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50代で転職は可能?ミドルシニアの転職のポイント

「人生100年時代」と言われ、70代まで働き続ける未来が現実味を増している中、定年を待たずに転職して「セカンドキャリア」を築くことを検討する方が増えています。そこで、50代の転職事情、求人企業が50代に求めるもの、50代での転職を成功させるポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に解説いただきました。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

50代の転職事情

厚生労働省による「令和2年雇用動向調査(※)」によると、転職によって企業に入職した男性は20代が12%台であるのに対し、50代は4~5%程度。女性は20代が12~13%であるのに対し、50代は5~7%程度でした。
なお、男性に関しては、定年を迎える60代で大きく上昇しますが、それ以前では年齢を重ねるにつれて減少傾向にあります。

※日本の16大産業において、5人以上の常用労働者を雇用する事業所のうちから産業・事業所規模別に層化して無作為に抽出した約 1万5000事業所を対象に調査

※「令和2年雇用動向調査」P16
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf

50代での転職が少ない理由

50代で転職する人が少ない背景には、求職者側・企業側の双方に要因があります。

●求職者側の要因

  • 定年まで残り数年のため、在籍企業で退職金を受け取ることを希望している
  • 50代が年収のピークとなるが、転職すると年収ダウンとなるケースが多いため、現職にとどまる
  • 希望条件(年収・企業規模・役職・業務内容など)に合致する求人が少ない

●企業側の要因

  • 50代人材に合致するポジションが少ない(ポストに空きが出た場合、内部昇格・異動を優先する)
  • 管理職・責任者を外部から採用してミスマッチとなる事態を懸念する
  • 高い年収を出して50代を採用するよりも、40代以下の人材を採用して育成する道を選ぶ

50代での転職は、以前と比べると増加傾向

年代別の動向では、50代の転職は多くはありません。ただし、近年は少子高齢化による働き手の減少や、働き方の多様化を背景に、50代の転職が増えつつあります。総務省が2021年11月に発表した「労働力調査(※)」の「第1-2表 年齢階級別転職者数及び転職者比率」でも、45~54歳の転職者数は2015年から年々増加していることが分かります。また55~64歳の転職者数も、2015年から2019年まで増加し続けています。

 

※「労働力調査」第1-2表 年齢階級別転職者数及び転職者比率
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/index.html

「役職定年」がセカンドキャリアのきっかけ

大手企業では、業績好調であっても将来を見据えて組織の再構築を図るため、早期退職プログラムを導入するケースが増えています。いわゆる「黒字リストラ」と呼ばれているものです。

こうした動きを受け、働き手も定年退職までの在籍が難しいと感じ始めています。その結果、役職定年を迎える55歳までにセカンドキャリアへ踏み出そうとする方も少なくありません。

少子高齢化時代を迎え、高まる「シニア雇用」の気運

少子高齢化に伴い、労働人口の減少が課題となっています。人材不足を解消するため、女性や外国人のほか、シニア人材の活用を強化する企業も増えつつあります。「80歳定年制」を導入した家電量販店、「定年廃止」を打ち出したメーカーや金融機関など、幅広い業界・業種でシニア層の活用が広がっています。

改正高年齢者雇用安定法の成立により、70歳まで働ける社会になりつつある今、50代を対象とする中途採用も増えていくでしょう。

企業が50代の中途入社者に求めるもの

中途採用を行う企業は、50代の方々にどのような経験・スキルを求めているのでしょうか。大まかなポイントをお伝えします。

高度な専門性

特定の専門領域において深い知見と高度なスキルを持つ人材は、合致する求人数は少ないケースが多いものの、企業側のニーズにぴったりマッチすれば高待遇で迎えられます。

組織風土を変革する力

今後の事業環境の変化を見据え、組織風土の変革を推進する力に期待が寄せられます。組織の枠組み・仕組み作りから構築まで手がけた経験があれば高く評価されます。

企業経営に関わってきた経験

「経営」の視点で社内外の環境変化をとらえ、新しい事業のビジョンを描く力、事業の仕組みを構築・推進する力が求められます。

昨今、後継者不在に悩む中小オーナー企業を、プライベートエクイティファンドが買収するケースが増えています。こうしたケースでは、ファンドが新しい経営陣を募集し、50代以上の経営幹部経験者が採用されています。

