履歴書の形式によっては、「長所」を記載する欄が設けられていることがあります。採用選考に臨むにあたり、「長所」をどのように記載すれば効果的なアピールとなり得るのか、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスをいただきました。面接では長所とあわせて「短所」を聞かれることもありますので、「短所」の伝え方もご紹介します。
長所・短所一覧
長所・短所を表現するワードの一例をご紹介します。
仕事における自身の行動傾向と一致しているものを選んでください。
- 親密性(人とじっくり付き合える/温かみがある)
- 現実思考 (実現可能性を追求する)
- 慎重性(注意深く、計画的に取り組める)
- 冷静沈着(常に落ち着いて考え、行動できる)
- 俊敏性(スピード第一で行動できる)
- 継続力(決めたらとことんやり続けられる)
- 受容力(広く受け入れられる)
- 社交性(多様な人とオープンに交流できる)
- 悠然(焦らずゆったり構えていられる)
- 挑戦心(高い目標にも果敢に挑める)
- 自己信頼(信じた道を突き進める)
- バランス感覚(全体を俯瞰して考えられる)
- 感受性(場の雰囲気や人の気持ちを感じ取れる)
- 高揚性(気分を高められる)
- 決断力(迷わず決めて推進できる)
- 柔軟性(変化を受け入れて対応できる)
- 自律的(主体的に行動できる)
- 独創性(自身の発想で新たなものを生み出せる)
短所一覧
- 心配性
- 優柔不断
- マイペース
- 緊張しやすい
- 負けず嫌い
- せっかち
- 協調性が足りない
- 頑固
- 視野が狭い
- 面倒がり
- 神経質
- 流されやすい
- 飽きっぽい
- 単純
- 自己主張が強い
- 無鉄砲
- おおざっぱ
- 考えすぎる
長所と自己PR(強み)の違い
面接で、「あなたの長所は何ですか?」「自己PRをしてください」など、面接担当者によって聞き方が異なります。この2つに違いはあるのでしょうか。
実のところ、質問する側も明確に区別していないことが多いようです。しかしながら、「長所」と「自己PR」、両方の質問を投げかけられることもあります。大まかには次のように区別して整理しておくといいでしょう。
長所
性格・気質など。「仕事に取り組む基本姿勢」「人との関わり方」といった観点で、人柄が伝わるように表現するようにします。企業はこの質問を通じ「自分を客観視できているか」「社風にマッチするか」などを見ています。
自己PR
仕事であげてきた成果と、成果につながった具体的な行動プロセス、身につけたスキル・経験などを伝えます。企業は「経験・スキルを自社の業務で活かせるか」を見ています。
履歴書に長所・短所を記載する場合の書き方
履歴書に長所・短所を記載する場合、数多く挙げると、採用担当者は人物像をつかみにくくなります。1つに絞った方がいいでしょう。記載する際には、次のポイントを心がけてください。
長所は「結論→エピソード→どう活かすか」の順で構成
履歴書に記載する内容は、面接の場で深く聞かれることもあります。面接で「長所」を聞かれた場合に備え、どのように答えるか、「ストーリー」を組み立てましょう。
長所を聞かれた場合は、次の流れで回答を構成すると伝わりやすく、納得を得やすくなります。
- 「私の長所は○○です」という端的な結論
- 根拠となる理由・背景・エピソード
- 長所を活かしてあげた成果・実績
- 長所を活かし、入社後にどのような「貢献」をしたいか
面接では1~2分程度で話せるように整理しておいてください。
そのうえで、履歴書に記載する場合は1~3を簡潔にまとめるといいでしょう。
短所は改善する姿勢も添える
企業が応募書類に「短所」の記載を求めたり、面接で「短所」を聞いたりする場合、それによって合否判断しようと考えているわけではありません。短所そのものより「自己分析力」に注目し、短所(弱み)を克服しようとする意識やスタンスがあるかどうかを知りたいと考えています。
短所を一言で伝えるだけでなく、その短所が仕事にマイナスの影響を与えないようにするため、どのような行動を心がけているかを添えましょう。
自己PRとの一貫性を持たせる
「長所」と「自己PR」の両方を伝える場合、その2つの性質がかけ離れていたり矛盾していたりすると、採用担当者に違和感を抱かせてしまいます。
例えば、長所として「慎重さ」を挙げていながら、自己PRでは「行動力」がイメージされるようなエピソードを伝えていると、読み手は人物像をつかみづらくなります。一貫性を意識して伝えるようにしましょう。
長所が見つからない場合の見つけ方
「自身の長所が何なのかよく分からない」、あるいは「長所はあると思うが、言語化できない」といった場合は、次のような方法で探ってみてはいかがでしょうか。
人から褒められたことを思い出す
仕事において、上司・同僚・取引先の人などから褒められたこと、高く評価されたことを思い出してみてください。「あなたは○○が優れている」「あなたは○○な人」など、直接言われた言葉がそのまま長所といえるかもしれません。また、褒められる結果につながった行動を分析してみることで、自身の特性が浮かび上がるでしょう。
成果を出した経験から長所を探す
これまで成果を挙げた仕事について、その成果に至るまでのプロセスを振り返り、一つひとつの行動を分析してみましょう。要素を分解していくと「新たな発想」「綿密な計画」「関係者との折衝」など、うまくいったポイントが見えてくるでしょう。それを成し遂げた力が「長所」といえるのではないでしょうか。
短所を長所に言い換える
短所と長所は表裏一体です。自分の短所が気になるタイプの方であれば、その短所を「言い換える」ことで長所が見えてくるかもしれません。次の例を参考にしてみてください。
- 心配性→慎重に物事を進める、準備を怠らない
- マイペース→おおらか。周囲に流されない
- せっかち→決断が早い、スピード感がある
- 頑固→信念を持っている、粘り強く取り組める
- 面倒がり→効率のよい方法を考えられる
- 協調性がない→主体性・自律性がある
- 視野が狭い→集中力がある、探求心が強い
- 飽きっぽい→好奇心が旺盛、トレンドに敏感
履歴書に長所・短所を記載する場合の例文
履歴書に長所・短所を記載する際の例文をご紹介します。
以下の書き方を参考に、ご自身に合わせてアレンジしてみてください。
長所の例文
「計画性」の例文
「計画性」が強みであり、目標を明確にし、いつまでに何をすべきかを整理しながら進める営業活動を得意としています。目標数字に対し、平均売上単価・顧客数を割り出して「月」「週」単位に落とし込み、進捗率を確認しながら進めることで目標達成を続けてきました。
「探求心」の例文
探求心が強く、一つのテーマに集中して取り組めます。Webエンジニアとして担当したサービスでは、得意な技術を掘り下げることで新たな機能の追加を実現し、ユーザー数200%アップに貢献しました。
短所の例文
「心配性」の例文
「心配性」が短所です。プロジェクト始動時、あらゆるリスクを想定し、対策を考えてから動き出す傾向がありますが、振り返るとスピードを優先すべき場面もあったと反省しています。現在は熟考と行動のバランスを取るよう心がけています。
「マイペース」の例文
多少マイペースなところがあります。過去にはコミュニケーション不足により、上司や同僚に負担をかけてしまったことがありました。現在は意識してチームメンバーに働きかけて自身の考えを伝え、「巻き込み力」を磨くことを意識しています。
リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。
履歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
以下に履歴書作成の際に活用できる記事をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。