営業職の志望動機の書き方と注意点【例文付き】

採用選考において注目される要素の一つが「志望動機」です。経験・スキルが多少不足していても、志望動機が採用担当者の心を動かし、採用に至るケースは少なくありません。履歴書や職務経歴書に「志望動機」欄を設けて記載しておくことで、面接に招かれる確率が高まるでしょう。
そこで今回は、営業職の志望動機の書き方について、リクルートのハイキャリアコンサルタントがアドバイスします。

営業職の志望動機のポイント

営業職の求人に応募する際の志望動機は、「商品・サービスの魅力や成長性」あるいは「報酬体系(業績給など)」というケースが多く見られます。
しかし、それだけでは企業側は物足りなく感じます。その商品・サービスの営業職として、「自身の強みや経験をどのように活かせるか」という要素を盛り込みましょう。読み手が「自社で活躍してくれそうだ」とイメージできれば、期待感を持たれ、面接へ進める可能性が高まります。

志望動機を作成する際の注意点

志望動機の文章を作成する際には、次のポイントを意識してください。

自己PR・転職理由との一貫性を意識する

応募書類に「自己PR」欄を設けて自身の強みや成果などをアピールする場合、自己PRの内容と「志望動機」の内容にギャップを感じさせないようにする必要があります。
例えば、自己PRでは「自律的・主体的な行動力」をアピールしながら、志望動機では「チームの和や協調性を重視する社風に惹かれた」などと書かれていると、「仕事へのスタンスがよくわからない人物」と捉えられる可能性があります。

なお、面接の場では「転職理由(なぜ現職を辞めたいのか・前職を辞めたのか、転職で実現したいこと)」も聞かれますので、転職理由と志望動機を一貫性あるストーリーで語れるようにしておきましょう。

競合他社にない魅力を取り上げる

採用担当者が志望動機を読んだとき、「他社でも同じことが言える」と思われるような内容はNG。抽象的な表現は避け、「数ある同業企業の中で、なぜこの会社を選んだ理由」をなるべく具体的に伝えてください。そのためにも、企業研究をしっかり行い、競合との違いを把握することが大切です。

NGになりやすい志望動機の傾向

採用担当者からの納得・評価を得にくい志望動機には次のようなものがあります。応募書類に記載したり面接で語ったりする際には注意しましょう。

待遇や条件のみが動機になっている

「給与が高い」「残業が少ない」「テレワークができる」「福利厚生が充実している」といった待遇・条件面は確かに重要な要素です。しかし、これらを第一の志望動機としたのでは、採用担当者は入社後の活躍イメージを描けないでしょう。

主観的で説得力がない

商品・サービスの魅力、あるいは風土・カルチャーなどを志望動機として伝えたとき、「漠然としたイメージで捉えている」「実情をわかっておらず、思い込みが強い」、つまり「自社のことを十分に調べていない」などと思われると心証を損ねることになります。

自身の強みと企業の求めているものがマッチしない

採用担当者が「この人は入社後にこのように活躍、貢献してくれそうだ」というイメージを描けなければ、企業や商品・サービスへの興味だけを伝えてもプラス評価されにくいものです。
自身の強みが応募企業でどのように活かせるかも、志望動機に盛り込むといいでしょう。

志望動機の基本構成

履歴書や職務経歴書で志望動機を伝える際には、次のような構成で記載すると採用担当者の納得を得やすくなります。

書き出し

応募企業に魅力を感じているポイントを簡潔に記しましょう。いきなりエピソードから書き始めると、文章に締まりがない印象を与えます。

応募企業を選んだ理由

応募企業を選んだ理由を伝えます。これまでの経験も踏まえつつ、「抱いている課題意識」「自身が仕事で大切にしたいこと・こだわりたいこと」などを挙げた上で、応募企業であればそれを実現できると考えていることを記載します。

活かせる経験・スキル

自身の経験・スキルが、応募企業でどのように活かせるかを伝えます。そのためには、これまで培ってきた経験・スキルと、応募企業で求められている要素との共通点を見つけ出すことが大切です。求人情報を確認し、マッチする経験・スキルがあれば、前面に押し出してアピールしましょう。

なお、企業が求めている経験・スキルとの共通点が見出しにくい場合には、「仕事の進め方」「企業理念」などに着目し、別の切り口から接点を見つける方法もあります。

入社後に実現したいこと

最後は応募企業で働く意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

営業の志望動機の例文

営業職求人に応募する場合の志望動機の書き方の一例を、「業界経験者」「業界未経験者」「営業未経験者」のパターンに分けてご紹介します。

同業界での営業経験がある場合

(※広告業界の営業→広告業界の営業への応募を想定)

貴社の新規サービス展開のスピードや柔軟性に魅力を感じております。SNSを活用したプロモーション手法を先駆けて導入された頃から興味を抱いており、貴社で時代の変化に応じた新たな手法の開発に取り組みたいと考えています。現職ではWeb広告の営業経験を積み、リアルイベントとの連動企画なども成功させてきました。貴社においても、スポンサーのニーズに応えるメディアミックス戦略にチャレンジしたいと考えています。

異業界の営業にチャレンジする場合

(※IT業界の営業→教育業界の営業への応募を想定)

人材育成を手がけたいと考え、研修サービスで実績を持つ貴社に興味を抱きました。IT企業で業務システムの営業に従事してきましたが、お客様の課題をヒアリングしているうちに、本質的な課題解決のためにはシステム導入以前に人材育成が重要だと感じるようになりました。特に貴社の「○○育成プログラム」のコンセプトに強く共感しています。これまで培った経営課題の分析力、課題解決への提案力を活かし、クライアント企業の組織活性化に貢献したいと考えています。

営業未経験から営業職にチャンレジする場合

(※外食店長→保険業界の営業への応募を想定)

「顧客満足」を追求したく、顧客満足度の高さに定評がある貴社に興味を抱きました。これまで外食企業の店長として、お客様の満足度向上にこだわってきました。しかしメニューやオペレーションが決まっている中では独自でできる工夫は限られるため、個人の力をより活かせる営業職、そしてお客様の人生に深く関われる保険業界にチャレンジしたいと考えました。綿密なカウンセリングを大切にする貴社の方針に深く共感しております。これまで身につけた、個人のお客様とのコミュニケーション力とホスピタリティを活かして貢献したいと考えています。

※本記事の内容は取材時点での情報です。

【アドバイザー】

株式会社リクルート ハイキャリアコンサルタント 大原 健(おおはら けん)

大学院卒業後、某食品会社に入社。研究職として商品開発および基礎研究に携わった後、リクルートに中途入社。ハイキャリア部門のエンジニア領域のコンサルタントを担当後、一貫してハイキャリア部門のセールス担当のコンサルタントとしてキャリア支援に従事。

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