転職活動では、履歴書に記載した住所や電話番号、メールアドレスをもとに応募企業とやりとりを行うため、相手に分かりやすく正確に記載する必要があります。履歴書の住所欄や連絡先の基本的な書き方に加えて、引っ越しや住所変更を予定しているときなど、ケース別の書き方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
履歴書の住所欄の書き方
履歴書には住所欄が用意されていることが一般的であり、正確な情報を応募企業に伝える必要があります。履歴書に記載した住所には、応募先企業から入社に向けた案内書などの郵便物が届くことや履歴書に記載された住所で入社手続きが行われることが多いため、書き間違いのないように注意するようにしましょう。
住所欄の書き方のポイント
住所欄の書き方のポイントについて解説します。
都道府県を略さない
市区町村によっては、どの都道府県なのかすぐに判断できない可能性があります。履歴書の住所欄は、都道府県名を略さずに記載しましょう。
数字やハイフンは見やすさや統一性を重視
住所の表記は「○丁目○番○○号」正式な表記で書くことが基本です。「○-○-○○」などと省略しないようにしましょう。
番地や部屋番号の表記に算用数字・漢数字のどちらを使うかに関しては、履歴書が横書きであることから算用数字の方が読みやすいため、算用数字で記載するのが一般的です。
マンション・アパート名まで記載
集合住宅の場合は、マンション名・アパート名を省略せず、正式な名称を記載します。名称が長く1行でおさまらない場合は、住所欄を2段に分けて書いても問題ありません。2段で書くなら、住所を上段に、建物名を下段に書くと見やすいでしょう。
<書き方例>
〒 XXX-XXXX
東京都○○区 △△町×-×× □□レジデンス××号室
ふりがなの記載欄がある場合は番地の前まで記載
履歴書の住所欄に「ふりがな」もしくは「フリガナ」の欄がある場合は、番地の前まで記載します。その際、欄に「ふりがな」と書かれている場合はひらがなで、「フリガナ」の場合はカタカナで記載します。
なお、マンション名やアパート名など建物の名称に漢字やアルファベットが含まれる場合は、番地の前だけでなく、マンション・アパート名のふりがなも忘れずに記載しましょう。ひらがなやカタカナの場合は、特にふりがなをふらないことが多いようです。
<書き方例>
フリガナ トウキョウトチヨダクマルノウチ リクルート
〒 XXX-XXXX 東京都千代田区 丸の内×-××-× RECRUITレジデンス××号室
連絡先欄の書き方のポイント
履歴書の住所欄は、履歴書を提出する時点での住所を記載します。履歴書の書式では「現住所」と書かれているものが多いでしょう。
それに対して「連絡先」欄は、現住所以外で常時すみやかに連絡が取れる人や場所があり、特に企業からの連絡を希望する場合に記載します。ここでは、連絡先欄の書き方のポイントについて解説します。
現住所と同じであれば「同上」と記載
現住所と連絡先が同じであり、特に現住所以外の連絡先を希望しない場合は、住所を省略して「同上」と書いておきます。空欄のままだと「書き忘れている」と受け取られる可能性があるので、現住所と同じ場合は「同上」と書き入れることも一案です。
<書き方例>
現住所 〒 XXX-XXXX 東京都○○区 △△町×-×× □□レジデンス××号室
連絡先 〒 同上
仮住まいをしている場合は仮住まい先の住所を記載
例えば「長期出張で短期賃貸マンションを利用している」「単身赴任で週末等に自宅へ戻る生活をしている」など、住民票と実際に住んでいる住所が異なる場合は、一般的には「現住所」に住民票の住所を記載し「連絡先」に現在住んでいる住所を記載する方法もあります。
また、「転職活動のため一時的に実家や親せき、知人宅に身を寄せている」など、現住所とは異なる場所に住んでいる場合も、「連絡先」に仮住まい先の住所を記載します。仮住まい先の表札の名字が自身の名字と異なる場合は、「○○方」と付記しておけば、自分宛の郵便物も受け取れるでしょう。
<書き方例>
現住所 〒 XXX-XXXX 東京都○○区 △△町×-×× □□レジデンス××号室
連絡先 〒 XXX-XXXX 東京都□□区 ○○×-××-×× ○○方
引っ越し予定がある場合の書き方のポイント
住所が変わる可能性がある場合も、履歴書の住所欄に記載するのは「応募時点で住んでいる住所」です。状況に応じて、次のように記載しましょう。
これから引っ越しを検討している場合
