未経験業界・職種に転職する場合の自己PRのポイントと例文

未経験の業界・職種への転職を目指す場合、経験者と比べると選考で不利になりがちです。そこで、履歴書や職務経歴書に「自己PR」欄を設けて自身の「強み」をアピールすることで、選考通過率が高まる可能性があります。 未経験領域に転職する場合の自己PRの書き方のポイント・例文について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。

未経験領域に転職する場合の自己PRのポイント

未経験領域への転職には、次の3つのパターンがあります。

  • 未経験業界×経験職種への転職
  • 経験業界×未経験職種への転職
  • 未経験業界×未経験職種への転職

いずれのパターンであっても、履歴書や職務経歴書に自己PRを書く際には、「これまでの経験が応募先の業界・職種でどう活かせるか」を伝えることが大切です。パターン別に自己PR文を作成するポイントをお伝えします。

経験職種×未経験業界に転職する場合

同じ職種で未経験の業界を目指す場合、その職種で発揮してきたスキル、成功体験などが応募先の業界でも再現できることを伝えましょう。例えば営業職であれば、扱う商材が異なっていても「ターゲット顧客層」「営業スタイル」が同じであるなど、共通する部分をアピールします。企画職であれば、フレームワークの経験などもアピール材料となるでしょう。

経験業界×未経験職種に転職する場合

同業界内で未経験の職種を目指す場合、これまでの職種の経験の中から応募職種で活かせるものをピックアップして伝えましょう。例えば、企画職を目指すなら「課題発見・解決」「戦略立案」、マーケティング職を目指すなら「データ収集・分析」「市場調査」、広報職を目指すなら「プレゼンテーション」「ネットワーク構築」、人事職を目指すなら「人材育成」といったように、従来の職種での活動で共通する部分に力を入れていたこと、能力を発揮していたことをアピールするといいでしょう。

未経験業界×未経験職種に転職する場合

業界も職種も未経験であれば、「ポータブルスキル」=「業界・職種に関わらず持ち運べるスキル」を強調してアピールするのが有効です。例えば「論理的思考力」「課題発見・解決力」「交渉力」「調整力」などです。自身が強みとするポータブルスキルのうち、応募先の業界・職種で求められるものをピックアップし、これまでの仕事でどのようにそのスキルを発揮してきたかを伝えましょう。

また、応募先の業界・職種に活かせる知識を学んだり、資格を取得したりするなどの努力をしていることを伝えるのも有効です。

未経験領域に転職する場合の自己PR例文

未経験領域に応募する際の自己PR文について、3つのパターンそれぞれの書き方の一例をご紹介します。

未経験業界に転職する場合の自己PR例文

(※営業職として異業界への転職を目指す場合)

私が強みとするのは、顧客の本質的な課題を深掘りすることです。営業として、これまで中小企業の経営者を対象に経営における悩みをヒアリングするほか、時には各部門の現場スタッフとも対話し、さまざまな角度から課題を抽出する活動を行ってきました。結果、経営者自身が気付いていない課題を見つけ、解決策を提案することで大型受注の獲得につなげてきました。扱う商材が変わっても、中小企業の潜在ニーズを掘り起こす力を活かし、クライアントの課題解決と貴社の売上拡大に貢献できると考えています。

未経験職種に転職する場合の自己PR例文

(※営業職からマーケティング職を目指す場合)

私は新規顧客の開拓を得意としています。これまでは営業職として、業界のトレンドを伝えるセミナーを企画・実施したり、SNSを活用して情報発信したりするなど、見込み客の興味を引き付ける活動に力を入れました。その成果として、新規受注獲得数において支店で1位の実績を挙げています。今後はマーケティングの立ち位置でターゲット層に訴求する企画力・発信力を活かし、新たな顧客層の開拓に貢献したいと考えています。

未経験業界×未経験職種に転職する場合の自己PR例文

(※メーカーの営業からコンサルティング会社のコンサルタントを目指す場合)

私は数値の分析から課題を発見することを得意としています。食品メーカーで量販店を対象とした営業活動を行うにあたり、ただ自社商品を案内するだけでなく、顧客の店舗の利用者層や売れ筋などを分析し、販売戦略に対しても積極的に提案してきました。結果、顧客店舗の売上200%アップに貢献し、信頼を獲得した実績もあります。
食品・流通業界に対するコンサルティングについては、前職の知識・経験が活かせると考えています。
また、コンサルティング力を磨くため、ビジネススクールで「クリティカルシンキング」を学んでいます。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけでは掴めない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

特に、異業界からの応募者を選考する場合、採用担当者は応募者の業界のことを知らない可能性が高いといえます。その業界でどのように活躍し、どのようなスキルを身につけてきたのかが明確にイメージでき、「自社の業界でも活躍できそうだ」と思わせることが大切です。

自己PR文を作成する際には、このポイントを意識してみてください。自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価などを交えると、成果の規模や影響力が客観的に伝わります。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際の注意点

「資格」に限らず、職務経歴書の自己PR欄で自身の強みをアピールする際の注意点をお伝えします。
自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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