「サステナ分野の課題を最初に相談される銀行に」三井住友銀行が本気で取り組むサステナブルビジネスとは

昨今、様々な業界でサステナブルビジネス・ESGへの注目度が高まっており、様々な取り組みが始まっていますが、日本を代表するメガバンク・三井住友銀行も同様です。同行は以前からサステナブルビジネスに取り組んできましたが、グループCSuO(Chief Sustainability Officer)のもと2022年4月にサステナビリティ本部を新設し、グループを挙げてサステナブルビジネスを推進しています。今回は、グループCSuOの伊藤文彦氏に、SMBCグループのサステナビリティへの取り組みと今後の展望を伺うとともに、同行でサステナブルビジネスに関わる中途入行者3名の方にこの仕事のやりがい、醍醐味などについて聞きました。

社会の公器である銀行が、持続可能な社会の実現に注力するのは当たり前

――「銀行」がサステナブルビジネスに取り組む背景・意義をお聞かせください。

伊藤:銀行は、お客さまの大切なお金をお預かりして社会全体の成長のために資金を融通するという社会的使命のある機関です。そんな銀行が、持続的な社会の発展を目指してサステナブルビジネスに取り組むのは当然のことです。特に、当行はメガバンクとして、法人・個人を問わず様々なお客さまとお取引をさせていただいておりますので、それだけ社会的影響力も社会的責任も大きく、銀行の中でも先頭に立ってサステナブルビジネスに取り組むべきだと考えています。

例えば、当行が掲げている経営理念にも、2020年4月から「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」と明記し、「社会」をお客さま・従業員・株主に並ぶ重要なステークホルダー(利害関係者)として位置付けています。このように、サステナブルビジネスは、当行が今後成長していくうえでも、重要なビジネスの土台になると考えています。

――「銀行ならでは」のサステナブルビジネスへの取り組みについて、具体的にお聞かせください。

伊藤:ビジネスの入口として成長戦略を描くだけでなく、出口として融資(ファイナンス)も含めた打ち手を検討できるのは、銀行ならではのことだと思います。例えば、法人のお客さまがカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)に取り組むためには、その事業を推し進めるための設備投資等の資金が必要になりますが、私たちは銀行として、こうした資金面のサポートも含めてお客さまのビジネスに伴走することができます。

また、お客さまのお金をお預かりする預金の観点では、2021年からメガバンクでは初めて「グリーン預金」をスタートしました。これは、お客さまからお預かりした資金を、再生エネルギー分野をはじめとした環境問題の解決のみに活用するというもので、預金を通じてお客さまに「ESGやSDGs分野に貢献している」という意義を感じていただいています。

このように、銀行の伝統的な業務である融資・預金の両面でサステナビリティを推進していますが、最近では、新たに「非金融分野」にも取り組み始めています。

代表例が2021年にローンチした、企業とそのサプライチェーンのGHG(温室効果ガス)排出量の算定と可視化を行うクラウドサービス「Sustana(サスタナ)」です。GHG削減に取り組みたいけれど、そもそも自社がどれぐらいのGHGを排出しているのか把握できないという企業は少なくありません。そこで、「Sustana」を導入いただいてGHGを見える化し、データを分析しながら削減するための方法を話し合い、適宜ファイナンスを実施する…このように金融・非金融の両面で企業のサステナビリティ展開をトータルでサポートし、社会全体としてのサステナブルな経営を実現したいと考えています。

トップ&ボトム両面でのアプローチで思いの浸透を図る

――実際にサステナブルビジネスを推し進めるにあたって、どのような点を工夫されているのでしょうか?

伊藤:サステナブルビジネスを推進するうえで大切なのは、「一部の本部だけ」「経営陣だけ」が理念を掲げて終わりにするのではなく、現場の最前線の従業員一人ひとりにこのビジネスを「自分ごと」として捉えてもらうことです。SMBCグループは、銀行だけでも約3万人、グループ全体では約10万人の従業員が所属しています。皆の意識が高まれば大きなムーブメントへとつながり、日本企業のサステナビリティへの意識も高まると考えています。

例えば、この4月からは、「サステナブルアンバサダー」制度を新設しました。これは、各拠点でサステナビリティ推進責任者を選出してもらい、彼らが旗印となって私たちのサステナブルビジネスの考えや思い、取り組み内容を伝え、各拠点での浸透を図ってもらうというものです。効果は上々で、各拠点から本部の専門部署に「お客さまとのサステナビリティに関する面談をセットしたい」という要望が増えています。

