1分自己PRをまとめるポイントや気を付けたいこと解説【スキル別回答例あり】

自己PR 1分

転職活動の面接では「1分で自己PRをお願いします」「簡単に自己PRをお願いします」などと言われることがあります。企業はなぜ1分など短い時間での自己PRを求めるのか、自己PRを1分にまとめるためのポイント、職種別の回答例などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

1分の自己PRで企業は何を見ているのか

まず、企業が中途採用の面接で自己PRを求める理由を理解し、さらに企業が1分などの短い時間での自己PRから確認していることについても知っておきましょう。

企業が自己PRを求める理由

企業が面接で自己PRを聞くのは、求職者が自覚している「強み」を通じて「入社後に活躍できるか」「自社とマッチして定着するか」を判断するためです。 すなわち、自己PRの内容やレベル感が、自社が求める水準に達しているか、求めているものにマッチしているか。また、求職者の仕事の進め方や仕事に取り組むスタンスが、自社のカルチャーにフィットするかなどを見極めようとしています。

1分の自己PRで企業が確認していること

「1分」「簡単に」など、短い時間で自己PRを求められることは転職活動の面接でしばしばあることです。

短い時間での自己PRは、求職者の能力や適性を短時間で評価するための方法の一つです。「自己分析と自己表現能力」「タイムマネジメント」「プレゼンテーションスキル」など、自分を的確にアピールし、求められる要素を端的に伝えることができるかなどを確認していると考えられます。 さらに、面接における「転職理由」や「志望動機」など一連の質問への回答と、自己PRとの間に一貫性があるかどうかも知りたいことの一つです。求職者の個性や人柄を知るための材料とするでしょう。

自己PRを1分でまとめるポイント

1分など自己PRを短い時間にまとめる際のポイントをご紹介します。

結論=強みから語り、簡潔にまとめる

自己PRは、最初に「結論=自分の強み」を端的に伝えることが重要です。まずは、自分の強みの根拠となる「理由・背景・エピソード」をまとめます。

アピールする強みは1つに絞る

アピールしたい強みは、1つに絞ることが大切です。「専門性や企画力、コミュニケーション能力も…」と関連性のない長所を複数挙げると、かえってポイントがぼやけてしまうので注意しましょう。 また、冒頭で伝える強みを「コミュニケーション力」「柔軟性」「責任感」など抽象度の高い表現にしてしまうと、独自性に欠け、印象に残りにくくなってしまいます。「コミュニケーション力」であれば、自分が得意とするコミュニケーションとは何かを分析し、具体的な言葉に落とし込んでキャッチフレーズ化すると良いでしょう。

【キャッチフレーズ化の例】

コミュニケーション力:「顧客の気持ちに寄り添う提案力」「潜在ニーズを引き出すヒヤリング力」
真面目:「日々コツコツ取り組み成果に繋げられる力」
協調性:「関係者全員が満足できるように現状の改善を目指すスキル」

具体的な数値やエピソードを入れる

自己PRに具体的な数値やエピソードを組み込むことで、アピールしたい強みが現実的で信頼性のあるものとなります。具体的な成果や実績を示すことで、自身の能力や貢献度をより客観的に示すことができるでしょう。

企業に自分の強みをどう活かせるか伝える

自己PRの中で、今後その強みをどのように活かしていきたいか、企業にどのような価値をもたらすかを示すことも重要です。自分の強みが、長期的なキャリア目標とも連動していることもアピールしましょう。

300~350字の文字数でまとめる

面接で自己PRを聞かれた時に、短い時間で簡潔に伝えるためには、事前に原稿を作っておくとスムーズです。目安として、1分前後で語れる内容を文章に書き起こすと、おおよそ300~350字になります。 面接の場面では、途中で聞き手とアイコンタクトをしたり、リアクションを見て「今の話では伝わらなかったかな」と思ったら、言葉を重ねて補足する必要が生じたりすることもあります。普段よりゆっくりと明瞭に話すことを想定し、余裕を持って語れる原稿を作成しましょう。

自己PRを1分で伝える際に気を付けたいこと

1分などの短い時間の自己PRで伝える際に気を付けたいこと、効果的な話し方をするためのコツを紹介します。

ゆっくり・はっきり・抑揚をつけて話す

はっきりと落ち着いて話し、ゆっくりとしたペースで自己PRを行うことで、相手が理解しやすくなります。語尾まではっきりと発音し、自信のある話し方でアピールしましょう。

