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ハイクラス層がUターン転職を成功させるポイントと注意点

家族のことを考えて「故郷へのUターン」を考える人や、ワークライフバランスを整える観点から、「地方の自然豊かな環境で暮らしたい。故郷に戻りたい」と考える人もいるようです。そこで、主に管理職や専門職などのハイクラス層がUターン転職を成功させるポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に解説いただきました。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

Uターン転職とは

「Uターン転職」とは、生まれ故郷以外の地域で就職した人が、故郷に帰って地元で再就職することを指します。地方で生まれ育ち、大都市圏で働いた後、故郷にUターンするケースが多く見られます。

なお「Iターン」とは、出身地とは異なる地域に移住すること。特に都市圏から地方に移り住むことを指します。「Jターン」という言葉もあります。これは、出身地を離れて大都市圏などで働いた後、出身地ではない地域に移住すること。例えば、「地元に帰るのは難しいが、すぐに実家に駆け付けられる距離にいたい」と、大都市圏と故郷の中間地点にある中核都市を選ぶケースなどが該当します。

ハイクラス層のUターン転職の可能性

近年、ハイクラスのビジネスパーソンが地方企業から経験・スキルを請われ、転職するケースが増えています。背景にあるのは「事業承継」。経営者の高齢化により、世代交代の時期にさしかかっている企業が増えています。経営を引き継ぐ子息がまだ若く経営経験が不足しているため、後継社長を支えるベテラン人材を経営ボードとして迎えるケースが見られます。

また、後継者がいない場合はオーナーがファンドに事業を売却。ファンドがその企業の経営を引き継ぐ人材を採用し、社長や経営幹部に据えるケースもあります。こうした動きから、大都市圏で経験を積んだハイクラス人材がU・I・Jターン転職するチャンスが増えています。

このほか、大学発のベンチャー立ち上げというケースもあります。教授が個人で立ち上げたり、若手研究者数人で立ち上げたりとパターンはさまざまですが、いずれにしてもビジネスの経験がないため、事業企画・マーケティング・営業・組織作りなどを担える人材が必要とされています。大学発ベンチャーは地方にも多く存在するため、U・I・Jターン者に期待する声があります。

なお、首都圏から地方へのU・I・Jターン転職を図る場合、いきなり移住するのではなく「テレワーク+出張」のスタイルから始めたり、単身赴任でスタートして後に家族が移住してきたりするケースも見られます。

Uターン転職を成功させるポイント

ビジネス環境・生活環境が大きく変わるUターン転職だけに、通常の転職活動よりも慎重に進める必要があります。次のようなポイントを意識してください。

譲れない条件を明らかにする

「仕事内容」「ポジション」「裁量範囲」「年収」「勤務時間」「休日休暇」「勤務地(居住地からの通勤時間)」など、仕事と生活の両面から希望条件を細かく書き出してみてください。

地方にUターンする場合、大都市圏に比べると選択肢が限られます。希望条件をすべて叶えることは難しく、ある程度の妥協が必要であると気付くかもしれません。希望条件のうち「譲れないもの」「妥協できるもの」を仕分けし、優先順位をつけておきましょう。「譲れない条件」を明確にしておけば、選択の際に迷いがなくなり、入社後も納得感を持って働けるでしょう。

家族・パートナーなどに同意を得る

生活環境の変化、子どもがいる場合は転校の問題も発生しますので、家族には早い段階から相談してください。家族の同意を得られれば、転職活動も進めやすくなります。

家族にとって、なじみのない土地で新生活をスタートすることは、大きな不安が伴います。配偶者が描いていたライフプランが崩れることもあり得ます。具体的なUターン計画を立てる前に、自分の考えやプランを話し、家族の反応を見てみてください。どの点に不安を感じているのかを確認した上で、問題点の解決法を話し合ってみましょう。そして、移住後の生活をイメージできるように情報を提供したり、一緒に現地を訪れて生活環境を確認したりするようにしてください。

テレワーク可能な求人も視野に入れる

「いずれはUターンを考えているが、今すぐに移住するのは難しい。しかし年齢を重ねると求人の選択肢が減ってしまうだろうから早めに転職したほうがいいだろうか…?」。Uターン転職にまだ迷いがある方は、Uターン先の地域でテレワーク可能な企業に転職し、住居は現在のまま、しばらくは「テレワーク+出張」というスタイルで始める方法もあります。

コロナ禍以降、「テレワーク可」とする企業も増えています。副業可能な企業であれば、まず「テレワークで副業」からスタートし、手応えを得たら、適切なタイミングでUターンする方法もあるでしょう。

