「計画性」を自己PRで伝える場合のポイントと自己PR例文

転職活動の自己PRで「計画性」を伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、計画性を自己PRで伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを伺いました。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「計画性」を自己PRで伝える場合のポイント

計画性とは、実行可能な業務スケジュールや、優先順位、人員配置、予算などを計画立案できる力。そして、計画に基づいて実行・修正し、目標達成につなげる力のことです。
事業活動とは、計画性を持って組織や人員を構成し目標達成を目指すものなので、その意味ではどのような仕事においても一定の計画性は求められるでしょう。

計画性は、発揮されるシーンによって、大きく「個人レベル」と「組織やプロジェクト」の2つに分けられます。

1)個人レベル
仕事の進め方が比較的個人に任され、個人が裁量権を持って活動できる場合においては、自己管理、時間管理、業務進捗管理(顧客)、目標管理といった「セルフコントロール」「セルフマネジメント」が求められます。

2)組織やプロジェクト
依頼を受けて納期までに制作、システム開発を行う仕事や、プロジェクトをマネジメントする役割を担う場合は、課題設定や戦略を描き、組織内外の人、予算、進捗などをマネジメントしていく計画性が求められます。

「計画性」は一般的によく使われる表現であり、「計画性があります」だけでは抽象的な自己PRになってしまいます。従って自身のエピソードに基づいた、より「自分らしい計画性」を伝えることが重要です。「自分が計画性を発揮するポイントは何か」を分析し、具体的な言葉に落とし込むと良いでしょう。

【例】
「限られた時間で成果を出せる計画性がある」
「納期から逆算してスケジュールを組み立てることができる」
「トラブルを想定したリスク管理が徹底できる」

また、計画は実行に移されてこそ目的が達成できるものです。自己PRで計画性をアピールする場合は「企画立案力+実行力」をセットと考えること。また、それが具体的にどのような成果につながったかを、合わせて伝えることが重要です。

ただし計画性をアピールしたい場合、伝え方やエピソード次第で「計画しただけで満足している」「計画倒れに終わっている」と採用担当者にとらえられると、「実行力に欠けるのでは?」とマイナス評価につながる可能性もあります。
また、計画を実行に移していたとしても、伝え方によっては「計画がないと動けない」「チャレンジしない」「柔軟性やスピード感に欠ける」といった見られ方をされる可能性もあります。計画性を持ちつつも、状況の変化に対して臨機応変に対応できること、あるいは対応した経験があれば、それについてもアピールしましょう。

「計画性」の自己PR例文

「計画性」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。

法人営業(ソフトウェア)の自己PR例文

私には、中長期的に安定した業績を出す「計画性」があります。
中堅〜大手企業向けのソフトウェア営業を担当する中、大手に対してはベンダーとの強固なパートナーシップ構築で対応。一方、中堅企業に対しては、複数の営業協力会社とアライアンス体制を構築し、仕組みで利益を生むことを目指した計画を立案しました。主に大手向けの大型案件に注力できる環境を構築することで、安定して営業業績を挙げることができています。
昨年度の営業予算は、大手向けが好調で○%超で達成。新規開拓社数はアライアンスが効き、対前年比○%で推移しています。
営業目標を継続的に達成する方法を細分化し、その道筋を計画・実行することで、貴社においても中長期の業績アップに貢献できると考えています。

社内SEの自己PR例文

私の強みは、目の前のゴールだけではなくその先を見据えた「計画性」です。
大手企業へのサービス提供や、将来的な海外展開を見据え、現職でISMS認証の取得をすることとなり、責任者に任命されました。9カ月後の認証取得に向けて外部コンサルと協業しながら、情報資産の洗い出し、リスクアセスメント、対応策の策定、従業員教育などのロードマップを作成。また、取得後の業務に負荷をかけない現実的な運用体制が重要と考え、その構築も視野に入れて計画を立案・実行しました。
結果、経営からの指示納期以内で認証取得。また、取得後の運用を考えた体制作りにより、業務効率低下の影響も見られませんでした。ゴールのさらに先を見据えて計画立案・実行した経験により、貴社の安定した継続成長にも寄与できると考えております。

経理・法務リーダー職の自己PR例文

ゴールから逆算した、「実現可能な計画の立案力」には自信があります。
現職ではCFOの下、リーダーとして新規上場に向けた内部統制体制の構築を担いました。人員が限られた中、業務プロセス・ITの内部統制体制の構築を担当し、納期から逆算して優先順位をつけ、不測の事態に備えたバッファを設けた計画を立てて対応。社内外の様々な連携が必要な場面では、各自の立場を意識しながら、期日通りにプロジェクトが進むように進捗管理や調整に取り組みました。
結果、監査法人からIPO準備会社として十分な水準にあると評価を受け、上場プロジェクトは成功しました。経験の少ない業務であっても状況を整理し、緊急度・重要度に適切に対応する計画の立案と実行を行えることで、貴社においても貢献したいと考えております。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

求職者の自己PRが「計画性」の場合、企業は特に次の2点について注目し、評価しようとするでしょう。

1)計画の立案力
どのように情報収集や分析を行ったのかに注目し、課題設定力、目標設定力、戦略・KPI設定などを評価します。計画を立てる際の、求職者の仕事に対するこだわりや姿勢から、自社カルチャーとのマッチングを見極めることもあるでしょう。

2)計画の実行力・修正力
自己管理、時間管理、進捗や予算の管理、組織マネジメント、変化に対する対応力・修正力といった計画の運用力を評価します。さらに、目標や設定を達成するためにとった行動や、人や組織の動かし方から、求職者の仕事の進め方・活躍の可能性を判断するでしょう。

自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「計画性」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際の注意点

自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。