電話面接を受けるときの事前準備や進め方のコツ【電話の受け方・回答例あり】

オンラインミーティングをしている人

面接をオンラインで行う企業が増えていますが、電話で行われる場合もあります。電話面接の詳細や準備のポイント、質問と回答例、電話の受け方について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。

電話面接が行われるケースとは

電話面接とは、文字どおり「電話で行う面接」です。オンライン面接の環境がまだ整っていない頃は、対面で面接する前の段階で、外資系企業を中心に実施されていました。しかし、オンライン面接が普及してきた現在は、そう多くは実施されていません。

とはいえ、オンライン面接時に通信環境が悪化して電話面接に切り替えるケースや、応募者がインターネット環境を準備することが難しい場合などに、電話面接を採用するケースもあります。

電話面接と対面面接・オンライン面接との違い

対面やオンライン面接では、表情や身振り、資料などの視覚情報を伝えることができるのに対し、電話面接では言葉だけのコミュニケーションになります。そのため、面接担当者に細かなニュアンスが伝えにくかったり、相手の反応を確認しづらかったりすることがあります。

また、企業によって電話面接は、対面やオンライン面接よりも短い時間で実施されることもあるようです。このような場合の電話面接は、対面やオンラインによる一次面接の前の「プレ面接」の位置づけで行われます。

電話面接では、通常の面接以上にこまめな「言葉のキャッチボール」を意識し、明瞭で簡潔な受け答えを心がけるようにしましょう。こうした特徴を踏まえた上で、下記のポイントを押さえて準備してください。

電話面接に臨む際に準備しておくとよいもの

電話面接だからこそ準備したいことや、準備できるものは次のとおりです。

端的に話す準備をしておく

上述したように、電話面接は言葉だけのやりとりで短時間の実施が多いことから、質問には端的に、かつ具体性も持たせて答えられるよう整理しておくことをおすすめします。伝えるべき情報を精査せず無為に長く話してしまうと、自分の良さを出しきれなかったり、企業が用意していた質問をすべて聞ききれなかったりする可能性があります。

必要な資料を手元やPCなどの画面に準備しておく

以下の資料や道具を手元に用意しておくと、面接中に参照したり、活用したりすることができます。

・応募書類の控え
・企業情報など、事前に調べた情報のメモ
・伝えたいことのメモ
・自分のスケジュールを確認できるもの
・メモをとるための道具

各種資料やメモをPCやタブレット端末に表示しておくのか、プリントアウトして手元に置くのか、また、メモは手書きでとるのかPCやタブレット端末に入力するのかなどは、自分のやりやすい方法を試して配置を考えましょう。

電話面接をうまく進めるためのポイント

面接をスムーズに進めるための話し方や、環境の整え方として、次のことを行うとよいでしょう。

通話が切れない環境を整える

携帯電話やスマートフォンで通話する場合、電波状況の良い場所で、端末を十分に充電して臨みましょう。

集中できる環境を整える

電話面接では、相手に姿を見られないために緊張感や集中力が落ちる場合があります。スマートフォンの通知を切っておく、面接に関係ないものは周囲に置かないなど、面接のことだけを考えられる環境をつくりましょう。また、家族やパートナーと同居している場合は、面接の時間中は物音を立てないようにしてもらうなど、事前に協力をお願いしておくことも大切です。

ハンズフリー通話を活用する

ハンズフリー通話にすると両手が空くため、メモをとったり資料を見たりしやすくなります。マイク付きのイヤホンやヘッドホンを使用すれば、周囲の音を入りづらくすることもできるでしょう。

こまめにメモを取る

電話面接は音声情報のみで行われるため、応答に集中していると、相手の話す内容を正確に記憶できないこともあります。質問された内容や説明事項は、こまめにメモを取りましょう。

文章を読んでいる雰囲気を出さない

手元の資料を見ながら話せるのが電話面接の利点の一つですが、文章を読んでいるような話し方は、面接担当者に良い印象を与えません。言葉を自分のものにして話すことを心がけましょう。できれば事前に声に出して練習しておくことをおすすめします。

普段よりもはっきりと話す

互いに視覚情報を得られない電話面接では、声のトーンや話し方が面接担当者に与える印象が大きくなります。また、電話を通した声は、対面で話すときに比べてこもって聞こえがちなので、普段よりもゆっくり、はっきりと話すことを意識しましょう。

あいづちは細かめに打つ

会話中に反応がないと、話し手は相手が聞いているかどうか不安を覚えます。視覚情報を得られない電話面接では、細かめにあいづちを打ち、聞いていることを伝えましょう。逆に、自分が長めに話した時も、途中で言葉を切り、「ここまでで何かご質問はありますでしょうか?」と相手に確認すると、コミュニケーションがよりスムーズになります。

聞こえにくかった時は正直に聞き返す

電波状態などの関係で相手の言葉が聞き取れなかった場合、「聞き返すのは失礼ではないか」などと考えてそのまま進めると、会話が噛み合わなくなってしまいます。正直に「聞き取れなかったのでもう一度お願いできますでしょうか?」と確認しましょう。

電話面接の流れ

電話面接は、おおむね次の流れで進みます。質疑応答の内容などは、対面での面接やオンライン面接と変わりません。

1.企業から電話がかかってくる
2.挨拶をする
3.質疑応答
・自己紹介(例:これまでの経歴を簡単にご紹介ください)
・自己PR(例:これまでのご経験を当社でどのように生かせるとお考えですか?)
・志望動機(例:当社を志望される理由を教えてください)
・転職理由(例:転職しようとする理由や背景を教えてください)
・逆質問(例:何か質問はありますか?)
・その他(キャリアプラン、転職活動の状況、入社可能日、希望条件などの確認など)
4.今後の選考フローについての説明を受ける
5.挨拶をして電話を切る