できるだけ働きながら転職活動する

遠隔地の企業へ面接に出向くのは、移動時間やコストがかかります。「とりあえず会社を辞めて実家に戻り、現地でじっくり転職活動をしよう」――そう考える方もいるかもしれません。しかし、なかなか転職先が決まらず、焦りを感じ、妥協して転職先を選んだ結果、後悔する…ということもあり得ます。

希望の勤務地で、条件もマッチする求人はすぐには見つからない可能性があります。コロナ禍以降は、多くの企業がオンライン面接を導入し、現地に赴かなくても転職活動ができるようになりました。オンライン面接を活用し、仕事を続けながら転職活動を進めるほうが得策です。

なお、企業によっては大都市圏にある拠点で面接を行ったり、土日に面接を設定してくれたりすることもあります。また、大都市圏でU・I・Jターン者向けの転職イベントが開催されることもあります。複数の企業の採用担当者が集結するので、U・I・Jターン者向けの転職イベントに参加してもいいでしょう。

ハイクラス層のUターン転職活動の注意点

Uターン転職を成功させるための注意点をまとめました。

社風や組織体制はできるだけ確認しておく

地方ごとに歴史や土地柄があり、独特の価値観や組織文化、判断基準を持つ企業も存在するでしょう。大都市圏でビジネスをしていた方にとっては違和感を覚え、自身の業務を思うように遂行できないこともあり得ます。経営に近いポジションであればあるほど、行き詰まりを感じてしまうかもしれません。

そのため、経営者としっかり目線を合わせ、組織風土や大切にしたい価値観、そして自身にどんな期待を寄せられているかを、内定前後に面談を設けてもらい確認してください。なるべくなら、社内の各部署を見学し、さまざまな社員と話をする機会を設けてもらうといいでしょう。自身の知識や経験を実践できる組織体制であるか、そのためのリソースがあるかどうかを見極めてください。

条件にこだわりすぎない

厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査」の「第7図 都道府県別にみた賃金」でも分かるように、大都市圏の企業と比較すると、地方企業は給与水準が低い傾向にあります。

前職レベルの年収水準を求めると、転職先が見つからない可能性もあるため、条件にこだわり過ぎず、柔軟に検討したほうがいいでしょう。地方では住居費が安い分、収入が減っても可処分所得が増えることもあります。ただし、車通勤になった場合、車の維持費などのコストもかかります。そこで、現地での生活をシミュレーションした上で、本当に必要な年収額を算出しましょう。最近はオンラインでできる副業も増えているため、副業を認めている企業であれば、副業で減収をカバーする方法もあります。

Uターン転職は入社後も重要

地方にUターン転職すると、マーケット特性の違いや仕事の進め方の変化に戸惑うこともあります。特に、役割が細分化されている大手企業から中小企業に転職した場合は、担当する業務内容が広くなるケースが多々あります。入社後、新たな環境や業務に適応していくための心構えが大切です。

アンラーニングの姿勢で臨む

これまで蓄積してきた知識を一旦捨てて、新たに学び直す「アンラーニング」の姿勢が必要です。過去の成功体験やノウハウに固執していると、既存社員に受け入れられにくく、なかなか力を発揮できないことは、通常の転職でも起こりがちです。ビジネス環境や価値観が異なる地方企業であれば、なおさらギャップを感じるかもしれません。

入社する企業の考え方・やり方を受け入れた上で、改善できそうな部分については改善提案を行っていく――そのような姿勢で臨むことが大切です。

軋轢が生じることを覚悟し、仲間を作る

「変革してほしい」と期待され、経営幹部として迎えられる方もいます。ただし、入社した企業でいきなり新たな手法を持ち込むと、軋轢も生じます。しかし、よりよい方向に変革したり、新たな価値を生み出したりしようとすれば、必ず軋轢は生じるものです。軋轢を覚悟して、それでも突き進むことができるタイプのほうが、ストレスが少なく成果を生みやすいようです。変革するメリットや効果を伝えれば、社内に賛同者・協力者が現れます。うまく力を借りることで推進しやすくなるでしょう。

通勤可能エリアも視野に入れて選択肢を広げよう

Uターン転職を希望する理由として、「実家の近くに住んで家族をサポートしたい」という方は多いようです。在宅介護までは必要としなくても、「頻繁に通って生活をサポートしたい」「何かあったときにすぐに駆け付けられるようにしたい」といった場合、UターンだけでなくJターンも視野に入れてみましょう。

実家付近では求人が見つからなくても、実家へ1~2時間程度以内で行ける範囲の中核都市であれば、選択肢が増える可能性があります。状況に応じて「車で○時間以内」「新幹線で○時間以内」など、条件を設定して対象エリアを広げてみてください。テレワーク制度の利用も組み合わせれば、選択肢がさらに広がるでしょう。