世界的なIT企業であり、転職希望先としても注目を集めている Google。実際に中途入社した人たちは、何を求めて Google へ飛び込み、その環境でどのような手応えを感じているのでしょうか。3人の転職体験談をご紹介します。
目次
中途入社者たちは何を求めて、Google へ飛び込んだのか
塩入愛さんは、流通事業本部に所属するシニアアカウントエグゼクティブ。エンタープライズの顧客を対象に、Google の数々のソリューションの提案を行っています。
新卒で外資系IT企業に入社。法人営業、経営企画、US本社勤務など幅広い経験を経て、2020年に Google に転職しました。
塩入:前職は堅実で安定した会社で、仕事にやりがいも感じており、定年までいるつもりでした。でも、次の時代のキャリアを見据えたとき、それまでとは異なる可能性を模索できる環境で視野を広げたいと思ったんです。5年後、10年後の自分を作っていけるように、キャリアストレッチをしよう、と。IT分野におけるスペシャリストには「幅の広さ」が必要とされる部分もあります。一つの場所にとどまるのはリスクもあるし、IT業界の面白さを知り尽くさないと損をするような気もしました。
Google を選んだのは、リーディングカンパニーとしての技術力に加え、サステナビリティへのコミット、独自性豊かなカルチャーなどに魅力を感じたからです。
浜田玲子さんは、ソフトウェアエンジニアとして、ユーザーが Google 検索で探している情報に対して適切な検索結果を提供するアルゴリズムの開発を担当。入社して10年経った現在、テックリードとマネージャーを務めています。浜田さんは元・研究職。大学や研究機関で情報学を研究していましたが、アイデアがあっても「論文発表止まり」であることに物足りなさを感じていたといいます。
浜田:「アイデアを形にして、ユーザーに活用してもらうことで役に立ちたい」という思いがありました。企業と組んで開発的な仕事を体験する機会があり、チームで一つのものを作り上げることに楽しさを感じて、エンジニアへの転向を考えるように。研究職の頃から Google が扱うデータの量と検索の速さに興味があり、チャレンジに踏み切りました。
西原信一郎さんは、LCS(大手企業向け広告営業本部)のマネージャー。国内のグローバルメーカーを顧客とし、Google 広告・YouTube広告をはじめとしたマーケティングソリューションの提供と導入支援を行っています。
新卒入社した国内大手エレクトロニクスメーカーで、ソフトウェア開発、マーケティング職を経験した後、2012年に Google に入社しました。
西原:前職時代、マーケティング職としてさまざまなプラットフォームのプレイヤーを見ている中で、Google が最も「ユーザーファースト」だと感じたんです。広告のソリューションの検索アルゴリズムも、売上優先ではなく、「ユーザーのため」であることに感動を覚えました。「この会社はきっと伸びる」と直感して調べたところ、クリエイティビティあふれる自由な会社だと知りました。「この会社に入ればもっと成長できる。ここでデジタルマーケティングの領域を極めたい」と考え、転職を決意しました。
Google に入社してわかった、入社前イメージとのギャップ
Google に入社後、「抱いていたイメージとは違っていた」と、3人は口を揃えます。
浜田:入社前は、世界中の優秀なエリートが集まっていて、下手なことをしたら怒られるんじゃないか…と思っていました。けれど入ってみると、皆さんすごくフレンドリーで、何でも気軽に質問ができる雰囲気。わからないことも快くサポートしてくれる。失敗に対しても寛容で、入社当初は周囲にかなり助けていただきました。
塩入:変化に柔軟に対応する風土であることは、外から見ても何となくわかっていましたが、もっと力技で改革していくイメージを持っていました。でも入ってみると、想像していたほどタフな環境ではなく「こんなにスマートに変化していくのか」と驚きました。しかも、経営層が細かく指示をするわけではなく、現場主導で民主的に変化が起きる。現場の継続したアクションにより、自然に変化を続けている会社でした。
西原:Google は「技術」に優れた会社だと思っていました。でも、入社してしばらく経つにつれ、「人」と「カルチャー」が優れている会社だと実感しました。グーグリネス――「Google らしさ」という言葉がありますが、私自身はそれを「リスペクトを持っている人」だと解釈しています。皆が周囲の人やお客様をリスペクトするカルチャーが、私もすごく好きです。そして全員が「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」ことに強い使命感を持っていて、その思いでつながっている環境に心地良さを感じます。
浜田:確かに、皆が同じ目的に向かっていますよね。だから、ミーティングでも「相手を論破する」みたいな議論じゃなくて、「どうしたらもっと良くできるんだろう」とアイデアを出し合うことが多い。私も自分1人で考え込むよりも、周りのメンバーと対話しながらアイデアを詰めていっています。相談を持ちかけると、快く議論に応じてくれるんですよ。
徹底してフラットな組織で、一切の壁がなくつながれる
Google の風土の魅力として3人が挙げるのが、「フラット」と「『どこでもドア』的ネットワーク」です。
西原:多くの場合「外資系企業」と言えば、日本は「子会社」「ブランチ」の位置付け。けれど、Google はUS本社もヨーロッパも日本も、すべての国が対等。社内の経営層・管理職・メンバーの間にも「上下関係」は感じられません。
また、Google のマネジメントでは「心理的安全性」を重視しています。メンバーが恐れず、安心して自分の意見を言ったり行動したりできる状態を作ることです。
私もマネージャーとして、上の立場から指導するのではなく、寄り添い、メンバーの成長を助けるスタンスで向き合っています。自分のマネジメントポリシーは「ドラえもん」です(笑)。
