「積極性」を自己PRで伝える場合のポイントと自己PR例文

転職活動の自己PRで「積極性」を伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、積極性を自己PRで伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを伺いました。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「積極性」を自己PRで伝える場合のポイント

仕事の場面における「積極性」とは、「目標や課題をポジティブに捉え、自ら進んで意欲的に取り組む姿勢」と定義できます。類似する言葉に「主体性」(仕事においては、目的や目標を自ら考えて行動する姿勢)や「自主性」(やるべきことを指示される前に考えて行動する姿勢)がありますが、積極性は、主体的・自主的に取り組む姿勢も、指示されたことに意欲的に取り組む姿勢も包含していると言えます。企業も、積極性をアピールする応募者に対しては、これらの姿勢を発揮できるかどうかを把握しようとするでしょう。

この点をふまえると、積極性をアピールする場合のポイントとして、次の2点が挙げられます。

  • 積極性があるというだけではなく、成果につながったことを伝える
  • 一般的な積極性ではなく、自身のエピソードに基づいた自分らしい「積極性」にする

2については、「積極性が強みです」と伝えても、抽象的で、目標や課題に対してどのように向き合い、成果につなげていくのかがわかりづらいものです。エピソードに基づき、どのような積極性があるのかを端的に表現できると、積極性の発揮の仕方がより具体的に伝わるでしょう。

また、積極性をアピールする際の注意点として、うまく伝えなければ「指示されたことをとにかくやるリアクションタイプ(指示に盲目的・受動的に行動するタイプ)ではないか?」と受け止められる可能性があります。また、エピソードの内容によっては、「ただ闇雲に行動しただけではないか?」と受け止められる場合があることにも注意しましょう。

「積極性」の自己PR例文

「積極性」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。

法人営業・部門責任者の自己PR例文

実現困難なミッションでも勝ち筋を見出し、達成のための策を講じる積極性が私の強みです。
現職では、大手企業向けSaaS製品の営業部門責任者を務めています。数年前、担当製品の国内シェアが8位に落ち、経営層から「1年以内にシェア5位以内、3年以内にシェア〇%を獲得して圧倒的な1位を必達」というミッションが課されました。現状とはかけ離れた高い目標でしたが、現状分析を行い攻めの施策を打ち出していくことを決定。未開拓業界の開拓に長けた人材の補強や、未開拓エリアでの支社開設、自社社長による各エリアの未開拓大手企業社長への営業、他社とのアライアンスなどに取り組みました。
結果、1年以内にシェア5位以内のミッションはクリアし、3年以内のシェアは2位と未達でしたが、売上は〇%増と大幅に伸び、今後1年以内にはシェア1位を達成する見込みです。この経験と積極性を活かして、貴社営業部門の成長に貢献します。

ソフトウェアエンジニア・リーダー職の自己PR例文

身の丈以上のミッションにも挑戦し、周囲と積極的にコミュニケーションを図って全社のシステム変革プロジェクトをリードした積極性が私の強みです。
所属先は複数のWebサービスを展開しており、サービスごとの技術環境の差異による全社的なシステムコスト増や組織のタコツボ化が課題となっていました。状況改善のため、CTOから全社のシステム変革プロジェクトのリード役(テックリード)の打診を受けた私は、未知の経験ながら成長のための挑戦だと前向きに考え、引き受けました。
プロジェクトでは、各プロダクトマネジャーに対して、システム変革のメリットや難しさについて論点を整理し、対応策を示しながら何十回とミーテイングを重ねてコミュニケーションを図りました。進捗率が80%を超えた現在、エンジニアのスキルを向上させつつシステム運用コストの年間〇万円減を実現しています。この経験は、貴社の開発部門の成長にも活かせると考えています。

管理部門長の自己PR例文

自ら手を挙げ、グループ会社の管理部門のトップに出向し、組織を再建した積極性が私の強みです。
専門商社にて経理・財務部長補佐を務めていた際、他領域の経験を積むチャンスと考え、機能低下が課題となっていた当該部門へ部門長としての出向を申し出ました。
機能低下の要因は、外部委託の多用による社内のノウハウや人材不足であったため、プレイングマネジャーとして動き、経理・財務領域から始めて段階的に人事・労務、総務、法務領域のオペレーションや制度、IT環境を整備。並行して外部への委託業務と内製化する業務を切り分け、リーダー候補に裁量権を持たせて各課に課長として配置できるまでに育成するとともに、新卒社員も毎年配属して継続性のある組織体制を構築。業務品質も本社と同水準まで高めました。個人としても、管理部門全体の知見を得る成長を遂げられたと自負しています。
この経験を活かして、貴社の管理部門の体制強化に貢献します。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

そして、積極性をアピールする応募者に対しては、大きく、次のいずれかの力を持った人物であるかどうかを見極めようとします。

  • 目標や課題に対する向き合い方・捉え方:自ら設定した目標や希望する仕事はもちろん、困難な状況や完全に未知のミッション、やりたくない仕事、興味がなかったこと、指示されたことなどをポジティブに捉えられる姿勢(どのような仕事であっても可能性やおもしろさ、やりがい、勝ち筋を見出すような捉え方ができるか)
  • 目標達成や課題解決に向けた意欲的な行動:受け身ではなく、創意工夫した具体的な取り組みや行動(量・幅・質・継続など)ができる

したがって、積極性をアピールする場合、上記のいずれかが伝わるよう、エピソードや、それに基づく自分らしい「積極性」の説明をするとよいでしょう。

自己PR文を作成する際には、このポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「積極性」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くのはNG。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PRを作成する際の注意点

自己PRを作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業が求めている人物像から外れている内容をアピールすると、「自社を理解していない」と評価ダウンにつながる可能性があります。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかをつかみましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールするといいでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意してください。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用しないか、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。