「次世代リーダー」を育てる力

部下のマネジメントだけにとどまらず、次世代のリーダーとなる人材を育成する役割を担うことが求められています。

近年では、「事業承継」を背景とした中途採用において、50代以上の方が採用されるケースも増えています。高齢となった企業オーナーが子息などに事業を引き継ぐにあたり、継承者がまだ若く経験不足である場合、一時的に50代以上のベテランに代表を引き継ぎ、次世代の社長の指導・育成を任せるのです。あるいは、経験不足の2代目・3代目社長を支える経営幹部として、50代以上の経営経験者を迎えるケースも見られます。

50代での転職を成功させるポイント

50代の方が転職を目指す場合、次のようなポイントを意識して臨むことで、成功率が高まります。

応募先を絞り込み過ぎず、異業界にも目を向ける

50代のベテランの方となれば、自身が経験してきた業界・職種の範囲内で求人を探しがちです。しかし最近は、大手企業が異分野の新規事業に乗り出すなど、業界・業種の垣根が崩れつつあります。ご自身の経験・スキルが意外な業界・業種で求められていることもあるので、視野を広く持ちましょう。さらに、企業規模や条件(年収・勤務地)など、条件を外してみると選択肢は確実に広がります。

実際に、条件外の求人も検討した結果、やりがいのあるポジションに出会い、「この仕事であれば年収が下がってもやりたい」と、前向きに転職を決意される方も少なくありません。

さまざまなサービスやルートを活用し、じっくりと取り組む

50代での転職となると、納得のいく転職先に出会えるまで時間がかかることが多いものです。転職エージェント、転職サイト、ビジネスSNS、独自の人脈など、さまざまなチャネルを活用しながら、長期的視点で活動を進めるといいでしょう。

希望条件の優先順位をつける

年代に限らず、転職において希望条件すべてを満たすことは難しいものです。20代~40代と比較すると選択肢が限られる50代であればなおさらです。希望条件の優先順位をつけておき、チャンスが訪れたときに適切な判断ができるようにしておくといいでしょう。
以下の観点で、ご自身にとって「譲れないポイント」を考えてみてください。

  • 経営理念・事業方針への共感
  • 仕事内容
  • 組織風土
  • 勤務条件・各種制度

幅広い雇用形態を検討する

「正社員」にこだわると、選択肢が狭まってしまいます。「契約社員」「業務委託」、あるいは「顧問」といった形態も視野に入れてはいかがでしょうか。近年、ミドル・シニア層には「業務委託」「顧問」として複数の企業と契約する方も増えています。

成功体験に固執せず、新しい手法をキャッチアップする

豊富な経験と実績を持つ50代の方は、選考に臨む際、自身の成功体験や培ったノウハウをアピールしようと考えるでしょう。しかし、変化が激しい今の時代、過去の成功体験やノウハウの中には、すでに通用しなくなっているものもあるかもしれません。

ご自身の経験・スキルが、今も求められているかどうかを確認した上で、アピールするかどうかを判断しましょう。新しい理論や手法などをキャッチアップし、自身の経験と組み合わせてどう活用するかを考えてみてください。

「柔軟性」「変化対応力」をアピールする

年齢が高い応募者に対して、採用担当者は「自身のやり方に固執し、新しいやり方になじめないのではないか」「新しいテクノロジーを活用したシステムやツールなどに対し、抵抗感があるのではないか」といった懸念を抱くことがあります。そのため、先にも触れたとおり、自身の成功体験やノウハウに固執せず、転職先企業のやり方に柔軟に対応する姿勢、新しいことを積極的に学んでいく姿勢があることを伝えてください。

特に1社に何十年も勤務してきた方は、単一のカルチャーになじんでいて、「環境変化に対応できないのではないか」と思われがちです。1社での勤務経験が長くても、異動・転勤・出向などで環境変化を経験してきたこと、あるいは社外活動で多様な人と交流・協業してきたことなどを伝えれば、そうした懸念を払しょくできる可能性があります。

―― 50代で転職活動を開始すると、選択肢が少ない現実を知り、転職をあきらめる方もいらっしゃいます。しかし、視野を広げたり視点を変えたりすることで、思いがけない活躍のステージに出会えることもあります。ぜひ幅広く情報収集してみてください。