転職を繰り返す人の特徴は?転職が多いと不利?自分にピッタリな企業と出会う方法

何度か転職を繰り返した人は、再び転職活動をしようという時に「転職回数が多いと不利になるのでは?」と不安を感じることがあるでしょう。明確な目的意識のある転職は、キャリアアップにつながりますが、短期間で計画性のない転職を繰り返せば、転職市場での市場価値や長期的なキャリア形成に影響する可能性があります。転職を繰り返す原因や、目的のない転職を繰り返すことのデメリット、そして、転職を繰り返す人が自分にピッタリな企業に出会うための方法を、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に聞きました。

転職を繰り返す人の原因・特徴とは

まず、転職を繰り返す人の特徴や主な原因についてご紹介します。転職回数が気になる人は、自分に当てはまるものがないか考えてみましょう。

目的意識がなく勢いで転職する

「目先の不満をすぐに解消したい」と考えてしまう人や、中長期的なキャリアプランを持たず、その時々の興味関心に任せて転職してしまう人のパターンです。転職を考えるきっかけとしては「人間関係が嫌」「待遇が悪い」「仕事が面白くない」などが挙げられます。明確な「転職の軸」を持たず、転職すること自体を目的にしてしまっているため、自分に合わない企業に転職して、再び不満を抱えては、辞めることを繰り返す傾向があります。

自己分析や企業分析が不十分

自己分析や企業分析をきちんとせず「待遇が良い」「知名度が高い」「注目されている」など、外的な条件面だけで転職先を決める人に多いパターンです。入社後に「社風が合わなかった」「世間の評価と内実が違っていた」と感じて、また転職を繰り返す傾向があります。

どのような人でも、転職して新たな環境や仕事に馴染むまでには多少なりとも苦労があるものです。自分の目的や価値観に合った企業を選び、納得の上で転職したという思いがなければ、その壁を乗り越えるのは難しいかもしれません。

コミュニケーション力や柔軟性に欠ける

新たな仕事のやり方や人間関係に馴染めず、孤立するパターン。不満を表に出しやすい人、過去の実績にこだわる人、周囲に教わることが苦手な人に見られます。

例えば管理職として転職した場合、組織の戦略を自分の中に落とし込み、言語化して人を動かすという高度な役割が求められます。しかし、新たな組織運営に柔軟に対応できず「自分はこうしたい」「前はこれで成功した」と独善的になってしまえば、組織の方向性とズレが生じ、周囲と良い人間関係を築くことも難しくなります。結果的に、スキルはあっても評価されないまま転職を繰り返す可能性があるでしょう。

目的のない転職を繰り返すことのデメリット

上で述べたことが原因で、一貫性のない転職や目的が明確ではない転職を繰り返すと、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

経験を積み上げることができず待遇が上がらない

1、2年ほどの短いスパンで転職を繰り返せば、じっくりと仕事に取り組み、経験を積み上げる上で不利になります。例えば3年間に毎年転職をしたとします。入社後のキャッチアップに数カ月かかり、仕事に慣れて数カ月で転職を意識し、最後の1カ月は退職交渉に費やしたとすれば、実質的にフル稼働できたのはとても短期間。当然、3年分の経験・スキルの積み上げは期待できないことになります。仮に同じ会社で3年間経験を積めば、昇進できる可能性があった人でも、転職の繰り返しで経験の積み上げをリセットすることで、同様の待遇は受けられなくなってしまうでしょう。

市場価値が下がり、転職スパイラルに陥る

上述のように短期間で転職を繰り返すと、年数に応じた経験・スキルの積み上げができず、評価されるほどの実績も残せないため、転職市場での市場価値が下がっていきます。すると、次に転職する時には、自分が望む好条件の企業に採用されるのが難しくなり、より条件の悪い企業に妥協して転職せざるをえなくなります。その結果、不本意な転職先に不満が募り、モチベーションをなくして再び短期間で転職。さらに市場価値が下がるという「転職スパイラル」に陥るケースはとても多いのです。

転職で企業から懸念を持たれやすくなる

風土や文化にもよりますが、転職の選考では、転職回数が多いことを気にする企業も多く、一般に「3〜4回以上」の転職から、採用担当者の評価に影響が出てくると言われています。会社都合や家庭の事情などでやむをえず退職したことが明らかな場合は別として、一般的には「定着性」に疑問を持たれたり「組織への帰属意識が低く、不満を感じやすいのでは?」と思われたりする可能性が高いと考えられます。

自分にピッタリの職場を探すためのポイント

短期間で転職を繰り返してきた人が長く働き続けられる企業に出会うためには、どのようなことを考え、対策すれば良いでしょうか。ポイントは以下になります。

キャリアプランを立て、希望条件に優先順位をつける

転職を繰り返す人の多くは、転職先を選ぶ基準を整理できていない傾向があります。転職活動の度に「知名度」「年収」「働き方」「仕事内容」と思いつくまま条件を求めてしまい、明確な優先順位付けがなされていないことが多いのです。

まずは大まかで良いので「5年後、10年後にどのようなキャリアを歩みたいか」という中長期的なキャリアプランを立てること。そして「そのために次の転職では何を得たいのか」「どのような問題を解決したいのか」という「転職の軸」を明確にすることが大切です。例えば「今後のキャリアを考えると、この分野の事業経験が重要だ」と考えれば、それ以外の「企業規模」「福利厚生」「リモートワーク」といった条件は、自分の中で優先順位を一、二段下げられることでしょう。

