現職あるいはそれ以前の企業で休職した期間がある場合、履歴書や職務経歴書に書く必要はあるのでしょうか。記載する場合の書き方のほか、休職中に転職活動をする場合の注意点について、社会保険労務士・岡佳伸氏監修のもと、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。
休職は履歴書や職務経歴書に記載する?
休職した期間がある場合、応募書類に記載するようにしましょう。企業は休職期間も含めて求職者のキャリアを知りたいと考えているため、休職期間も含めた職歴を正確に伝えてください。
休職した事実や期間を伝えていなかったことが判明した場合、「経歴詐称」と捉えられることがあります。会社からの信頼を損ね、「合否の判断に影響する情報を隠していた」と受け取られる可能性もあります。
休職期間から長い時間が経過しており、休職の理由となった問題が現在解消されている場合でも、休職期間を簡単に記載しておきましょう
応募書類への休職の書き方
応募書類での休職期間の記載方法は次の通りです。
<記載例>
20××年×月~×月 休職
休職中に転職活動を始める際の注意点
休職中に転職活動をしようと考える方もいらっしゃいます。その場合の注意点をお伝えします。
休職中の転職活動はできるだけ控える
休職中でも転職活動をすることは可能です。ただし、その場合はいくつか注意点があります。
体調不良を理由に休職している場合、まずは回復を最優先させましょう。心身の健康状態は自身の思考に影響を与え、冷静な判断がしづらいこともあります。職場に復帰できる状況になり、落ち着いてから転職活動を始めた方が良いでしょう。
そもそも休職制度とは、留学やボランティアといった社外活動を行いたい場合、あるいは病気・怪我・家庭の事情などで一定期間働けなくなった場合のために用意されている制度です。休職期間中は賃金を受け取らないとはいえ、「復職」を前提としており、企業は社会保険を支払い続けている状態です。休職制度の本来の主旨から外れるという観点から、転職活動をすることは望ましくないと言えるでしょう。
応募企業には、休職の事実を隠すよりは伝えた方がいい
それでも休職中に転職活動をする場合は、応募書類に経歴として記載し、企業側に開示しましょう
転職先企業に入社する際、前職の年収を確認する目的で、源泉徴収票の提出を求められることがあります。源泉徴収票には1年間の給与総額が記載されています。休職期間中は、給与は支払われないため、面接など事前に伝えていた年収より大幅に金額が少なければ、理由を尋ねられ、休職期間があることが明らかになってしまいます。ほかにも、「住民税の納税額」「傷病手当金の受給歴」などから発覚するケースもあります。
また中途採用では、これは現職または前職の企業に問い合わせて過去のキャリアや仕事ぶりなどを確認するもので、リファレンスチェックが実施されれば休職中であることが「重要なことを隠していた」と思われれば、信頼が損なわれ、採用のチャンスを失うかもしれませんので、休職の事実は企業に伝えておくことが重要です。
関連リンク
履歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
以下に履歴書作成の際に活用できる記事をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
岡 佳伸(おか よしのぶ)氏
大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。