経営企画職への応募書類に志望動機の記載を求められた場合、どのように書くと評価につながるでしょうか。リクルートエージェントのキャリアアドバイザーが、志望動機の書き方のポイントを解説します。志望動機の例文や、経営企画職の採用トレンド、求められる経験・スキルなども併せてご紹介します。
経営企画職の仕事内容
経営企画職の仕事は、大きく次の4つの領域に分けることができます。
※一般的な領域で分類していますが、以下に分類されない領域・カテゴリもあります。
- 事業・経営の成長戦略の立案・遂行…中長期の経営戦略や事業戦略の立案、新規事業の企画・推進、海外進出の計画策定・遂行など
- M&A、投資…投資先の調査・選定、ポートフォリオ戦略の立案と実行など
- 経営管理…計数管理、与実分析など
- 組織や事業構造の改革…BPRやBPO、DXなどを取り入れた組織・事業のスマート化、効率化の計画・実行など
これらの業務を「経営企画」と名のつく組織で分担して行っている企業もあれば、一部を経営企画ではない別の部署が担っている企業もあるなど、組織体は企業ごとに異なります。そして、中途採用においては、これらの領域、あるいはより細分化された役割のうち、「企業が求める役割に必要なスキルや経験を応募者が持っているか」という観点でマッチングがなされる傾向にあります。
経営企画職の採用トレンドと求められる経験・スキル
経営企画職の近年の採用ニーズや、求められる経験・スキルには、次のものが一例として挙げられます。
採用ニーズと転職トレンド
経営企画の各領域の求人が堅調にある中、近年ニーズが増加傾向にあるのは、戦略立案、M&A、投資、新規事業企画など、事業変革に関わる業務の経験者です。新型コロナウイルス感染症の流行の落ち着き、自社の事業における日本市場の飽和、事業の硬直化に伴う新しい事業の必要性など、背景は企業によって様々ですが、企業の成長に向けて組織や事業の変革を目指す企業が見られることから、これらの業務を担える人材を求める傾向がやや目立つ状況にあります。
加えて、ESG領域の経験者のニーズも増加傾向にあります。背景には、ESGの観点と経営戦略との接続や、ESGスコアの向上などを志向する企業が増えていることが挙げられます。
他方で、事業の変革・成長においては、攻めるばかりではなく、その状況の検証・管理も強化していく必要があります。したがって、先述した4つの領域のどの領域に強い人材を企業が必要としているかは、各社の成長戦略の進め方や段階によって異なります。
求められる経験・スキル
先述したとおり、経営企画職に求められる経験・スキルは、企業によって異なります。例えば、同じ「新規事業担当」の募集であっても、企業によっては、0→1ができる人を必要とする場合もあれば、1→10ができる人を必要とする場合もあります。また、1→10ができることに加えてプロモーションに関する知見がある人が好ましいという企業や、買収した企業と新規事業を作っていく上で事業投資の経験を必要とする企業もあるなど、求められる経験は様々です。あるいは、組織改革を担う人材の求人の場合も、企業によって経営企画以外の管理部門や、外部からBPR、SCM、PMIといった経験を歓迎する場合もあります(コンサルティングファーム出身者など)。
したがって、「自身のコアスキルは何か」「コアスキル+αでできることは何か」を整理することと、応募企業が求めている経験・スキルを把握し、それに応えられる経験・スキルが自分にあるかどうかを見極めて応募・アピールすることが重要です。幅広い経験を積んできている場合も、「何と何ができる人か」を明確に伝えることで、企業は自社にマッチしているかどうかを判断しやすくなるでしょう。
また、「戦略的な思考」「プロジェクトマネジメント」「リーダーシップ」などのポータブルスキル・経験は、多くの企業が期待しているものでもあるため、これらを発揮した経験は積極的に伝えるとよいでしょう。
志望動機の基本構成
履歴書や職務経歴書で志望動機を伝える際には、次のような構成で記載すると採用担当者の納得を得やすくなります。
書き出し
応募企業に魅力を感じているポイントを簡潔に記しましょう。いきなりエピソードから書き始めると、文章に締まりがない印象を与えます。
応募企業を選んだ理由
応募企業を選んだ理由を伝えます。そのためには、これまでの経験も踏まえつつ、「抱いている課題意識」「自身が仕事で大切にしたいこと・こだわりたいこと」などを挙げた上で、応募企業であればそれを実現できると考えていることを記載するといいでしょう。
活かせる経験・スキル
自身の経験・スキルが、応募企業でどのように活かせるかを伝えます。そのためには、これまで培ってきた経験・スキルと、応募企業で求められている要素との共通点を見つけ出すことが大切です。求人情報を確認し、マッチする経験・スキルがあれば、前面に押し出してアピールしましょう。
なお、企業が求めている経験・スキルとの共通点が見出しにくい場合には、「仕事の進め方」「企業理念」などに着目し、別の切り口から接点を見つける方法もあります。
入社後に実現したいこと
最後は応募企業で働く意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。
経営企画経験者が志望動機を書く際のポイント
応募企業が求めている経験・スキルの有無が重視される傾向にある経営企画職の転職において、書類選考で注目されることの一つとして挙げられるのは、「企業が任せたい仕事ができるのか/できる可能性があるのか」です。
したがって、志望動機を書く際も、応募企業が求める経験・スキルと自身のスキルや強み、これまで担ってきた役割がマッチすることを伝えましょう。企業によって「経営企画」という言葉が表す範囲は異なるため、相互理解のために、強みを持つ領域や担ってきた役割は少し噛み砕いて伝えるとよいでしょう。
また、反対に応募企業が求めるものにそぐわない内容を書くと、印象や評価を下げる要因になる可能性があるため、注意が必要です。
経営企画職の志望動機の例文
上述したポイントをふまえて、経営企画職への志望動機例文を紹介します。
DXによる業務改革により、事業のさらなる成長を目指す貴社の方針に共感し、志望いたしました。これまで、複数の企業の経営企画部門で新規事業戦略の立案やDXによる組織・業務改革プロジェクトなどを行ってきました。
マネジャーとして企画段階から事業責任者を始め関係者と協働してデジタル化による業務改善を企画・実行してきた経験を活かし、貴社が目指すDXによる業務改革と事業成長に貢献したいと考えております。
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大竹芳菜
サービス、化粧品、人材業界でインストラクターやアドバイザーとして就業後、2006年株式会社 リクルートエージェント(現株式会社 リクルート)入社。コンシューマー領域(消費財、サービス、金融不動産他)の法人営業を経て、ハイキャリア領域コンサルタントに。現在はコンシューマー領域における戦略系企画人材及び法人を担当。
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