異動や出向、転籍した場合の履歴書の書き方とケース別の例文 

履歴書 異動 書き方

転職活動で履歴書を作成する際、職歴欄に「異動」「出向」「転籍」といった経歴をどのように記載すればよいか迷う人も多いようです。異動・出向・転籍それぞれの書き方、迷いがちなポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

異動はどこまで履歴書に記載する? 

応募書類に記載する「人事異動」とは、社内における配属部署・役職などの変動を指します。主に次のものが該当します。 

  • 同一事業所内での部署異動 
  • 事業所間の異動 ※転居を伴う場合は「転勤」 
  • 昇進/降格 
  • 出向 
  • 転籍 

履歴書の職歴欄は、所属企業と在籍期間を全て記載する必要があります。書ききれない場合は、職歴欄が大きい履歴書フォーマットを選ぶか、詳細を職務経歴書に記載するという方法があります。 

異動の場合は分かりやすさを重視

履歴書を作成する際には「見やすさ」「分かりやすさ」を意識することが重要です。異動歴を含めて職歴を全て記載することが基本ですが、異動歴が多い場合に、書き方によっては転職歴と混同される可能性もあるので注意が必要です。異動の場合は1字下げて「○○支社に異動」と記載するなど、異動とすぐに分かるように明記しておくといいでしょう。 

学歴・職歴
20XXX○○株式会社 入社 
 東京本部 第一営業部に配属
20XXX 静岡支社に異動 掛川エリアを担当 
20XXX 名古屋支社に異動 第二営業部に配属
20XXX 新潟支社に異動 六日市エリアを担当
20XXX○○株式会社 一身上の都合により退職 
20XXX株式会社△△商事 入社 
現在に至る 

応募企業に活かせる場合は必ず記載

異動歴が多くさまざまな部署・職種を経験している場合、履歴書に全てを書く必要はありませんが、応募企業の採用ポジションに関係する異動歴は記載しておくといいでしょう。 

例えば、担当顧客や対象エリアなど、応募企業の採用担当者が見たときに「自社で活かせる」と判断してもらいやすい経歴については、アピールする価値があります。求人を確認し、活かせそうな経歴については積極的にアピールしましょう。 

「出向」「転籍」も記載する

「出向」「転籍」など就労先企業や所属企業が変わった場合も、履歴書の職歴欄に記載します。出向して元の企業に戻った場合も省略せず、出向した旨を「出向時期」「帰任時期」とともに明記しましょう。 

中には、「出向」「転籍」に対して「左遷されたと思われるのではないか」と不安を抱き、応募書類に記載するのをためらう方もいるようです。しかし、社員の成長促進やキャリア構築、グループ企業との連携強化を目的とした出向・転籍も多く、履歴書に記載してもマイナス評価につながるとは限りません。 

むしろ近年は、「変化への対応力」が重視されるようになっており、単一の部署経験よりも出向や転籍など多様な経験を評価する企業もあるため、出向や転籍をきちんと書いておきましょう。 

【異動・出向・転籍】ケース別履歴書への書き方例

異動・出向・転籍を経験している場合の、履歴書の書き方の見本をご紹介します。 

異動の場合の履歴書の書き方例

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX人事部に異動 新卒採用業務を担当 

出向の場合の履歴書の書き方例

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX▲▲株式会社に出向 営業企画部に配属 
20XXX●●株式会社に帰任 事業企画部に配属 

転籍の場合の履歴書の書き方例

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX▲▲株式会社に転籍 営業部にチームリーダーとして配属 

【出向を経て転籍した場合】

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX▲▲株式会社に出向 営業企画部に配属
20XXX▲▲株式会社に転籍 営業企画部に配属 

【吸収合併により転籍した場合】 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX▲▲株式会社に吸収合併され、同社に転籍 営業部に配属 

【分社化により転籍した場合】 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 ○○事業部に配属 研究開発を担当 
20XXX○○事業部の分社化により▲▲株式会社となり転籍 

異動に伴い役職が変わった場合の書き方

異動に伴って役職が変わった場合は、以下のように記載します。 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業部に配属、主に都内の新規開拓を担当 
20XXX関西支社に異動 営業課長に昇進 

なお、役職名を記載する際には「昇進」「昇格」を混同することがあります。「昇進」とは、上位の役職に任命され、役職名が変わることを指します。「昇格」は、職能等級制度などに基づき、等級が上がることを指します。履歴書に記載するのは「役職」であり、等級が上がっても役職が変わっていない場合は記載する必要はありません。 

異動の履歴書の書き方Q&A

異動経験について履歴書に記載する際、抱きやすい疑問についてお答えします。 

転勤で何度も異動した場合は?

転勤回数が多い場合、担当する職務が大きく変わったり昇進したりしているのであれば記載します。ただし、担当業務が大きく変わらず所属する組織が変わった程度であれば省略してもかまいません。 

例えば、業務内容は同じで「A支店」「B支店」「C支店」への異動・転勤があった場合は、合計3行を使うことはせず「○○支店に異動」と1行にまとめて記載しましょう。 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 営業として○○・△△・□□の支店に勤務 

店舗異動の場合は書かなくてもいい?

店舗間の異動の場合、職種が変わらなければ複数店舗を1行にまとめて記載するといいでしょう。店長などに昇進した場合は、その旨を明記します。 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社入社 販売スタッフとして○○店・△△店・□□店に勤務 
20XXX□□店・店長に昇進 

所属企業が合併した場合はどうする?

所属企業が他社に吸収合併され、合併先企業に転籍した場合は、「○○株式会社に吸収合併され、同社に転籍」と記載します。 

一方、以前に所属したことがある企業が吸収合併によって社名が変わっている場合、現社名もしくは旧社名のいずれかをカッコ書きで補足します。 

学歴・職歴
20XXX●●株式会社(現・株式会社▲▲)入社 
学歴・職歴
20XXX株式会社▲▲(旧・●●株式会社)入社 
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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。