非公開求人とは?非公開にする理由やメリット・デメリット、応募方法など解説

非公開求人とは

転職活動をしていると見かけることのある「非公開求人」という言葉。どのような求人を指すのか、疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、企業が非公開で採用活動を行う理由や、非公開求人に応募するメリット・デメリット、非公開求人に応募する方法や注意点などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

非公開求人とは?

非公開求人とは、転職エージェントが自社の転職サイトやホームページなど、インターネット上に掲載していない、非公開の求人のことを指します(※)。
(※)必ずしもこの定義というわけではなく、あくまで一例となります。

非公開求人は、企業から求人を託された一部の転職エージェントなどが求人情報を取り扱っています。転職エージェントに登録している求職者のスキルや経験を踏まえ、転職エージェントから紹介された場合にのみ出会うことができます。登録したからといって、必ずしも非公開求人の全てを紹介してもらえるわけではありませんが、企業やポジションによっては非公開求人のみで採用していることもあるので、これまで巡り合えなかった求人が見つかることもあるでしょう。

企業が非公開で求人を行う理由

企業が非公開で求人を行うのは、大きく5つの理由が考えられます。

今後の事業戦略に直結する極秘案件の採用のため

たとえば新規事業の立ち上げや新規マーケットへの参入、会社の命運をかけた極秘プロジェクトの発足などに際し、特定の経験・スキルを持った人材の採用をするケースは少なくありません。一方で、今後の事業戦略に関わる重要部署の情報は、競合対策などの観点からあまり公にはしたくないものです。このような場合に、募集の背景や具体的な業務内容を公開しない「非公開求人」として採用活動を行うケースがあります。また、これらの事業戦略に直結するような経営幹部や管理職などハイクラス人材の採用においても、非公開求人を活用するケースがあります。

人気企業ゆえ、公募により応募が殺到するのを避けたいため

人気企業や有名企業の場合、公開求人だと応募条件に合わない求職者からの応募も含め志望が殺到してしまい、人事担当者が対応し切れなくなるケースが見受けられます。

非公開求人にして転職エージェントを介することで、希望条件に合った求職者に絞って選考を行うことができるようになります。したがって、ハイクラス人材の募集はもちろん、メンバークラスの採用であっても非公開求人で募集する場合もあります。

自社社員に知られたくないから

たとえば社内の重要ポストの募集を公募で行えば、誰が退職するのか、社内の人間であればある程度予測ができてしまいます。「あの人が辞めてしまうのか」「社内には適した人材がいないということか」などといった人事面の様々な憶測を呼び、社内に動揺が広がる可能性があります。場合によっては、社員の士気にも影響を与えるかもしれません。新規事業など今後の事業戦略に関わる採用の場合も、社員にまだ周知されていない場合は混乱を招く場合があります。

社員に不安を抱かれないためにも、重要ポストや重要戦略の採用は非公開で行うという企業も少なからずあります。

知名度が低く、公募をしても応募が集まらないから

一般的な知名度がなくても、実は業績好調で将来有望な「隠れた優良企業」はたくさんあります。しかし、認知度が低いため、やりがいのある重要ポストを募集しても、公募では応募者が集まらないケースが見受けられます。

そのため、非公開求人にして、転職エージェントが希望に合った求職者に企業の魅力、募集ポストの魅力を説明してもらったほうが応募者が集まりやすく、採用確度も高いと考える企業も一定数あります。

非公開求人のメリット・デメリット

非公開求人にはメリットだけでなくデメリットもあります。双方について詳しくご説明します。

メリットは「希少な求人に出会える」「重要ポジションの募集も多い」

一般にはなかなか出てこない、希少な募集に出会えるのが第一のメリットです。前述したように、新規事業など重要な戦略の中核を担うようなやりがいあるポジションや、経営幹部候補など重要なポジションの求人も多く、特にハイクラス人材にとってはチャンスの幅が広がるでしょう。

公募だと応募が殺到しがちな大手人気企業の求人も多いので、競争倍率を抑えつつ希望のポジションに就ける可能性もあります。

また、非公開求人の場合、求人に関する詳細情報が得られる可能性もあります。公募だと広く公に自社情報を晒すことになるため、出せる情報に限りがありますが、非公開求人では募集部門の売り上げや今期目指す目標、将来の目標数値など、より具体的な情報が転職エージェントを通じて共有されるケースもあります。より深く求人内容を理解したうえで、応募できる可能性があるでしょう。

