面接に準備不足で行くと失敗する?最低限準備しておきたい転職の面接対策を紹介

転職活動の面接に際して「準備している時間がない」「それほど準備しなくても何とかなる」と考えている方もいるでしょう。しかし、応募企業にマッチする経験・スキル・実績があっても、準備不足でアピールできなければ評価につながりにくくなる可能性があります。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、面接に準備不足で臨んだ場合の評価の傾向や、最低限準備しておきたい面接対策などを伺いました。

面接対策の準備不足は低評価につながりやすい

面接に準備不足で臨んだ場合、企業からどのような評価を受けるのか、どのような点から準備不足が伝わってしまうのかを解説します。

準備不足の応募者に対する企業の評価とは?

面接担当者は面接の中のやり取りを通じて、応募者の企業理解の度合いや、志望度、入社意欲の高さなどを見ています。応募者が企業研究をしっかり行っていないと判断された場合、ミスマッチとなることを懸念されますし「自社への関心が薄く、志望度・入社意欲が低い」などの判断をされることもあり、入社後の早期離職の可能性を懸念されることもあります。指定された持ち物を忘れたり、時間に遅れたりするなどの場合は「社会人としての常識に欠けている」というマイナス印象につながる可能性もあるでしょう。

また「面接という重要な場に準備不足で臨んでいることから、仕事に取り組む意識も低いのではないか」など、入社後の仕事全般に臨む姿勢も懸念される可能性もあるでしょう。応募企業にマッチする経験・スキル・実績があっても、ある程度の面接準備をしていない場合には、低評価につながってしまうこともあるので注意が必要です。

面接担当者に準備不足が伝わってしまうポイント

面接に準備不足で臨んだことが伝わってしまうポイントはさまざまです。まず、事業内容や仕事内容をきちんと理解していない場合や、自身の経歴や活かせる強みなど、質問に対する簡潔な回答ができていない場合などが挙げられます。志望動機や志望職種の仕事内容に対し、本人の経歴やキャリアの考え方に接点がなければ「自社のことを深く理解せず、イメージのみで志望している」「ミスマッチの可能性がある」と判断されてしまうでしょう。

また、企業研究をせず、ホームページに掲載されている企業理念などをそのまま志望動機として語るケースや、企業のホームページに掲載されている基本情報を把握していないケース、逆質問に答えられないケースなども「自社への関心が薄い」と判断される可能性があります。

さらに、年収やポジションなどの希望条件や入社可能日を即答できずに「入社後のイメージができていない」と判断されることもあります。これらについてもあらかじめ自身の考えを整理しておくことが大事です。

「その場で回答できるはず」と思い込まないことが大事

よくある失敗として挙げられるのは「面接の場に行けば回答できるだろう」と考え、アピールしたい内容を簡潔に伝えられないケースです。営業職などで長く経験を積み、商品アピールのトークに慣れている方の場合でも、その場でうまく回答できないケースがあります。アピールしたい内容をあらかじめ整理し、簡潔に話せるようにまとめておく準備が重要です。

特に、社会人経験が長く、アピールしたい経験・スキル・実績が豊富にある方の場合は「応募企業に何を伝えるのか」をきちんと考え、面接で話す内容を絞ることが重要になります。自身の経歴や強みの中から応募企業が求めていることに合致する要素をしっかり伝えることができなければ評価にもつながりにくいと言えます。どのような要素やエピソードを切り出して伝えるのかを考え、端的に語ることができるように準備しておきましょう。

管理職・専門職などの転職準備で意識したいこと

管理職・専門職などの方の場合は、応募するポジションにおける採用人数枠が非常に少なく、1つの求人に対し1名のみの採用枠となっているケースも多いでしょう。また、選考では、1名のみの採用枠に対し、自身と同様の経験・スキル・実績を持つ多くの応募者がライバルとなります。わずかな違いが合否を分ける可能性があるので、しっかりと面接準備しておくことをお勧めします。

転職の面接における一般的な準備期間は?

企業に応募するまでの準備期間は一般的に2〜3週間程度が目安とされています。準備がしっかりできていない場合は、書類選過せず面接まで辿り着けない可能性があるので、それも含めて面接に向かう準備期間と考えた方が良いでしょう。応募までの準備期間では、自身のキャリアの棚卸しや転職先に求める希望条件の洗い出しを行います。自身のアピールできるポイントや目指したいキャリアの方向性、転職先に求める条件を整理できたら、希望や志向に沿った企業を探し、応募書類の作成をします。作成した応募書類は、応募前に見返して企業に合わせてアピールしたい箇所を修正すると良いでしょう。

一方、面接対策そのものの準備に掛ける時間は、1社につき数時間程度であることが多いです。応募先の企業研究と面接で話す内容をまとめることを並行します。書類選考に通過したタイミングで行うことが多いですが、中途採用の場合は書類選考の通過連絡を受けた翌日や数日後などに面接を実施することもあるので注意が必要です。企業によって選考スケジュールのスピード感が異なるため、応募後は企業の動き方に合わせて迅速に対応していきましょう。

