雇用保険の被保険者番号とは?転職などで必要になる場面と、確認する方法を解説【社労士監修】 

被保険者番号

退職や入社、給付金の申請手続きなどで耳にする「被保険者番号」という言葉。正式には「雇用保険被保険者番号」といい、雇用保険に関係する手続きをする際に必要な番号です。ここでは、雇用保険被保険者番号の確認方法や、必要となる場面、番号がわからくなったときの調べ方などを、社会保険労務士の岡佳伸氏に解説いただきました。

雇用保険被保険者番号とは 

まず「雇用保険被保険者番号」とは何かを知っておきましょう 

雇用保険の被保険者に割り振られる番号 

「雇用保険被保険者番号」とは、雇用保険に加入している被保険者一人ひとりに付与される11桁(4桁−6桁−1桁)の番号です。書類上では「被保険者番号」と表記されます 

パートやアルバイトなどの非正規雇用であっても、雇用保険に加入すれば番号が付与されます。雇用保険の加入要件は次の通りです 

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の継続した雇用が見込まれること
  • 学生ではないこと(夜間、通信制の学生生徒を除く)

基本的に一生同じ番号を使用する  

雇用保険被保険者番号は雇用保険に初めて加入するときに発番され、1度発番されると転職しても番号は変わることがありません。原則、同じ番号を一生使い続けることになります。 

ただし、離職して雇用保険に加入していない期間が7年経過すると、番号は残りますが使用されなくなります。次に就職する企業で雇用保険に加入する場合は基本的に新たな番号が発番されます。 

なお、被保険者番号と混同されやすいものに「被保険者整理番号」がありますが、被保険者整理番号は、健康保険や厚生年金保険に加入した際に付与される番号です。これらは、協会けんぽや健康保険組合、企業が独自に発番する番号なので、転職すればその度に変更されます。 雇用保険被保険者番号は、「雇用保険被保険者証の中段にある「被保険者番号」という項目から確認することができます。 

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する書類です。通常は入社したときに会社から交付されて、自分で保管しますが、まれに在職中は会社が保管するケースもあります。 

雇用保険被保険者番号の確認方法 

雇用保険被保険者番号が必要になったときに、番号を確認する方法をご紹介します。

雇用保険被保険者証で確認する

雇用保険被保険者番号は、「雇用保険被保険者証の中段にある「被保険者番号」という項目から確認することができます。 

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する書類です。通常は入社したときに会社から交付されて、自分で保管しますが、まれに在職中は会社が保管するケースもあります。 

雇用保険被保険者証の見本

離職票で確認する 

会社を退職したときにもらう「離職票」では、最上段にある「1.被保険者番号」という項目から、雇用保険被保険者番号が確認できます(下記は「離職票−1」の例)。 

離職票は、離職したことを証明する書類で、ハローワークで失業保険(基本手当等)を申請したり、求職活動を行ったりするときや、教育訓練給付制度を利用するときなどに必要なものです 

雇用保険法で、退職した日の翌日から10日以内に元の会社がハローワークで手続きをしなければならないとされています手続きが済むと、「離職票−1」「離職票−2」が発行され、通常は退職後2週間〜1カ月ほどで会社から郵送又はメール等で送られてきます。 

雇用保険被保険者証(離職票-1)見本

マイナポータルで確認する 

マイナンバーカードを持っている人が、在籍している会社や、これまで在籍していた会社にマイナンバーを届け出て場合はマイナポータルで雇用保険に関する手続き履歴(資格取得・喪失など)を確認することができます。そこには雇用保険被保険者番号の情報も含まれています 

雇用保険被保険者番号が使われる場面 

雇用保険被保険者番号はどのような手続きに使われるのか、個人で確認する必要があるのはどのような場合かを解説しましょう 

転職先で雇用保険に再加入するとき 

転職して新しい会社で雇用保険の加入手続きをする際に、雇用保険被保険者番号が必要になります。前の会社から交付された雇用保険被保険者証を一度提出し、返却された後は自分で保管するのが一般的です。もし書類がなくても、雇用保険被保険者番号がわかれば、それだけで手続きすることも可能です。 