また、経営陣もサステナブルビジネスに対して関心が高いというのも当行の強みです。経営トップが事あるごとに、自ら行内に向けてメッセージを発信していくことで、思いの浸透が図られています。CSuOである私自身も、行員向けに「CSuOチャンネル」を開設してサステナブルビジネスの取り組みを発信したり、「CSuOキャラバン」と題して全国の営業店を回り、営業部員一人ひとりと会話したり勉強会を行ったりするなどして、インナーコミュニケーションの活性化を図っています。

このように、現場からのボトムアップアプローチと経営陣からのトップダウンアプローチの両面から、サステナブルビジネスを推進していく計画です。

「私が三井住友銀行に転職した理由」サステナブルビジネスに関わる中途入社者の声

――現在サステナブルビジネスに携わっている中途入社の方々にもお話をお聞きしたいと思います。皆さんはどういう思いで三井住友銀行に転職してこられたのでしょうか?

サステナブルソリューション部 戦略企画グループ 部長代理 荒井博好氏

荒井:私は2022年8月に入行し、「Sustana」の機能拡充などに取り組んでいます。

新卒で入社した専門商社では水素やガスの企画営業、2社目の石油会社では天然ガスやLNGガスを取り扱っていました。近年は、カーボンニュートラルLNGという、CO2実質排出ゼロの燃料の企画業務を担当していました。ただ、本気でサステナビリティを推進するには、エネルギーソリューションだけでは限界があるとも常々思っていました。実際にお客さまと接していると、CO2の算定方法がわからない、推進するにはDX推進やAI導入も考えなければならない…など、さまざまな悩みが出てくるのですが、その全てには対応しきれないもどかしさを感じていました。

そんななか、エネルギーに限らない様々なソリューションを提供できる会社として、銀行に興味を持つようになりました。特にSMBCは、メガバンクとして長年培った顧客基盤・情報網があり、グローバルな仲介機能も持ち合わせているので、これらをフル活用すれば、お客さまの悩みを解消するソリューションを無限に生み出せると感じ、転職を決めました。脱炭素領域は”日進日歩”で動きのある世界でもありますので、SMBCが柔軟に・機敏な動きができそうな会社だという点も、決断の後押しとなりました。

実際に転職してみて、お客さまに「Sustana」を提案する中でも、銀行のソリューションを活用すればお客さまのさまざまな課題解決ができるという実感を持っています。また、銀行という型にはまった業務だけでなく、常に先を見据えながら柔軟に変化していこうという当行の姿勢にも、改めて魅力を感じています。私自身、これまで培ったエネルギーの知識を存分に注ぎながら、「Sustana」をさらに成長させていきたいと考えています。

サステナブルソリューション部 エンゲージメントグループ 部長代理 藤原瑞穂氏

藤原:私は2022年6月に入行しました。前職は総合電機メーカーで、海外向けの営業やIR業務を担当していました。前職は非常に高い技術を保有している会社だったのですが、それをビジネスの面で十分には活かしきれていないと感じる場面もあり、悔しい思いをしていました。前職に限らず、日本には素晴らしい技術を持った会社がたくさんあるのに、グローバル市場で優位に立てているとは言えない部分もあると思います。

そんななか、何とか日本企業全体を盛り上げ、元気にできる方法はないかと常々思っていましたが、一事業会社でできることはどうしても限られます。もっと大局的に関わる方法はないか…と考えたとき、「銀行でサステナブルビジネスに関わる」という選択肢に気づき、転職先として魅力を感じました。

現在は、お客さまとの面談を通じて、サステナブル経営を支援するのが主なミッションです。一番やりがいに感じているのは、様々な企業の意思決定権のある皆さんと直接1対1で会話ができることで、こうした経験は前職を含め、他の会社では中々積めないと感じています。例えば自社工場を持つ企業であれば、工場の脱炭素や燃料転換、再生エネルギーの調達など、サステナビリティという文脈で多方面からご提案ができることも、やりがいにつながっています。

実際に転職してみて、職場の雰囲気にも驚きました。皆さん前向きでフットワークも軽く、風通しの良い組織だと感じています。TVドラマの影響もあって、入行前はお堅い雰囲気を想像していましたが、入行してみると全くそんなことはなく、良い意味で予想を裏切られました。

