退職の挨拶(スピーチ・メール・オンライン)の例文と社内外に挨拶する場合のポイント

退職する際の挨拶。社内・社外、相手との関係性、挨拶の場や手段などによって、伝える内容や注意点が異なります。対面スピーチ・メール・オンラインなど、それぞれのシーンでの退職挨拶のポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。

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退職の挨拶のタイミングと種類

社内のメンバーに対する対面での退職挨拶は、「最終出社日」に行うのが一般的です。最終出社日前であっても、すでに人事発令がされていて、引き継ぎも一段落しているタイミングで行うこともあります。一方、社外の取引先に対しては、対応件数や引き継ぎ事項が多い場合、人事発令よりも前に退職の連絡を始めることもあります。
メールでの挨拶の場合も同様に、社内に送る場合は最終出社日、社外は最終出社日の2週間~1カ月前に連絡をし、最終出社日や後任などを伝えるようにします。

挨拶の手段には、次のようなパターンがあります。職場の慣習や相手との関係性などによって使い分けるといいでしょう。

社内への退職挨拶

  • 朝会や定例会などの場でスピーチ
  • メールでの挨拶
  • 個別の挨拶(別途、時間をもらって話すなど)

社外への退職挨拶

  • 取引先やパートナー企業を訪問して挨拶(後任者と同行)
  • メールでの挨拶

社内への退職の挨拶の注意点

退職する会社の上司や同僚と良好な関係を保ちつつ円満に退社するために、社内向けの挨拶は次のポイントに注意しましょう。

ネガティブな内容は避ける

退職する理由が「不満」であったとしても、また、会社に対して批判や忠告をしたい気持ちがあったとしても、退職挨拶の場でそれを口にすることは控えましょう。その会社で働き続ける上司や同僚にとっては、やはり不満を耳にするのはいい気分ではなく、悪影響を与えることにもなりかねません。退職後も元上司・元同僚と良好な関係を続けることが難しくなります。退職の挨拶は、「これまでの感謝」と、「今後への前向きな気持ち」を伝える機会と捉えてください。

転職先は言わなくても良い

転職先を言うかどうかは、業界やその企業の慣習から判断してください。
基本的には、退職の挨拶の場で、転職先企業名を言う必要はありません。特に、競合他社に移る場合などは、同僚を動揺させたり不穏な空気になったりするおそれもありますので、社名を伏せておくほうがいいでしょう。「今後は、○○業界で△△の仕事をします」といった表現にとどめるか、「転職後、落ち着いた頃にご報告します」などと伝えておいてはいかがでしょうか。

退職挨拶で伝える基本項目

退職の挨拶をする際は、スピーチにしてもメールにしても、次の項目を盛り込むといいでしょう。

  • 退職予定日
  • 感謝の言葉
  • 印象に残っている仕事やプロジェクトのエピソード(困難な場面で助けられたこと、学びを得られたことなどを中心に、感謝とともに伝える)
  • 今後について(どのような道へ進むのか、など。社外向けであれば後任への引き継ぎについて)
  • 結びの挨拶

社内向けスピーチのポイントと例文

部署内のミーティングで、あるいはフロア全体に向けて挨拶のスピーチをする場合のポイントと、挨拶文の一例をご紹介します。

社内スピーチのポイント

長くなりすぎないように注意し、3分程度以内に収めましょう。相手がチームメンバーである場合、これまでの仕事やプロジェクトでの思い出、当時の気持ちなども交えて話すと、温かみが感じられるスピーチになります。ただし、フロアにいる他チームの人たちも聞いている場合、一部のメンバーにしかわからない内容は避けてください。この会社で働くにあたって大切にしてきたこと、この会社で学べたことなどを伝え、「感謝」「今後の抱負」で締めくくりましょう。

社内スピーチ例文

本日はお忙しい中、ご挨拶の時間を設けていただき、本当にありがとうございます。
この度、○月○日をもって退職することとなりました。本日が最終出社日です。

これまで、多くの方々に支えていただき、感謝しております。
特に印象に残っているのが○○の新サービス開発プロジェクトです。
私にとってもメンバーにとっても未知の領域へのチャレンジであり、多くの壁にぶつかりましたが、全員が達成への意欲を燃やし続け、成功させることができました。本当にうれしかった思い出です。

今後は、○○業界で○○サービスの開発に取り組む予定です。この会社で学んだことを活かしていきたいと思います。

○年間、大変お世話になりました。
皆さんのご健康とご活躍を心よりお祈りしております。
本当にありがとうございました。

社内向けオンラインスピーチのポイント

オンラインの挨拶も社内での対面スピーチと同様ですが、聞き取りにくい可能性があるので、間を置きながらややゆっくり話すことを意識しましょう。オンラインでの挨拶のメリットは、伝えたい内容のメモをPCモニターに映しておくことができる点にあります。対面では、メモを見ながら話すとよそよそしい印象を与えるものですが、オンラインであればカメラの近くに置いたメモを確認しながら話しても違和感を与えにくいでしょう。