近年は、オンライン面接も増えており、早口で急いで話してしまうと、伝えたいことが鮮明に伝わらないこともあります。ゆっくり・はっきり・抑揚をつけて話すことを心がけましょう。

表情・視線・口癖に気をつける

自己PRに表情や手振りなどのしぐさを織り交ぜることも大切です。声のトーンにも気を付け、明るい表情と声で話すようにしましょう。視線は面接担当者の目を見て話します。また、面接の場に適切ではない口癖などがまざってしまうと、話が聞き取りにくくなったり、ビジネスの場にそぐわない印象を与えてしまったりすることもありますので、意識して話すようにしましょう。

事前に練習をする

伝えたい内容がまとまったら、実際に原稿を口に出して、1分前後にまとまるかチェックをしてみます。長過ぎはNGですが、短すぎても「やる気がないのでは」というマイナス印象を与えてしまう可能性があります。削っても良い部分と、より強く伝えたい要素のバランスを意識して調整することが大切です。 原稿を丸暗記する必要はありませんが、ポイントと流れを頭に入れた上で、聞き手の理解しやすさを考慮して自然な流れで話せるように、事前に繰り返し練習をしておきましょう。

面接の1分自己PRの回答例

面接の1分自己PRで、アピールしたい「スキル・能力」にフォーカスした回答例を紹介します。こちらを参考に、自身の強みやエピソードを工夫して作成してみましょう。

「リーダーシップ」の自己PR回答例(営業職)

【結論=自分の強み】
私の強みは、メンバーを統括し、組織を推進するリーダーシップです。

【背景・エピソード】
ある大手企業の受注金額○千万円の新規プロジェクトに対して、5社によるコンペが行われました。そこで営業部、営業企画・マーケティング、エンジニア、デザイナーのプロジェクトチームを発足させ、私がリーダーとしてフロントとしてメンバーを取りまとめ、顧客への提案を推進しました。社内での目線合わせ、適切な人材配置、納期管理、チームワークが発揮できる関係性構築を進め、顧客に最適かつ質の高い解決策を提示することができました。

【成果・実績】
その結果、受注に至り、顧客のグループの紹介も受けて、○千万円の売上拡大に貢献することができました。

【どう活かせるか】
御社でも、個人による属人的な営業を超え、リーダーシップスキルを活かして、組織を率いて売上を拡大させる成功事例を作っていきたいと考えています。

「プロジェクトマネジメント力」の自己PR回答例(技術職/PM)

【結論=自分の強み】
○○業界の業務に対する知見が豊富で、IT戦略立案からシステム提案、要件定義までのプロジェクトマネジメントを得意としています。

【背景・エピソード】
SEからPL、5年前からはPMとして10数年間に渡り、○○業界の様々な顧客のシステム開発を手がけてきました。数名から20名程度で金額は○万円ほどの中小規模のプロジェクトや、大手金融機関のプライム案件に顧客の業務分析から入り、業務改善提案やIT戦略全体の立案、要件定義、運用の提案などに携わってきました。

【成果・実績】
高品質なサービスを提供してきたこと、マネジメントに対する顧客からの評価は高く、○%超のプロジェクト継続率を達成しております。

【どう活かせるか】
○○業界で積み重ねた知見と、コンサル領域からPMまで対応できるプロジェクトマネジメントスキルを活かし、顧客により高い付加価値を提供して御社の事業拡大に貢献したいです。

「実行力」力の自己PR回答例(人事部門)

【結論=自分の強み】
事業理解に基づいた人事戦略の立案と周りを巻き込む実行力が私の強みです。

【背景・エピソード】
HRBPとして新規○○事業の立ち上げに関わり、部門の事業課題や、組織課題に基づく採用計画、オンボーディング、定着率向上の施策立案、研修、人事評価制度の浸透を担当しました。事業理解を深めるために、事業トップとの定例ミーティング、マネジャー陣の人事業務への協力体制を構築し、3年間をかけて部門の組織体制や風土づくりに取り組みました。

【成果・実績】
1年目は定着率が低い状態でしたが、事業トップやマネジャー陣が組織作りの重要性を理解し、主体的にアクションすることで定着率が○%向上、従業員満足度も○%向上させることができました。
【どう活かせるか】
今までの経験と周りを巻き込んで推し進める実行力を活かして、御社でも社員の定着率の向上と、一体感ある組織風土づくりに貢献したいと考えています。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。