失業等給付の申請をするとき 

退職後に次の仕事が決まっていない場合は、住所を管轄するハローワークで求職の申し込みと失業保険の受給資格の決定を受けます。その際に、前の会社から送られてきた離職票を提出し、そこに記載されている雇用保険被保険者番号で手続きを進めることになります。 

育児・介護休業給付や、高年齢雇用継続給付を受けるとき 

育児休業給付」「介護休業給付」また60歳以降労働者に賃金の減額分を一部補填する「高年齢雇用継続給付を受けるときは、いずれも雇用保険被保険者番号を使用してハローワークへ申請します。通常は会社が手続きを行うので、個人番号を確認しなければならないケースはあまりありません。 

教育訓練給付を受けるとき 

「教育訓練給付」は、一定の条件を満たす在職中の人や離職した人が、指定教育訓練講座を自己負担で受講したときに、かった経費の一部についてハローワークから給付金を受けられる制度です。この給付の申請は自身ですることになるため、雇用保険被保険者番号の確認が必要となります 

特別支給の老齢厚生年金を受けるとき 

「特別支給の老齢厚生年金」とは、一定の条件を満たせば、65歳よりも早く老齢厚生年金を受給できる制度です。請求する時は、雇用保険との併給調整をするために、雇用保険被保険者番号を証明する書類(雇用保険被保険者証など)が必要になります。この手続きも自身でするものなので、書類の準備が必要です 

雇用保険被保険者番号がわからないときの対処法と注意点 

雇用保険被保険者番号が確認できないときの対処法と、注意点をお伝えします。 

会社に確認する・ハローワークに照会してもらう 

雇用保険被保険者番号は、在職中であれば勤務先が把握しているので、会社に直接確認するのが早道です。離職した人は以前働いていた会社に問い合わせるといいでしょう 

また、新しい会社に入社するときに雇用保険被保険者証も離職票も手元になく、雇用保険被保険者番号がわからない場合でも、会社が雇用保険加入の手続きを行う際に、ハローワークに照会してもらうことができます。その場合は、本人の姓名、生年月日、履歴書に記載した前の会社の正式名称から調べてもらうことになります 

ハローワークで再発行の手続きをする  

雇用保険被保険者番号を確認できる書類をすべて紛失してしまい、ほかに調べる方法がない場合は、原則住所地を轄するハローワークで雇用保険被保険者証を再発行してもらうことできます。必ず窓口まで足を運ぶ必要がありますが、即日無料で再発行が可能。手続きには、前に働いていた会社の正式名称と連絡先、本人確認ができる身分証明書、印鑑が必要となります。 

重複して付与されていた場合は統合を 

雇用保険被保険者証が手元にないなどの理由で新しく入社する会社が前職の加入状況について確認しないまま「新規加入」として手続きをすると、新しい雇用保険被保険者番号が発番され結果として複数の番号を持ってしまうことがありますそうなれば、雇用保険上、同一人物として扱われなくなってしまいます 

重複の多くは、失業等給付や育児休業給付などを申請する際に判明しますが、雇用保険被保険者番号は一人につきひとつ」が原則であるため、その場合は統合が必要です。もし自分が複数の番号を持っていることがわかったら、在職中の場合は会社に統合手続きをしてもらいましょう。離職中の場合は、失業等給付を受ける際に、管轄のハローワークに被保険者番号を統一する届出をしましょう。 

なお、企業は、雇用保険被保険者番号だけで従業員の過去の勤務先を確認することはできません。ハローワークには、勤務先と雇用保険加入期間が雇用保険被保険者番号に紐付けて記録されていますが、その情報が企業側に伝えられることはありません。 

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社会保険労務士法人 岡佳伸事務所 岡 佳伸(おか よしのぶ)氏

大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師および記事執筆、TV出演などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。