浜田:社内で評判が高いトレーニングに「Bias busting training」があります。これはアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を排除するもので、これによって共通認識を確立し、共通の言語で議論を行うための土台が築かれています。偏見を持つ人がいないから、フラットに話ができる。私自身にも、以前は「女性とはこういうもの」といった無意識のバイアスがありましたが、それを認識することで意識・行動が変わりました。
西原:フラットなカルチャーだから、海外拠点にいる面識のない人に対しても気軽に1on1ミーティングを申し込んで、知見やアドバイスを得ることができます。
塩入:入社したばかりの頃は、社内コミュニケーションが非常にライトなことに驚かされました。前職ではメール・回覧・掲示板といった情報展開になじんでいましたけれど、Google ではチャットで気軽に声を掛け合い情報を共有する文化が浸透しています。
浜田:私も入社直後、情報交換のすさまじいスピードに衝撃を受けましたね。それこそ世界中の Google の情報が入ってくるし、しかも透明性が高い。
西原:ただ、情報量が多い風土には大変さもあります。社内にあるたくさんの情報の中から、それぞれが自分に必要なものを選び、吸収していかなければなりません。一般的な日本企業の研修のように「与えられたカリキュラムに従って段階を踏んで学ぶ」のでは間に合わない。今の仕事に必要なのはどの情報なのか、自身で正解をつかむことが求められる。情報のプールの中で溺れてしまいそうなほどの大量の情報を処理していくことが必要になるため、「好奇心」も欠かせない要素だと思います。
塩入:やりたいことがたくさん見つかる会社なので、個々が今やるべきこと、今後に向けてやらなければならないことを、自分の中で優先順位をつけてバランスをとっていかなければなりません。自律性を高める必要がありますね。
浜田:Google は働く時間やペースの自由度が高いですが、働きやすい一方、自身のパフォーマンスを最大化するための働き方を自ら考えて行動しなければならない。常に自分の課題に向き合っています。
西原:そもそも成長に貪欲な人が多く、いろいろな人と頻繁に1on1をしたりして、自分がどの方向に進んでいくべきかを常に考えています。周りがすごいスピードで成長していくので、刺激的な環境です。
自身でキャリア開発を図るためのツールが豊富
Google には、自らのキャリアを切り開いていくために活用できる仕組みやツールが豊富に用意されています。代表的なものが「20%ルール」。業務時間内の20%を、通常の担当業務とは異なる活動にあててよいとするものです。
塩入:私は20%ルールを活用して、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むお客様やパートナー様のエグゼクティブをお迎えして特別なプログラムをご提供する「Google Partner Plex Tokyo」の運営に参加しています。経営層の皆様と、日常とは違う環境やコンテンツで、インスピレーショナルな場面を作るアプローチを学んでおり、この経験は本業にも自分のキャリアにも活かせていると感じています。
このほか、「障がいのある人が平等に機会を得て働ける・生活できるようにする」というテーマに取り組む「GATE ( Google Accessible to Everyone) 」の活動にも参加しています。
西原:私は人事領域のイベント支援や新入社員向けトレーニング組織の立ち上げにも関わっています。人の成長を支援したいという思いがあるので、同じ思いを持つメンバーと組み、20%ルールを活用して取り組んでいます。この活動を通じて得る経験も、次のキャリアにつながっていくと考えています。
西原:Google には多くのサークルがあります。僕も音楽などのサークルに入り、そこで普段接点がないエンジニアやマーケティングの人と出会うことができました。そこから仕事でのイノベーションやプロジェクトが生まれることもあります。
そして、先ほども触れたとおり、世界中の Google 社員といつでもコンタクトをとれます。こうしたリレーションから、異動したい拠点や部門を見つけ、異動を申し出ることも可能です。マネージャーはこういったメンバーの積極的な異動を支援することも求められます。
チャレンジによって自身の可能性を広げられる環境が、Google の大きな魅力だと思います。
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 流通事業本部 シニアアカウントエグゼクティブ
塩入 愛さん(写真左)
外資系IT企業で営業、経営企画、US本社勤務など幅広い経験を積む。2020年より現職。法人顧客を対象に自社ソリューションの提案を行う。
グーグル合同会社 製品開発部ソフトウェアエンジニア
浜田玲子さん(写真中央)
大学や研究機関で情報処理分野の研究職を務めた後、2012年 Google にソフトウェアエンジニアとして入社。現在は「Google 検索」の開発を担当。
グーグル合同会社 テクノロジー業界インダストリーヘッド
西原信一郎さん(写真右)
国内大手メーカーでソフトウェアエンジニア、マーケティングを経験した後、2012年に Google に入社。現在はLCS(大手企業向け広告営業本部)でマネージャーを務める。
企業の概要
世界最大の検索エンジン「Google」を運営する、グローバルインターネット関連企業。1998年にアメリカで設立され、日本法人は2001年8月にアメリカ国外初の現地法人として設立されました。Google マップやGmail、YouTubeなどのウェブサービスや、Google Chrome、Google ドライブなどのデスクトップ・モバイルアプリケーションなども手掛けています。