転職のきっかけとその理由は?転職に迷った際の判断ポイントも解説

転職 きっかけ

転職は人生を大きく転換させる可能性のあるイベントです。多くのビジネスパーソンはどのようなきっかけと理由で転職を決意しているのでしょうか。転職を意識する主なきっかけとその理由、転職を迷った際の判断ポイントなど、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

転職を意識する主なきっかけとその理由

転職を意識するきっかけと理由は人それぞれ異なりますが、主に次の7つが考えられます。

労働条件への不満

実際に働いてみたら思った以上に残業時間が多い、休日出勤が多い、有給休暇を取得しづらいなど、入社前のイメージと違っていることがあります。また、自宅から遠い勤務地に配属になり通勤時間が負担に感じる、体力の衰えから夜勤などの不規則な勤務体制がつらくなってきたなど、状況の変化によって自身の体調管理が厳しくなったというケースもあります。ワーク・ライフ・バランスを重視したい人は、労働条件への不満をきっかけに転職を意識し始めることがあるようです。

仕事内容への不満

入社前に想定していた部署に配属される目処が立たないことから、目指すキャリアと一致しない、携わっている仕事内容ではスキルアップができない、やりがいを感じないなど、現在の仕事内容への不満が転職のきっかけになることはあります。一方で、やりがいはあっても仕事内容がハード過ぎることで、心身への負荷を軽減するために転職を意識するケースも見受けられます。

人事制度への不満

人事制度への不満も転職を意識するきっかけの一つになっています。例えば、自分の働きに対して相対的に賃金が低く感じる、昇給が見込めない、賞与が低いなどの報酬制度への不満、昇進・昇格がしづらいなど等級制度への不満、自分よりも結果を出していないと思われる社員の方が評価されるなど納得し難い評価制度などです。また、キャリアパスや教育研修制度が不十分なことでキャリアの形成に支障を感じ、転職を考える人もいるようです。

会社の将来性への不安

例えば、将来的に縮小傾向に思われる業界や事業内容だったり、他社との競合優位性が低く業績が右肩下がりだったり、後継者問題があったりなど、自社の将来性に不安を感じる要素は転職を意識するきっかけになり得ます。企業の業績悪化は従業員の給与や福利厚生にも少なからず影響します。雇用の安定性や企業の存続自体にも不安は及ぶことでしょう。

人間関係や社風への不満

同僚や上司とのコミュニケーションやマネジメントのスタイルが合わないことで業務に支障が出る、過剰なストレスで体調に影響が出ている、ハラスメントの問題が起こっているなど、避けられない人間関係の不満が要因となることはあります。また、経営陣が変わって経営方針や社風が自分とはマッチしなくなった、信頼のおける同僚や上司が異動や退職でいなくなり人間関係のバランスが崩れたといったことが転職のきっかけになることもあります。

ライフステージの変化

結婚、出産、育児、介護、家族の事情など、プライベートでのライフステージの変化が転職を意識するきっかけとなることがあります。例えば、「結婚を機に育休制度が充実している企業に転職したい」「産休・育休明けに職場復帰したら目指す方向とは異なる業務の担当になった」「育児優先のため残業の少ない仕事に就きたい」「家族の介護をするためUターン転職したい」「パートナーの転勤で遠方への引っ越しが決まった」などがあるでしょう。

スカウトや求人の紹介を受けた

現職よりもよい条件の仕事があればと以前登録していた転職サイトやスカウトサービス、転職エージェントから、たまたま興味のある企業のスカウトや求人の紹介を受けた、知人からの紹介をきっかけに転職を意識し始めたといった受け身のケースもあるようです。

【調査から見る】直前の勤め先を離職した理由

厚生労働省の調査「令和4年雇用動向調査結果の概況(※)」を見ると、転職者が直前の勤め先を離職した主な理由の6割以上(女性71.5%、男性61.2%)が「個人的理由」によるもので、その内訳は以下の通りになっています。

個人的理由による離職理由の内訳

<男性>

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(9.1%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(8.3%)
3.給与等収入が少なかった(7.6%)
4.会社の将来が不安だった(7.1%)
5.仕事の内容に興味を持てなかった(4.5%)
6.能力・個性・資格を生かせなかった(4.0%)
7.介護・看護(0.4%)
8.結婚(0.3%)
8.出産・育児(0.3%)
その他の個人的理由(19.6%)

<女性>

1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(10.8%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(10.4%)
3.給与等収入が少なかった(6.8%)
4.仕事の内容に興味を持てなかった(5.9%)
5.会社の将来が不安だった(4.4%)
6.能力・個性・資格を生かせなかった(4.3%)
7.出産・育児(1.7%)
8.結婚(1.3%)
9.介護・看護(0.9%)
その他の個人的理由(25.0%)

個人的理由による離職理由の内訳(年齢階級別)トップ3

<男性>

・20〜24歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(14.3%)
2.仕事の内容に興味を持てなかった(9.6%)
3.会社の将来が不安だった(7.5%)

・25〜29歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(16.9%)
2.会社の将来が不安だった(9.2%)
3.職場の人間関係が好ましくなかった(8.9%)

・30〜34歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(17.2%)
2.給与等収入が少なかった(13.4%)
3.会社の将来が不安だった(9.6%)

・35〜39歳
1.会社の将来が不安だった(15.4%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(9.7%)
3.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(8.9%)

・40〜44歳
1.給与等収入が少なかった(14.6%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(12.9%)
3.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(9.6%)

・45〜49歳
1.職場の人間関係が好ましくなかった(10.7%)
2.給与等収入が少なかった(6.7%)
3.仕事の内容に興味を持てなかった(6.0%)
3.会社の将来が不安だった(6.0%)

