とした採用として、次のようなケースがあります。

  • オーナー経営者が30代~40代の子息に経営を引き継ぐにあたり、まだ経営経験が浅い次期社長のサポート役・指南役として、50代以上の経営幹部経験者を採用
  • 後継者がいない中堅・中小企業を、プライベートエクイティファンドがM&Aによって承継。40代~50代の人材を採用し、社長・取締役・CFOなどに据える
  • 中堅・中小メーカーが製造現場を効率化するための仕組みづくり、風土改革などを図るため、大手メーカーで生産関連部門長を経験した人材を工場長として採用
  • 経営陣が若いスタートアップ企業がIPOを目指すにあたり、40代以上のCFOや社外取締役などを招聘

このほかにも、多くの40代~50代の方々が、高度な専門スキル・マネジメント経験・経営の経験などを活かして転職を果たしています。

転職を考えているのであれば、転職エージェントに相談を

転職に成功するかどうかは、年齢よりも経験・スキルによるところが大きいでしょう。十分な経験・スキルを持っている方でも、それを活かせる求人を選択できるか、希望条件の優先順位を整理することができるか、応募企業に対して適切にアピールできるかどうかによって明暗が分かれます。

ご自身の専門領域の求人動向に精通した転職エージェントから情報を得たり、転職活動のサポートを受けたりすることで、転職成功率は高まります。まずはご自身に合う転職エージェントに出会い、相談してみてはいかがでしょうか。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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