「柔軟性」を自己PRで伝える場合のポイントと自己PR例文

転職活動の自己PRで「柔軟性」を伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、柔軟性を自己PRで伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを伺いました。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「柔軟性」を自己PRで伝える場合のポイント

柔軟性のある人は、一般的に「臨機応変な対応ができる」「自由な発想ができる」といった特徴を備えているといわれており、ある意味で、広くどのような職種にも求められる特性と言えます。柔軟性がある人が発揮する能力をまとめると、以下の2つが例として挙げられます。

1)臨機応変な対応力
その場の状況に応じたベストな判断と行動ができるので、顧客への対応や、チーム・部署で連携するプロジェクトなどで力を発揮します。自分の意見だけでなく、周囲の意見も取り入れながら、目的を達成していくことができるでしょう。

2)自由な発想力
過去の成功体験や慣習慣例にとらわれず、独自の発想ができ、それを行動に移すことができます。新たな企画の発想や、業務の進め方の改善・改革などに活かすケースが多いでしょう。

「柔軟性」は一般的によく使われる表現であるため、自身のエピソードに基づいた、より「自分らしい柔軟性」を伝えることが重要です。「自分が柔軟性を発揮するポイントは何か」を分析し、具体的な言葉に落とし込むと良いでしょう。

【例】
「臨機応変に顧客の要望に応えていく柔軟性がある」
「業界の常識に囚われず、多様な方法論や視点を取り入れることができる」
「世の中の変化を読み取り、新たな発想を生み出すことができる」

また「柔軟性がある」というアピールだけではなく、それが具体的にどのような成果に繋がったかを、合わせて伝えることが重要です。

ただし、自己PRで柔軟性を伝えた場合、自分の意見や考えがなく、ただ他者の指示や顧客の要望に対応したと受け取られてしまえば、「主体性がなく受け身」「自分の意見がなく、人の意見に流されやすい」とマイナス評価されてしまう可能性があります。柔軟性をアピールする時は、自分の意見や行動をエピソードの軸とし、プロセスをしっかりと伝えることが大切です。

「柔軟性」の自己PR例文

「柔軟性」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。

カスタマーサクセス職の自己PR例文

顧客ごとに徹底してカスタマイズした「柔軟な対応力」が強みです。
定型的なサービス提供ではなく、顧客の特性や要望に応じた対応を心掛けてきました。定例ミーティングでの密なサポートを望む顧客もあれば、業務多忙のためメールや資料でのフォローが喜ばれるケースも多くあります。そのため、活用事例をまとめた資料や動画で情報提供をしたり、顧客からの機能追加等の要望をエンジニアやデザイナーに即時共有し、可否や時期について技術的観点からFBしたりするなど、フレキシブルに対応してきました。
その結果、チャーンレートは約○%を維持し、NPSは社内上位10%で推移と、顧客に満足いただいています。貴社においてもこの強みを発揮し、顧客満足度向上、事業成長に貢献できると考えています。

UI/UXデザイナー職の自己PR例文

私の強みは、特定の視点や価値観に囚われない「柔軟性」です。
コンサルティング会社に属するUI/UXデザイナーとして、to Cとto B 双方の多様なサービス・プロダクトのUI/UXデザインを、コンセプト作りやリブランディングを含めた上流から担当してきました。顧客の戦略や理念、そのサービス・プロダクトを取り巻く市場環境・ユーザー等によって、UI/UXデザインの提案内容が大きく異なる経験を通じて、常に顧客ごとにリサーチや分析を行い、ゼロベースから思考していくスキルを磨いてきました。
その結果、担当したWebサイトのPV数対前年比〇%向上、担当したto B・SaaSプロダクトのユーザー満足度を○%アップすることができました。
この強みを活かし、貴社プロダクトの改善や成長にも寄与できると考えています。

総務・管理部門職の自己PR例文

会社への貢献を考え、多様な業務に挑戦できる「柔軟性」が強みです。
総務として○年間、オフィス設備・機器・備品・文書管理、社内行事等を担当してきましたが、IT担当者の退職に伴い、急遽、管理部門へのRPA導入プロジェクトを担当することになりました。未経験ではありましたが、ベンダーや導入コンサルからのレクチャーを受け、事業部門のエンジニアのサポートも得ながら、経理部門への導入を実施しました。
その結果、経理部門で○%の業務時間削減効果がありました。また、個人的にも総務に加えて社内ITを担当するようになり、役職もリーダーに昇格しました。会社への貢献や成長の機会と捉え、柔軟に対応してきた経験は、成長著しい貴社で活かせると考えています。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

求職者の自己PRが「柔軟性」の場合、企業は特に次の2点について注目し、評価しようとするでしょう。

1)対応力について
「柔軟性」がある人の持つ対応力の高さ、臨機応変さという特徴は、入社後のキャッチアップの可能性や速さを予想させるものです。「組織に早く馴染んで定着してくれるか」「仕事に前向きに取り組み、成果を出してくれるか」という点に企業は注目するでしょう。

2)発想力について
既存の従業員にはないアイデアや観点を持って、自社に変化をもたらしてくれそうか。また、さまざまな手法を取り入れることで、事業の展開や成長、組織の成長に貢献できるかという視点でも、求職者の「柔軟性」を評価するでしょう。

自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「柔軟性」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くのはNG。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際の注意点

自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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