デメリットは「知る方法が限られる」「求められるスキルレベルが高い傾向にある」

非公開であるだけに、求人を知る方法が限られている点が最大のデメリットとも考えられます。一般の転職サイトなどを見ているだけでは非公開求人には出会えませんし、転職エージェントに登録しても、条件に当てはまらなければそもそも紹介してもらえません。

ハイクラス人材の募集が多い傾向にあるので、求める経験やスキルレベルが高いのも非公開求人の特徴の一つです。ピンポイントの経験・スキルが求められる案件も多く、求職者にとっては、応募難易度が高いと感じることもあるでしょう。

また、「超機密案件」の募集になると、応募段階では情報がほとんど明らかにされない(=明かせない)ケースもあります。まずは応募してもらい、面接に進んでから情報を小出しにするという事例もまれに見受けられます。それだけ希少かつ重要なポストの採用ではあるものの、応募者側からすれば、「応募してみないと何もわからない」と不安を覚えるかもしれません。

非公開求人に応募するには?

非公開求人に応募するには、大きく2通りの方法があります。

転職エージェントに登録する

転職エージェントは、さまざまな業界・企業の非公開求人を保有しています。転職エージェントに登録すれば、その転職エージェントが抱える非公開求人を紹介してもらえる可能性が高まります。

ただ、企業が非公開求人を行う場合、信頼する一部の転職エージェントに非公開求人を任せるケースが多いので、複数の転職エージェントに登録したほうが、その分チャンスは広がります。

転職エージェントにもさまざまな特徴があり、あらゆる業界を扱っている総合エージェントもあれば、独自の領域に特化した専門エージェントもあります。総合転職エージェントのほか、自身の専門領域に強みを持つエージェント数社に登録すると、自身の経験・スキルが活かせる非公開求人に出会える確率が高まります。ただし、複数の転職エージェントを併用する場合は管理も大変になります。自身が対応できる社数に抑えておくようにするといいでしょう。

スカウトサービスを利用する

スカウトサービスを利用しても、非公開求人に出会うことができます。一般的にスカウトサービスでは、自身の職務経歴を登録しておくと、その経験・スキルに注目した企業や転職エージェントから非公開求人のオファーが来る可能性があります。

職務経歴を登録する際、自分が強みを持つ経験・スキルをアピールしておくと、希望の非公開求人に出会える確率が上がるでしょう。

このほか、知人の紹介などによる「リファラル採用」を活用する方法もあります。たとえば、企業が非公開でエンジニア職を採用したい場合、技術部門のマネジメント層にだけ情報を共有し「あなたがいいと思う人だけを秘かに集めてほしい」と依頼するケースもあります。非公開求人に出会う確度を上げたいのであれば、上記の2つの方法を実行しつつ、自身の人脈を活用して自ら非公開求人を探しにいくのは有効です。

非公開求人に応募する際の注意点

非公開求人に応募する場合には、いくつかの注意点があります。

複数の転職エージェントに登録する

前述のように、転職エージェントといっても総合型から専門特化型までさまざまです。自分の希望やキャリアに合った非公開求人に出会うためには、複数社の転職エージェントに登録することは一つの方法です。特にハイクラス求人を探している場合は、業界や分野に特化した専門エージェントやエグゼクティブ層に特化した転職エージェントにも登録してもいいかもしれません。各転職エージェントのホームページで紹介されている、転職支援実績や転職事例などを見ながら、希望に合った案件を保有していそうかどうか判断しましょう。

こちらも繰り返しになりますが、複数の転職エージェントに登録すると、その分やり取りや管理などが増えることになります。自身で対応しきれる範囲で、併用することを検討してみてください。

希望条件は明確にしておく

「こういう案件、こういうポジションの非公開求人に出会いたい」と目的が明確なのであれば、希望条件は具体的に整理しておきましょう。転職エージェントを利用する場合はキャリアアドバイザーに詳細を伝え、スカウトサービスであればデータベースに希望条件を明記しておくと、希望に近しい案件が紹介される、もしくはオファーが来る可能性が高まります。

非公開求人にこだわり過ぎない

非公開求人は、それだけ求められる経験やスキルレベルも高いケースも見受けられます。誰もが紹介されるものではありません。したがって、非公開求人ばかりにこだわり過ぎると、チャンスに巡り合えず転職活動が長引くケースもあるので注意が必要です。

なかなかチャンスが来ない場合は、経験・スキルがまだ足りていない可能性もあります。キャリアアドバイザーなどから客観的な意見をもらいつつ、自身の市場価値を正しく理解することも大切です。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。