自分自身で設定したキャリアプランの実現を目指す転職であれば、一定の妥協をしたとしても納得できる可能性は高くなります。

転職を繰り返した理由を客観的に振り返る

次に、転職を繰り返した体験を振り返り、冷静に理由を考えてみましょう。「内定した企業から条件の良さだけで選んでいた」「事前の確認不足で、入社後に与えられたミッションがズレていた」「評価を不満とし、改善の努力をせずに転職を重ねてしまった」など、さまざまに思い当たることがあるかもしれません。

転職を繰り返した体験を自分なりに整理するのは、同じような形での転職を繰り返さないためであると同時に、面接対策として、転職回数が多い理由を自分の言葉で企業に伝えるためでもあります(後述)。転職理由が必ずしもポジティブなものではない場合に「なぜそうなったのか」という自己認知も合わせて示してくれる方が、企業にとっても納得感があるからです。

「転職を繰り返す理由が自分ではよく分からない」という場合は、転職エージェントに相談し、自己分析に関してアドバイスをもらうこともお勧めです。

情報収集の方法を見直し、視野を広げる

もう一つのポイントは、これまでの「企業の探し方」を見直すこと。納得できる転職先になかなか出会えなかったのは、情報収集の方法が偏っていた可能性もあります。例えば、年収や年間休日などの外的条件を優先的に見ていたり、企業イメージにつられて、よく調べずに離職率の高い企業を選んでいたりしたかもしれません。

自己流で転職活動を進めてうまくいかなかった人は、第三者の提供する情報や、アドバイスの利用も考えてみましょう。例えば転職エージェントでは、転職先候補の社風や将来性、働き方など、求人票にはないさまざまな情報を入手することができます。また、仕事で培った人脈を活用して、リファラル採用されることも視野に入れてはいかがでしょうか。自分の価値観や指向性を理解したうえで、経験を求めてくれる企業と出会うことができるかもしれません。

転職回数が多い人の選考対策のポイント

転職回数が多いことを自覚している人が、書類選考や面接対策をする際に押さえておきたいポイントをご紹介しましょう。

転職理由にとらわれるより、転職理由を掘り下げる

現在の転職市場において、複数回の転職を経験するのは決して珍しいことではなく、業界や職種によっては応募者の転職回数を重要視しない企業も増えています。しかし一方では、転職回数が多いことを懸念する企業もあります。また応募者の経歴や実績によっても判断基準は変わるため、一概に「転職は○回までならOK」と言うことはできません。

とはいえ、どのような企業にとっても大切なのは「応募者が自社に定着し、活躍してくれる人材かどうか」。それを判断するためには、転職回数よりも「目的を持って転職しているか」「納得できる転職理由があるか」を重視したいと考えています。従って、転職回数が多い人は、過去の転職理由を自分の中で整理し、明確にしておくことが重要になります。

過去に転職してきた企業に対して「こうした理由でこの企業を選んだ」「こういう状況があったため、転職先でこのようなことを実現したかった」という背景や理由をきちんと説明できれば、応募企業にとって納得感があり、転職回数が不利になる可能性は低くなるでしょう。

転職活動のポイントについては、下記の記事も参考にしてください。

一貫性を意識しながら失敗も正直に答える

転職回数の多い人が、企業に転職理由を伝える際は「キャリアの一貫性」を意識することが大切です。これまでに経験した企業や業界、職種、職務内容などの共通点を掘り下げた上で、キャリアの軸を明確にしておきましょう。業界や分野はさまざまでも、その中で共通して磨いてきたスキルや専門性があれば、転職回数を問題視されなくなることもあるでしょう。

ただ、転職回数が多い人の場合、すべての転職がポジティブではないことも多々あります。不満が理由で転職したのに「キャリアアップが目的でした」と伝えても、おそらく採用担当者には取り繕っていることを見透かされてしまうでしょう。そうした場合は「こういう意図があったが確認不足だった」「業界や職種は目指すものだったが、社風が合わなかった」と、反省を交えて正直に伝えることをお勧めします。失敗も含めてあなたを理解し、その上で必要としてくれる企業であれば、長く働き続けられる可能性も高いのではないでしょうか。

応募書類に転職の理由や背景を盛り込む

履歴書や職務経歴書を作成する際は、転職の理由や背景を記載することも1つの方法です。転職回数が多いという事実のみが記載されていると「自社に入社してもまたすぐ辞めてしまうのではないか」と懸念され、応募書類が通過しない可能性もあるからです。

履歴書の自由記載欄や職務経歴書に「○○分野の専門性を高めるため」「事業立ち上げの経験を求めて」など、簡潔に理由や背景を明記しておけば、企業の不安払拭につながります。

また職務経歴書は、これまでの経歴を業務内容ごとにまとめる「キャリア式」で作成するのがお勧めです。「何ができる人なのか」を採用担当者が一目で理解できる形式であり、転職回数の多さをカバーすることができるでしょう。

キャリア式の職務経歴書の書き方については、下記を参考にしてください。

転職エージェントのサポートを受けるのもお勧め

「転職回数が多い」と自覚している人は、一度転職エージェントに相談してはいかがでしょうか。転職エージェントでは、キャリアの棚卸しを通じてキャリアプランの作成、転職軸の明確化、希望条件の優先順位づけをサポート。また、その方の経験・スキルにマッチした求人の紹介はもちろん、転職回数が多い人材の採用実績がある企業も紹介することができます。さらに書類や面接でのアピール方法のアドバイスや、転職回数についての企業へのフォローも実施し、選考を通過できる可能性を高めます。「次は納得できる転職がしたい」「自分に合った企業で長く働きたい」とお考えの人は、ぜひご検討ください。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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