転職でキャリアアップは難しい?実現するためのポイントや注意点

オフィスにて談笑をする人たち

「キャリアアップ」を目的に、転職を考える方は少なくありません。キャリアアップのパターン、転職でキャリアアップを実現させるためのポイントや注意点、面接でのアピールのコツなどについて組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

キャリアアップとは?

キャリアップとは、一般的に「より専門的な知識や高い能力を身につけ、できることの幅を広げ、人材としての市場価値を高めること」を指します。ただし、人によってキャリアアップの定義はさまざまです。「専門性を極めること」と考える人もいれば、「より大規模なプロジェクトを手がけること」「年収・ポジションを上げること」と捉える人もいます。

キャリアアップの代表的なケース

キャリアアップを図ろうとするなら、まずは「自分にとってのキャリアアップとは何か」を認識することが大切です。代表的なケースから、自身の方向性を考えてみましょう。

知識・経験を積み上げて専門性を高める

これまで経験してきた専門分野の範囲内で、新たな業務、より高度な業務などの経験を積むことで、専門性を高めます。例えば、人事職であればこれまでの「採用」「教育」経験に加え、「労務管理」「人事制度企画」まで経験する。経理職であれば、「月次決算」「年次決算」に加え、「連結決算」「管理会計」まで手がける…といったキャリアアップの方法が挙げられます。

複数の経験を組み合わせて希少性を高める

分野が異なる経験を組み合わせることによって、「該当者が少ない」状態をつくり、人材としての希少価値を高めます。例えば、「営業」の経験者は多数いますが、「営業」×「マーケティング」×「商品企画」を組み合わせた経験を持つ人は少なくなります。

業務経験の組み合わせのほか、「英語力も兼ね備える」「大手企業とベンチャー企業、両方の組織での勤務を経験する」といった組み合わせ方もあります。組み合わせる項目が増えるほど、人材としての希少性が増していくことになります。

管理・マネジメント経験を身につける

プレイヤーとして活動するのではなく、プロジェクトを統括したり、組織のメンバーへの指示・育成・評価を行ったりする「管理」「マネジメント」まで手がけます。マネジメント規模(予算・メンバー数など)がより大きくなっていくこと、そして「経営」のポジションに近づいていくことが、キャリアアップと言えるでしょう。

待遇を上げる(年収やポジション)

転職によってこれまでより高い役職に就く、あるいは年収を上げることも「キャリアアップ」と表現されます。より大きな裁量権を手に入れたり、高度な業務を任されたりすることにもつながります。手がける業務内容がこれまでと変わらなくても、業界や企業が変わることでキャリアアップが実現できることもあります。

「スキルアップ」との違い

キャリアアップの類義語に「スキルアップ」があります。スキルアップとは、業務経験・研修・自己学習などを通じて、より具体的な「業務遂行力」を高めることを指します。

キャリアアップは難しい?実現可能性を高めるポイント

キャリアアップが難しいと感じている場合は、実現へ近づけるために次の方法を試してみてください。

キャリアの棚卸しをする

キャリアアップを目指すなら、まず「現状」を把握することが大切です。そのために「キャリアの棚卸し」をしてみましょう。これまで担当してきた業務やプロジェクトなどを振り返り、どのような経験を積み、どのようなスキルが身についているかを洗い出します。成功経験や失敗経験なども踏まえ、自身の「強み」「弱み」を整理します。

キャリアプランを考える

キャリアプランとは、これまで培った「強み」をどのように活かしどの方向へ進んでいきたいかという、キャリアの計画や見通しを指します。先ほど例示したキャリアアップのパターンも参考にしてください。3年後、5年後、どのようなポジションで仕事をしていたいかという目標を設定し、さらに10年先、20年先といった長期視点でも「将来目指す姿」を描いてみましょう。

やるべきことと短期目標を決める

将来目指す姿と今持っている経験・スキルを照らし合わせ、ギャップを明確にします。それを踏まえ、次にどのような経験を積み、どのようなスキルを身につけるか、短期目標を決めましょう。

例えば、特定の分野について深い知識や高い技術をも持つ人材である「スペシャリスト」としてキャリアアップを図るのであれば、より高度なスキルや最先端の知識をキャッチアップしていく必要があります。「経営に近いポジション」を目指すなら、戦略策定やマネジメントの経験を積むのが有効です。

<短期目標の一例>

●現在担当している仕事で成果を挙げ、高い評価を受けることで昇進する、あるいはさらに大きなプロジェクトを手がけるチャンスを手に入れる
●新人や後輩の育成を自ら買って出たり、プロジェクトの責任者に手を挙げたりして、マネジメント経験を積む
●社内ベンチャー制度などに応募し、新規事業立ち上げの経験を積む
●専門性を高めるために、より規模の大きな顧客に向き合うことで専門性を高められるよう、現在の中小企業担当の部署から大手企業担当の部署に異動する