三井住友銀行フィナンシャルグループ 三井住友銀行 サステナブルソリューション部 担当部長 チヴァース陽子氏

チヴァース:私は2008年に入行しました。大学・大学院では環境・金融について学んでおり、それらを掛け合わせて働きたいという思いで排出権取引を行う機関に勤めていたのですが、そんななか、SMBCがサステナブル関連の組織を新たに立ち上げると知り、すぐに当行の門を叩きました。2008年当時は今ほどサステナビリティへの注目度が高くなかったこともあり、「環境ソリューション室(※当時の名称)」を立ち上げたSMBCの取り組みは非常に先進的だと感じたことを覚えています。

入行以来、組織の名前が変わることはありましたが、一貫してサステナビリティ関連ビジネスに関わり、現在はサステナブルソリューション部の担当部長としてグループ全体の取り組みを推進しています。主にクライアント企業の経営陣とサステナビリティの意見交換を行いつつ、お客さまに合ったプロダクトやサービスを提案しています。

金融機関の中でも特に銀行は顧客基盤が大きく、様々なビジネスを営むお客さまと接点があるのが特徴です。そして当行では、他行に先行してサステナビリティに取り組んでおり、その中で私自身もさまざまな知見を身につけてきました。直接いろいろなお客さまにお会いして、サステナビリティに関する悩みや不安をお伺いするとともに、きめ細かい課題解決のサポートができる点に、やりがいを感じています。最近は、若い方を中心にサステナビリティへの意識が高まっていると感じるのも、個人的に嬉しいポイントですね。

個の強みを活かしつつ、一丸となってサステナビリティを推し進めたい

伊藤文彦氏

――さまざまなバックグラウンドを持つ方が集まり、これまでの知見を活かしながらイキイキ活躍されているという印象を持ちました。伊藤CSuOご自身は、「三井住友銀行でサステナブルビジネスに取り組む醍醐味」はどこにあると思われますか?

伊藤:サステナブルビジネスは、銀行の伝統的な業務とは異なる全く新しい切り口のビジネスですので、これまでの固定概念に捉われないことが重要です。私自身、イチから新しい会社を作るような気概でチーム作りをしていますし、ここにいる3人のように、いろいろなバックグラウンドの人が、それぞれの強みを活かしつつも、チーム一丸となってビジネスを進めることが大切だと考えています。

そして、皆が一丸になって新しいビジネスを推し進めるには、「思いの共有」が何より大切です。「サステナビリティ分野のファーストコールバンクになろう」と常日頃から発信していますが、この思いに共感できる人であれば、当行のソリューションを大いに活用しながら活躍できるのではないかと思います。

三井住友銀行の概要

三井住友フィナンシャルグループの都市銀行。預金、貸出、商品有価証券売買、有価証券投資、為替などの商業銀行ビジネスのほか、サステナブルビジネスなど社会的影響度の高い新たなビジネスの創出にも注力しています。

  • 設立:2001年4月1日
  • 従業員数:28,104名(2021年3月末時点)
  • 資本金:1兆7709億円(2021年3月末時点)
  • 経常収益(単体):2兆2883億5600万円(2020年度)

三井住友銀行フィナンシャルグループ 三井住友銀行常務執行役員 グループCSuO 伊藤文彦氏
サステナブルソリューション部 戦略企画グループ 部長代理 荒井博好氏
サステナブルソリューション部 エンゲージメントグループ 部長代理 藤原瑞穂氏
サステナブルソリューション部 担当部長 チヴァース陽子氏
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担当ヘッドハンターの目線

早崎 薫

2050年カーボンニュートラル実現に向け、民間投資は今後も活性化していくことは明らかであり、ファイナンスを提供できる金融機関としても、今後より一層の高度化が必要になってきます。
国内メガバンクの一角である三井住友銀行様においては、ファイナンス機能はもちろんですが、GHG排出量可視化サービス「Sustana」に代表されるように、世の中のマーケットニーズを捉えたうえでの非金融ビジネスについても注力されておられます。
もう「銀行=金貸し」という時代ではなく、いかに世の中のニーズを的確に捉え、お客様の脱炭素経営をいかにして実現いただくかをコンサルティングすることが最も重要です。メガバンクとしての顧客基盤を活かした情報網、グローバルネットワークを活用し、国内でも先進的な取り組みをされている三井住友銀行様は、今後サステナビリティ領域における専門性を高めていきたい方に対して、特にお勧めさせていただきたい企業様です。
非金融業界からのご転職者様も非常にご活躍されておりますので、多くの皆様からのご応募をお待ちしております。

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