転居先が決まっていなくても、転居予定がある旨と転居予定時期を、「本人希望欄」に記載しておくことも一案です。応募先企業は、住所を見て配属する勤務地や通勤するのに無理がないかを判断することもあるため、転居を検討している場合はあらかじめ伝えておいてもいいかもしれませんいでしょう。その場合は、必要に応じで転居先が決まり次第、採用担当者に連絡をすることも一案です。
すでに転居先が決まっている場合
選考中に住所が変わることが確定している場合は、その旨を「連絡先」欄に記載します。「○月○日に転居予定」「○月中旬に転居予定」などとして、新しい住所を記載しておきましょう。
<書き方例>
現住所 〒 XXX-XXXX 東京都○○区 △△町×-×× □□レジデンス××号室
連絡先 〒 XXX-XXXX 東京都□□区 ○○×-××-×× ○月○日に転居予定
勤務先によって住所変更をする場合
全国勤務可の求人などで、配属先に合わせて引っ越しを検討している場合は、履歴書の「本人希望欄」を使って「配属先に合わせて転居を考えています」などと記載することも有効です。配属先に希望がある場合は、「関東地方での勤務を希望しています。勤務先に合わせて転居を考えています」などと補足しておきましょう。
電話・メールアドレス欄の書き方
電話・メールアドレスの記入欄の書き方について解説します。
電話番号の書き方のポイント
電話番号は、「03−0000−0000」「090−0000−0000」というように、算用数字をハイフンで区切って記載するのが一般的です。自宅に固定電話がない場合、携帯電話番号のみの記載で問題ありません。仕事などで通話できない時間帯がある場合は、電話番号の下などに通話可能時間を書いておくと丁寧です。
<書き方例>
電話 090−0000−0000
(XX時〜XX時に通話が可能です)
メールアドレスの書き方のポイント
応募先企業との連絡は電話かメールで行うのが一般的です。特に、在職中に転職活動を行っている場合、時間帯によっては企業からの電話を受けられないこともあります。メールでの連絡を希望する旨を伝えておけば、スムーズにやり取りすることができるでしょう。
履歴書にメールアドレスの記入欄が設けられていない場合は、「連絡先」欄の空きスペースを使用します。「メールアドレス:」「E-mail:」として、その後にメールアドレスを記載してください。
なお、携帯電話が提供する「キャリアアドレス」(メールアドレスの「@」の後が、携帯キャリアのアドレスであるもの)は、設定によって採用担当者からのメールが受信できないこともあるので、注意しましょう。また、在職中の場合は在職中の会社のメールアドレスは使用せず、個人のメールアドレスを使うようにしましょう。
<書き方例>
メールアドレス:career_taro_0201@XXXX.com
履歴書の住所・電話番号・メールアドレス欄に関するよくあるQ&A
履歴書における連絡先の記入の仕方について、よくある質問にお答えします。
A.早めに企業の採用担当者に連絡して、応募書類の再提出の依頼があれば、住所を新しいものに変更して履歴書を提出しましょう。転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアアドバイザーに忘れずに連絡をしましょう。こうした場合の連絡手段は、聞き間違いを防ぐために、電話よりもメールをおすすめします。
A.どのようなメールアドレスでも基本的には問題ありませんが、趣味用のメールアドレスがビジネスシーンに相応しくない場合は、新たに取得することも一案です。また、新たにメールアドレスを取得して利用する方が、転職活動をスムーズに進められる可能性もあります。受信箱を趣味用・転職活動用で分けることができて、大切なメールを見落としにくくなるほか、趣味のメールに気を取られることなく、転職活動に集中しやすくなるかもしれません。
A.例えば「東京に本社があるリモート勤務可の企業に、福岡から応募する」といった場合、応募書類の段階で福岡の現住所を記載した上で、本人希望欄を使って「リモート勤務を希望します」と伝えると良いでしょう。
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粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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