希望する経験を現職では積めない、あるいは経験できるようになるまでに時間がかかり過ぎるといった場合は、「転職」も選択肢の一つとなります。

転職でキャリアアップを実現するための注意点

転職でキャリアアップを目指したいと考える場合、次のポイントに注意しましょう。

異動や副業・複業なども視野に入れる

転職先の慣れない環境よりも、現職の方がこれまでの経験や社内人脈などを活かせる分、新たなチャレンジがしやすい可能性があります。キャリアアップを図るため、すぐに転職するのではなく「社内異動」や「副業・複業」によって新しい経験を積む道も探ってみましょう。

段階を踏んでキャリアアップのゴールを目指すことも視野に入れる

転職によって「年収」「ポジション」などが大きくジャンプアップできたとしても、転職先企業の期待に応える活躍ができず、プレッシャーや居心地の悪さを感じてしまうこともあります。例えば、いきなり「CxO」ではなく「事業部長」「プロジェクトマネジャー」などから入り、実績を挙げたうえで上のポジションに昇格するなど、段階を踏んでゴールを目指すことも視野に入れましょう。

また、将来のキャリアアップを見据えて異業界・異職種へのキャリアチェンジを図る場合も、いきなり大きく転換する転職活動は成功率が低く、転職できたとしても、キャリアチェンジの場合はすぐに成果を出すことが難しいでしょう。例えば、メーカーの営業からIT系企業のWebマーケティングを目指すのはハードルが高いと言えます。そのような場合は、営業経験を活かしてIT系企業の営業に転職し、マーケティング職への異動チャンスを狙うなど、何段階かを経て目標へ近づいていくといいでしょう。

希望の優先順位をつける

転職先を選ぶ際、「スキルアップも年収アップもしたい。企業規模も上げたい」など、多くの条件を求めすぎると、選択肢が狭まってしまいます。上記の「2段階に分ける」とも共通しますが、条件に優先順位をつけ、「今回の転職では○○を実現できればキャリアアップとして成功」と定義してみてください。

転職エージェントのアドバイスを受ける

キャリアアップ実現のための最初の工程でもあるキャリアの棚卸し作業は、自分1人で行うと転職市場の相場が分からないため、自身の「強み」に気づけないこともあります。また、目指すキャリアに向かって、次にどのような経験を積み、どのようなスキルを磨いていけばいいか判断できないこともあるでしょう。その場合は転職エージェントに相談し、客観的な視点での市場価値の診断、目指すキャリアの実現可能性、必要な経験を積むための選択肢などについてアドバイスを受けるという方法があります。

また、自身と似たキャリアの人の転職事例を聞くことで、想定していなかったキャリアアップの方向性を発見できることもあるでしょう。

キャリアアップ転職の面接でのアピールのポイント

キャリアアップ転職を目指して選考に臨む際、どのようにアピールすればよいかをお伝えします。面接では「志望動機」「今後の目標」「キャリアプラン」などを聞かれるケースが多いため、自身の考えや希望がより伝わるように事前に回答を準備しておきましょう。次のポイントを意識してみてください。

「キャリアアップ」ではなく、自分の言葉にする

志望動機や目標を聞かれたとき、「キャリアアップを目指す」という汎用的・抽象的な言葉だけで終えないようにしましょう。自分自身の言葉で、「将来このような姿を目指している」→「だからこの経験を積みたい」「このような環境で働きたい」→「それが御社で実現できるので志望した」と、ストーリー立てて語れるようにすることが大切です。

応募先企業でどのような貢献ができるのかを伝える

「キャリアアップしたい」という自身の一方的な希望だけを伝えるのではなく、これまで培った経験・スキルを活かして応募先企業に貢献する意欲をアピールしましょう。例えば「売上拡大」「業務改革」「組織づくり」「人材育成」など、具体的にどのような貢献ができるかを伝えられるよう準備してください。

また、「このスキルを獲得したい」という希望ばかりを強調すると、「それ以外の仕事には真剣に取り組まないのでは」「そのスキルを得たら辞めてしまうのでは」といった懸念を持たれる可能性もあります。応募先企業の理念・事業・風土などに対して魅力を感じていることも、併せてアピールするといいでしょう。

客観的に見て納得感のある理由にまとめる

「そのキャリアビジョン・プランはなぜ現職で実現できないのか?」という応募企業の疑問に答えられるよう、実現できない根拠や、実現しようと行動したことなども整理しておきましょう。ただし、「昇進試験に落ちたので」「社外から役職者が入ってきて自分が昇進する芽がなくなったので」などが理由の場合、企業によってはスキル・能力不足に受け止められる場合があります。例えば、「現職での取り組みはやりきったので、培った経験・スキルを外で活かしたい」など前向きな理由に整理して伝えるなどの工夫が必要です。

自分のキャリアは定期的に振り返ろう

キャリアアップに向けてのプランを立てたら、ゴールに向かって突き進むだけでなく、定期的に振り返って見直してください。社会情勢やトレンドが変化していたり、自身のライフステージが変わっていたりすると、ゴールやプランを変更する必要があるかもしれません。その際は、転職するか決まっていなくても、市場環境を把握しながら軌道修正を行っていくために、転職エージェントにアドバイスを求めることも有効です。

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粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。