電話面接でよくある質問と回答例

電話面接でよく聞かれる質問は、対面やオンライン面接と変わりません。一般的に転職の面接で聞かれる質問について、回答のポイント、回答例をご紹介します。

自己紹介

【質問例】
「簡単に自己紹介をお願いします」
「これまでの経歴を簡単にご紹介ください」

自己紹介の基本的な構成は以下の通りです。短く端的に伝えるようにしましょう。
1.挨拶
2.氏名と略歴
3.強み・実績
4.入社意欲
5.結びの言葉

回答例

「本日は貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます。○○○(氏名)と申します。私は○○大学を卒業後、2社に在籍して○年間、△△関連の法人営業に従事してきました。1社目の◯△社では、従業員500名規模の中堅企業に対する営業を行い、営業約200名中、上位10%の成績でした。現職の××社では、大手企業を中心に営業を行い、昨年は目標金額の140%の実績を挙げ、社長賞を獲得しました。この2年間は、課長職として部下の育成にも取り組んでいます。この経験を御社でも活かして貢献したいと考えております。本日はどうぞよろしくお願いします。

自己PR

【質問例】
「これまでの経歴を踏まえて自己PRをしてください」
「これまでのご経験を当社でどのように生かせるとお考えですか?」

自己PRや強みを聞かれた場合、次の構成で伝えると良いでしょう。
1.「結論=自分の強み」を端的に伝える
2.その根拠となる「理由・背景・エピソード」を伝える
3.強みによる「成果・実績」を具体化、数値化して伝える
4.志望する企業や業種で、その強みがどう活かせるかを伝える

回答例

組織の課題を見極め、打ち手をスピーディに打ち、改善につなげることが強みです。現職で営業部長に着任した際、部門の業績が低迷していたため、各マネジャーと面談を行ったところ、毎月の指標設定が多すぎて現場が疲弊していることが確認できました。そこで、メンバーが追うべき重要指標を絞るとともに、モチベーションアップを図るため、毎月の部会でチームにポジティブな働きかけをしたメンバーをマネジャーが推薦し、皆で称える機会を設けました。その結果、目標達成意欲が高まり、部門の業績を前年比で○%伸ばすことができました。この経験を御社の営業組織でも活かし、業績向上に貢献したいと考えております。

転職理由

【質問例】
「転職を考えられた理由や背景をお聞かせください」

転職理由を伝える際は、次のポイントに注意しましょう。
1.不満がきっかけであっても、「△△が嫌だったから」ではなく「○○を実現したい」というポジティブな表現に変換する
2.「1」の内容は、応募企業で実現できるものを伝える
3.転職理由が志望動機につながるよう、両者に一貫性を持たせる

回答例

私は役職や社歴などにとらわれず、自由に意見を出し合える組織を理想と考え、その形を目指してチーム作りをしていました。しかし、上長はトップダウンで物事を進めたい考えを持っていたため、なかなか理解してもらえませんでした。現職の会社としても上長の価値観に近い社風であることがあり、今後はフラットな風土の会社で、強いチーム作りをしたいと考えて、転職を決意しました。

志望動機

【質問例】
「当社を志望される理由をお聞かせください」
「なぜ当社を志望しようと考えられたのですか」

志望動機を伝える際には、次のような構成にすると、採用担当者の納得を得やすくなります。
1.「応募企業に魅力を感じるポイント」を端的に伝える
2.魅力を感じる具体的な理由を伝える
3.自身の経験・スキルがどのように活かせるか伝える
4.入社後に実現したいことを伝える

回答例

御社の人材育成に対する考え方に強く共感しています。人事職として、採用や評価制度づくりに携わってきましたが、今後はより個々の能力を引き出す育成に取り組みたいと考えています。私自身が人事チームのリーダーを経験し、メンバーの成長に大きな喜びを感じたからです。しかし、現職では即戦力人材の採用を重視し、若手の育成にはあまり注力していません。そこで、組織拡大にあたり若手の力を引き出し、成長を支援することを大切にしている御社に魅力を感じました。これまでの採用・制度企画の経験を活かしつつ、御社の成長を加速させる人材育成と、組織体制づくりに貢献したいと思います。

電話面接を受ける際の受け方

応募者:はい、○○でございます。
企業 :お世話になっております。株式会社△△の××と申します。○○さんの電話で間違いないでしょうか?
応募者:はい、間違いありません。
企業 :本日の面接よろしくお願いいたします。
(…続く)

時間通りに電話がなく、応募者から電話をかける際の会話例

応募者:お世話になっております。御社の中途採用の選考を受けている○○と申します。人事の××様はいらっしゃいますでしょうか?
企業 :どのようなご用件でしょうか?
応募者:本日△時より電話面接を受ける予定でしたが、ご連絡がいただけなかったので連絡いたしました。
(…続く)

注意点
時間通りに電話がこなかったからといって、不快感を示すのは控えましょう。相手にトラブルなどがあった可能性もあります。時間が大きくずれた場合などに日程変更を相談するのも問題ありません。

電話面接の電話に出られず、折り返す際の会話例

応募者:お世話になっております。御社の中途採用の選考を受けている○○と申します。人事の××様はいらっしゃいますでしょうか?
企業 :私です。
応募者:先ほどは急な仕事の連絡が入ってしまい、電話に出られず誠に申し訳ございませんでした。電話面接をお願いできますでしょうか?
(…続く)

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粟野友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。