「まじめさ・誠実さ」を自己PRで伝える場合のポイントと自己PR例文

転職活動の自己PRでまじめさ・誠実さを伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、まじめさ・誠実さを自己PRで伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを伺いました。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「まじめさ・誠実さ」を自己PRで伝える場合のポイント

「まじめ」という強みの定義は「ミッションに対して手を抜かない・物事に真摯に向き合う姿勢」と言えるでしょう。
「まじめさ・誠実さ」の捉え方は人それぞれであり、「コツコツ地道に取り組める」「実直である」「真摯に仕事に向き合える」「責任感が強い」「正確かつ丁寧な仕事をする」「嘘をつかない・不正をしない」などが特徴として挙げられます。自身のエピソードに基づき、「自分らしいまじめな点」を伝えることがポイントです。職種や業界によっても求められるまじめさは違ってくるため、よりフィットしている部分をアピールすると良いでしょう。例えばプロジェクトマネジメントなどの場合は「納期を守り、コストを意識するまじめさ」、営業などは「真摯に顧客に向き合い、地道なヒアリングを重ねるまじめさ」などは評価されやすいと言えます。

また「まじめである」という性質やスタンスを伝えるだけでなく、自身のまじめさを活かしてどのような事柄に取り組んだのか、それによってどのような成果につながったのかを伝えることが重要です。第二新卒などの若手世代の場合は、今後の成長やポテンシャルに期待して「目の前の仕事にコツコツまじめに取り組む」というスタンスのみで評価される可能性もあります。しかし、一定以上のキャリアを積んでいる場合は、任される責任範囲も広がるため、自ら主体的に取り組み、成果を挙げることが求められるようになります。

自己PRの際には、まじめさの裏付けとなるエピソードを通じて「ミッションを達成するにあたって、どのようなことを重視したのか」「どのような意識を持って取り組んだのか」「自分だからこそ達成できたことは何か」まで伝えることが大事です。成果を挙げる能力があることを伝えると同時に、自身が発揮できる付加価値までアピールすれば、より評価につながりやすいでしょう。

「まじめさ・誠実さ」の自己PR例文

「まじめさ・誠実さ」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。

社長室・管理職の自己PR例文

中期経営戦略立案の精度を高めるため、ベストな対応を尽くすまじめさを強みとしております。
前職のITベンチャーでは社長室のマネジャーを務め、中長期戦略を策定しました。それまで社長の方針に従って成長を続けてきましたが、今後の成長と組織拡大を見据え、社長室が戦略立案を担うこととなりました。
社長・役員・部門責任者と事業・組織の現状や課題についてすり合わせ、社外のコンサルタントへのヒアリングも並行してたたき台を作成。各所からの細かな指摘や修正要望を受け、一つひとつ丁寧に、かつ最大限のスピードで対応・改善を繰り返し、予定通り〇カ月で中期経営戦略を社員向け総会でリリースしました。現在、この戦略に則って事業・組織を改編しています。
会社の今後を左右する経営戦略立案を担当し、関係各所に誠実に向き合い、実効性の高い中期経営戦略を策定したこの経験は、貴社の経営企画部門においても活かせると考えております。

データアナリスト職の自己PR例文

ミッションにプラスαの価値を考え、達成するまじめさを強みとしております。
現職ではデータアナリストとしてセールス部門の分析・課題抽出と施策提案・実行を担当。事業計画に沿った成長に向かうために分析精度の改善ミッションを課された際、これを達成するためには営業現場が自律自走で改善施策を運用できる方法も必要だと考えました。そこで、営業企画や営業マネジャーも巻き込むプロジェクトチームを組成し、各部門のKPIの再定義、営業課題を定量データに落とし込むマッピングなど、営業現場の声も反映しながら実行。また、営業支援ツールを現場のみでも運用可能なものに変更しました。
これにより受注率を含む各KPI指標が改善。また、営業現場の要望を受けてデータ分析講座を定期開催し、データドリブンなカルチャーも根づかせることができました。プラスαの価値を考え、ミッションを達成していくまじめさを貴社の業務に活かしていきたいと考えております。

人事・管理職の自己PR例文

膨大なタスク・課題に徹底して向き合い、地道に解決する誠実さが強みであると考えております。
現職では人事部門のマネジャーを務め、組織改編に伴う人事制度の見直しと新制度の構築を手掛けました。
従業員数○人と企業規模が大きく、多数の事業・グループ会社を擁する複雑な組織であり、今後のM&A戦略も絡むため、3カ年計画で取り組みました。人事メンバーと外部コンサルタントによるチームを組成し、現行制度の課題抽出から基本設計、各種制度の詳細設計、導入シミュレーションなど、各領域の膨大なタスクついて一つひとつ徹底的に議論を重ねながら地道に実行していきました。
新制度の運用から1年が経つ現在、従業員の納得度や企業理念への理解度が高まり、一定の成功として評価を受けています。
膨大なタスクを伴うミッションにおいても、課題を一つひとつ突き詰めて解決しながら達成したまじめさを貴社の人事制度改善にも活かしたいと考えております。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

「まじめ」という強みは、どのような業界においても一定の評価をされる傾向があります。しかし、仕事にまじめに取り組むことは大前提であるため、企業はまず、応募者の持つまじめさがどのようなタイプであるのかを確認していると言えます。
「コツコツ地道に取り組む」「メリハリをつけて集中する」「全てにベストを尽くす」「要求されたことのプラスαを考える」など、課されたミッションに対してどのような向き合い方をするのか知ることで、自社の企業文化や仕事の進め方などにマッチしているかを判断しているでしょう。

さらに、エピソードでは「向き合ったことの結果」を確認しています。具体的な成果を伝えず、まじめであることのスタンスのみを強調すれば「まじめに向き合う姿勢のみで、成果や成果物の品質につなげる能力に欠けている」と受け取られる可能性もあります。
そのため、まじめに取り組んだ結果、どのような成果につながったのかはもちろん、成果物のクオリティ、納期までの時間軸、コスト意識なども伝えることがポイントです。これらを総合的に見て、自社が求める能力の水準を満たしているか、どのような付加価値を発揮できるかを判断しているでしょう。

また「まじめ」という性質に対して「柔軟性がない」「臨機応変な対応力に欠ける」などのイメージを持っているケースもあります。特に、自身の考え方や背景までしっかり伝えていない場合は「融通が利かず、仕事の進め方や職場の人間関係に馴染めないのではないか」「多様な視点で物ごとを捉えることが苦手なのではないか」などと判断される可能性もあるので注意が必要です。主体的に取り組む姿勢や周囲と連携・協力したこと、自分なりに創意工夫したことなどを伝え、評価につなげていきましょう。

自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「まじめさ・誠実さ」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くのはNG。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PRを作成する際の注意点

自己PRを作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業が求めている人物像から外れている内容をアピールすると、「自社を理解していない」と評価ダウンにつながる可能性があります。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかをつかみましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールするといいでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意してください。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用しないか、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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