社内向け同報メールのポイントと例文

社内の複数名に向けて、退職挨拶をメールで送る場合のポイントと、挨拶文の一例をご紹介します。

社内メールのポイント

業務で接している相手などに送信する場合、アドレスを「To」で指定して送信します。
一方、「これまで関わった複数の事業部に送りたい」など、接点のない人も含めて一斉送信する場合、アドレスを組織宛などにして「Bcc」を指定して送信します。

メールで挨拶するメリットは、退職後の連絡先を記載できる点にあります。今後もお付き合いを続けたい人への挨拶メールには、私用の電話番号やメールアドレスを記載しておくといいでしょう。

社内メール例文

(件名:)退職のご挨拶【○○部 名前】

(本文:)
お世話になった皆さまへ

○○部の○○です。
(Bcc送信の場合)※Bcc送信にて失礼いたします。

私事で恐縮ですが、○月○日をもって退職することとなりました。
在職中はさまざまなご協力・ご指導をいただき、誠にありがとうございました。
特に、○○の開発プロジェクトの折には、前例がなく難易度が高いチャレンジながら
多くの皆さまに支えていただき、感謝しております。

今後ですが、地元である○○県に帰る予定です。
同級生に誘われて、NPOで地域の産業を盛り上げることになりました。
○○県にお越しの際は、遠慮なくお声がけください。
地元の観光地や美味しいものをご紹介させていただきます。
退職後の連絡先は、署名欄に記載しております。

皆さまのご健康とご活躍を心よりお祈りしております。
長い間、本当にありがとうございました。

=====
署名
TEL.090-XXXX-XXXX
E-mail:XXXX@XXX.ne.jp
=====

社内での個別挨拶のポイントと例文

社内の特定の人に対し、個別で挨拶する場合のポイントと、挨拶文の一例をご紹介します。

社内での個別挨拶のポイント

お世話になった上長→先輩→同期といった順で挨拶しましょう。
挨拶内容の基本的な構成は全体向けと同様ですが、その人との印象的な仕事のエピソードや感謝の思いなどを厚めに伝えるといいでしょう。関係性によっては、転職先を伝えたり、改めて食事などに誘ったりしてもいいかもしれません。

社内の個別挨拶例文

お忙しいところ申し訳ありませんが、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか。
実は○月○日をもちまして、退職することになりました。
○○さんには、○○プロジェクトで行き詰ったときにいつも相談に乗っていただき、いい気付きやアイデアをいただき、大変感謝しています。
本当にありがとうございました。

次は○○業界のスタートアップ企業でプロジェクトリーダーを務めます。
落ち着いた頃にまたご連絡しますので、よろしければお食事でもご一緒させてください。

社外への退職挨拶のポイントと例文

取引先やパートナーなど、社外の人に対面で挨拶する場合のポイントと、挨拶文の一例をご紹介します。

社外向けの挨拶のポイント

社外への退職挨拶では、「引き継ぎ」に関する話をしっかりと伝えることが大切です。
なるべく後任者と同行することが望ましいといえます。1分程度で退職する旨と感謝の意を伝えた後、今後の対応や後任者のプロフィールなどを伝え、安心感を持ってもらうようにしましょう。

オンラインで挨拶する場合、後任者の略歴・人柄・抱負などを1枚の資料にまとめ、画面上に投影しながら紹介するのも有効です。

社外向けの挨拶例文

本日はお忙しい中、ご挨拶の時間を設けていただき、本当にありがとうございます。
勝手ながら○月○日をもって退職することとなりました。

御社を3年間担当させていただき、○○様には大変お世話になりました。
ようやく成果をお返しできるようになってきたところで退職となり、
正直に申し上げて、後ろ髪を引かれるような思いです。

後任につきましては、隣におります△△が担当させていただきます。
別のグループでずっと営業をしており、□□の経験は私より長いくらいです。
私も○月○日までは社内におりますので、何かありましたら遠慮なくご連絡ください。

これまで、本当にありがとうございました。
残りわずかではございますが、引き続きよろしくお願いいたします。

社外への退職メールのポイントと例文

取引先やパートナーなど、社外の人にメールで挨拶する場合のポイントと、挨拶文の一例をご紹介します。

社外向けメールのポイント

対面の挨拶と同様、「引き継ぎ」についての段取りを伝えましょう。また、後任者をCcに入れて送信します。なお、社外への挨拶メールに、退職後の連絡先(私用の電話番号やメールアドレスなど)を記載するのは控えましょう。会社を代表して取引しているため、退職する際にはすべて後任に引き継ぐ必要があります。私用のやりとりはトラブルを招く恐れがあるので注意が必要です。

社外向けメールの例文

(件名:)退職のご挨拶【株式会社△△ 名前】

(本文:)
株式会社××
▲▲様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の[名前]です。

私事で恐縮ですが、一身上の都合により○月○日をもって退職することとなりました。
最終出社日は○月○日を予定しております。

これまで▲▲様には何かとお力添えをいただき、心より感謝しております。
後任は、Ccに入っております□□が担当させていただきます。

□□は同じチームで働いており、最終出社までに引き継ぎを行ないますので、
変わらぬご指導、ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

本来であれば、直接お伺いしてご挨拶すべきところですが、
メールでのご連絡となりましたことをお詫び致します。

末筆ながら、貴社のさらなるご発展と▲▲様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
本当にありがとうございました。

=====
署名
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【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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