・50歳〜54歳
1.職場の人間関係が好ましくなかった(14.9%)
2.能力・個性・資格を生かせなかった(6.7%)
3.会社の将来が不安だった(6.6%)

<女性>

・20〜24歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.5%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(8.5%)
3.給与等収入が少なかった(7.4%)

・25〜29歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(11.1%)
2.給与等収入が少なかった(9.8%)
3.職場の人間関係が好ましくなかった(7.4%)

・30〜34歳
1.職場の人間関係が好ましくなかった(12.8%)
2.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(12.3%)
3.会社の将来が不安だった(8.4%)

・35〜39歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.4%)
2.職場の人間関係が好ましくなかった(11.6%)
3.給与等収入が少なかった(7.7%)

・40〜44歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.3%)
2.給与等収入が少なかった(5.8%)
3.職場の人間関係が好ましくなかった(5.6%)

・45〜49歳
1.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(15.1%)
2.給与等収入が少なかった(10.2%)
3.職場の人間関係が好ましくなかった(9.9%)

・50歳〜54歳
1.職場の人間関係が好ましくなかった(12.4%)
2.能力・個性・資格を生かせなかった(7.7%)
3.労働時間、休日等の労働条件が悪かった(7.2%)

(※)厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf

転職するかどうか迷った時の判断基準

実際に転職するかどうか迷っている時は、次のような手順で自身の考えや置かれた状況を整理し、「解決したいこと」を明確化することが大切です。それが現職で解決できるかどうかという点を転職の判断基準にするとよいでしょう。

Step1.解決したいことは何かを整理する

まずは、退職したいと考えたきっかけや現状の不満を書き出して可視化してみましょう。転職ありきでは考えずに、自分は仕事を通してどのようなことを実現したいのか、また現状のどのようなことが解決できたら不満が解消するのかなどを整理します。複数ある場合は最も解決したいことから優先順位をつけ、「解決したいこと」を明確にします。

Step2.現職では解決・実現が不可能なのか考える

Step1で明確化した「解決したいこと」は、現職では解決することができないのか検討してみます。自分の努力や工夫、周囲への相談や働きかけで改善できることがあるかどうかを模索し、もし現職で解決できるのであれば、仮に現職にとどまった場合はモチベーションを維持できるのか、今後のキャリアはどうなるのかも考えてみましょう。現職での課題解決が難しいと判断した場合や、課題が解決しても現職ではモチベーションを保てないと判断した場合は、転職を選択肢の一つとして考えてもよいでしょう。

Step3.情報収集をして転職に適したタイミングか検討する

転職が選択肢となったら、まずは情報収集を行います。転職市場や求人に関する情報収集のほかに、Step1で行った転職理由の整理と自己分析や経験・スキルの棚卸しも行います。同時に、自身や家族・パートナーの状況も考慮して、自身の希望する転職が実現可能かどうか、実現可能であれば転職に適したタイミングはいつなのかも考えてみましょう。例えば、自身が携わっているプロジェクトのキリのよいタイミングを考える、遠距離の引っ越しや一時的な減収を伴う転職では自分以外の家族・パートナーのライフプランも含めて検討するなどの必要が出てきます。

面接での転職理由の伝え方

前述のデータにある通り、転職希望者の多くは現職への不満や不安を理由に転職を決意しています。しかしながら、それをストレートに言葉にしてしまうと「どのような環境でも不平不満を持ちそう」「発想がネガティブな人だな」のような印象を与えてしまう恐れがあるので注意しましょう。

ポジティブな表現におきかえる

例えば、「上司が日和見でついていけない」という不満が転職理由であれば、「戦略性のある事業計画を持つ会社で働きたい」とおきかえることでポジティブな印象になります。前向きな理由におきかえるコツは、退職理由である不満や不安は「どのような状況になれば解消されるか」と考えることです。

応募企業のニーズと照らし合わせる

転職理由が応募企業のニーズとかけ離れている内容であれば、ポジティブな表現であったとしても評価はされません。応募企業の事業戦略や求める人物像を掴んだ上で、自分が転職で叶えたいことと照らし合わせ、入社後に実現可能な転職理由を伝えるようにしましょう。

志望動機と一貫性をもたせる

面接では転職理由とともに志望動機も聞かれるのが一般的です。その場合、転職理由と志望動機に整合性と一貫性が無ければ、面接担当者の納得は得られない可能性が高いです。相互に矛盾が生じないよう気をつけましょう。

具体的な事実を交え、「言わない」ことを決めておく

転職理由を面接で伝える際は、相手が客観的に判断できる事実を提供すると説得力が増します。そのため、具体的な情報やエピソードを交えて、事実をもとに転職理由をまとめるようにするとよいでしょう。現職への不満が転職理由となっている場合、不満だけを面接で伝えても、採用担当者は不満のもととなっている出来事が真実かどうか確かめる術がありません。そのため、例え真実だとしても、「物事に対して批判的な人なのでは?」「不満を持つとすぐに辞めてしまう人なのでは?」と誤解を与えてしまう可能性もゼロではありません。また、面接では会話の流れや緊張から必要以上に話し過ぎてしまうケースがあります。「これ以上は言わない」ことをあらかじめ決めておくことも大切でしょう。

転職を検討する場合は、転職エージェントやスカウトサービスの活用も有効

転職エージェントは、自社が抱える求人リストの中から求職者にマッチした求人をピックアップして提案・紹介してくれます。スカウトサービスは、ヘッドハンターや求人を募集をしている企業からのスカウトを受けられるサービスです。スカウトサービスに登録すると、応募を検討している業界や企業で経験・スキルがどのように活かせるか、希望条件を実現するためにはどのような求人やキャリアの選択肢があるかといったことが相談可能です。

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アドバイザー

粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。