準備不足を解消するために最低限必要な面接対策を紹介

面接対策で、最低限やっておきたいことをご紹介します。

自身の経験・スキル・実績を棚卸し

これまでの経験・スキル・実績について棚卸しする自己分析を行い、自身の経歴を簡潔に語ることができるようにまとめておきましょう。また、転職理由や転職先で実現したいことを整理し、明確にしておくことも大事です。自身の経歴や転職先で実現したいことなどを踏まえ、応募企業とどのような接点があるのかをしっかり考えることがポイントです。

志望企業のホームページをチェック

企業研究においては、志望企業のホームページに掲載されている情報や求人情報の詳細を確認しておくことが大事です。代表者の氏名や社風・業績などの基本情報を把握することはもちろん、企業理念やミッション、ビジョン、バリューなども理解しておきましょう。

また、代表や社員のインタビュー記事なども読んで理解を深めることや、応募職種の仕事内容や求められる人物像、仕事の進め方なども把握しておくことも重要です。中途採用の場合は組織においてどのような活躍・貢献ができるのかを重視されますし、特に、管理職やリーダークラスなどのポジションは組織への貢献を期待されるため、しっかりと企業研究しておくことをお勧めします。

志望企業の業界ニュースなどを把握

中途採用の面接では、一次面接から役員が担当する可能性もあります。今後の業界展望や競合企業との差別化などについて自身の考えを聞かれるケースもあります。また、業界の新しい動きなどの情報をキャッチしているかどうかで、ビジネス感度や情報収集力などを評価するケースもあるでしょう。志望企業の業界知識、業界ニュース、競合する企業、志望企業の立ち位置などをチェックし、考えをまとめておくことがポイントです。

応募書類の振り返りと、よくある面接質問の回答準備

応募書類に書かれた内容と面接の回答の一貫性も見られているので、面接準備の際には書類を見ながら振り返っておくことが大事です。その上で、自己紹介、転職理由、志望動機、志望企業で活かせる強み、今後のキャリアに対する考え方など、よくある質問への回答を準備しておきましょう。また、年収などの希望条件や入社可能日なども整理しておくことをお勧めします。面接の場で簡潔かつスムーズに話せるようにするために、一度は口に出して練習しておくことも重要です。転職エージェントに相談している場合は模擬面接を依頼し、面接慣れしておくと安心できるでしょう。

面接でよくある質問例

転職の面接でよく聞かれる質問としては下記のような内容が挙げられます。

  • 自己紹介をお願いします
  • 職務経歴を簡単にお話しください
  • 転職した理由を教えてください
  • なぜ弊社を志望されましたか
  • 前職で挙げた成果について教えてください
  • 自己PRをお願いします
  • 入社後、どのように働いていきたいですか

また、管理職・専門職・リーダークラスなどのポジションでは、具体的なビジネス場面を設定した上で「あなたならこうした状況にどう対応するか」を聞かれるケースや、事業内容の分析や仕事に対する姿勢などを聞かれるケースがよくあります。以下の質問例も参考にして、回答を考えてみましょう。

  • 弊社の新規事業におけるユーザー数を伸ばすための提案をお願いします
  • 現在、弊社では組織拡大を進めていますが、社員の帰属意識を高めるためにどのような対策が必要だと考えますか
  • 弊社の○○事業における強みや課題点をご指摘ください
  • マネジメントをする上で大事にしていることを3点挙げてください

逆質問を複数用意

面接の最後に「何か質問はありますか」と必ず聞かれることを想定し、逆質問の準備として複数パターンの回答を用意しておきましょう。仕事内容、社風、キャリアステップ、今後の事業展望など、自身が気になる点や興味があることに結びつけて逆質問を考えると良いでしょう。どの企業にも通じるようなありきたりな質問や、企業ホームページに掲載されているような情報についての質問は避けましょう。

持ち物、会場、開始時間、受付方法を確認

書類や筆記用具など、指定された持ち物は事前に確認しておきます。面接会場がオフィスでない場合や受付方法が複雑な場合もあるので、確認しておきましょう。また、面接開始時刻の10分〜15分前には現地に到着しておくと安心です。

持ち物に筆記用具を指定されていたら?

筆記用具を持ち物に指定されていた場合は、面接当日に筆記試験が実施されるケースもあります。筆記試験がある場合は、面接についての案内メールに記載されていることが多いので、きちんと確認しておきましょう。筆記試験の内容に応じて、SPIや論述試験の問題集をなど復習しておくことが大事です。

忙しくて面接準備ができなかった場合の対策は?

面接準備を思うように進められなかった場合は、応募書類に書いた内容を確認の上、想定質問に対する回答内容を整理しましょう。最低限の企業研究として、企業のホームページに掲載されている基本情報を確認しておくことも大事です。想定質問への回答内容を整理する際には、自己紹介で何を話すのかをまとめておくことも重要なポイントです。面接の冒頭で聞かれた際、簡潔に話すことができず、自身のペースを掴めないまま面接が終了してしまうケースが非常に多くあります。

また、応募企業に対して「これだけはアピールする」というテーマを絞っておくことも大事です。自身の強みと貢献できることについて「最も伝えたいことは何か」を考え、強く意識して面接に臨むと良いでしょう。面接前日や面接会場に向かう電車の中などで、最低限、これだけの準備はしておくことをお勧めします。面接開始後は、慌てず落ち着いて、質問の意図を汲んで簡潔に回答するように心がけましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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