履歴書の「賞罰」欄には何を書けばいい?選考には影響する?【社労士監修】

履歴書 賞罰

履歴書の様式によっては、「賞罰」の欄が設けられていることがあります。「賞罰」欄にはどのような経歴を、どのように記載すればいいのでしょうか。また選考には影響するのでしょうか。社会保険労務士の岡佳伸氏に解説いただきました。

履歴書の「賞罰」欄とは?

厚生労働省の「公正な採用選考の基本(※1)」では、公正な採用選考を行うために、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないことを、企業に対して呼びかけています。そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄については、企業は応募書類や面接などで質問してはなりません。「賞罰」の「罰」は応募者の適性・能力には関係しないことから、回答する必要はないと言えます。

また、厚生労働省が公開している履歴書フォーマットや、インターネットでダウンロードできる履歴書の多くには「賞罰」欄はありません。 ただし、一部の履歴書には「賞罰」欄が設けられているものもあります。「賞罰」欄が設けられている履歴書を使う場合の、「賞罰」欄の書き方についてご紹介します。

賞とは?

「賞」とは、過去の受賞歴や表彰歴などです。明確な決まりはありませんが、履歴書の「賞罰」欄には社会的認知度が高い受賞歴・表彰歴を記載することが多いです。例えば、全国大会・国際大会などでの受賞・表彰、国や自治体などからの表彰、官公庁から受けた感謝状なども含まれます。社会的認知度は高くなくても、業界のコンテストなどは、応募先の業界の誰もが知るような権威あるものであれば、自己PRにもつながりますので記載してもいいでしょう。

罰とは?

「罰」とは、過去に刑罰が科された経歴を指すことが一般的です。懲役や禁錮、罰金などの判決を受けた刑事罰などを指すことが多く、不起訴になったもの、執行猶予期間が終わったもの、裁判中のもの(有罪が確定していない)、少年犯罪歴などは該当しないケースが多いです。なお、懲戒処分歴は刑事罰ではありません。

交通違反に関しては、減点6点以上が刑事罰(罰金刑)となります。例えば、無免許運転や酒気帯び運転など、減点6点以上の刑事罰に該当する違反は罰に該当します。6点未満の軽い交通違反であれば「行政処分」に該当し、罰にはあたりません。 前述の通り、「罰」は本来記載する必要のない項目です。厚生労働省が公開している履歴書フォーマットなど、賞罰欄のない履歴書が一般的となっています。

「賞罰」欄を記載したい場合の書き方例

「賞罰」欄に記載する場合の書き方の一例をご紹介します。 前述の通り、「賞罰」欄は記載しなくても良いものです。賞は自己PRにもなりますので記載することも一案ですが、罰に関しては、業務遂行に影響がない場合は、自分自身の判断で企業に伝えておくかどうか検討してみてください。

賞に該当する例と書き方

 
20XXX第○回 ○○○大会で金メダルを獲得       
 
20XXX第○回 ○○分野の文部科学大臣表彰 ○○部門受賞

賞罰がない場合の書き方例

「賞罰」欄があるにも関わらず空白のままにしておくと、読み手は、該当する内容がないから空欄なのか記載漏れかを判断できません。記載する賞罰がない場合は「なし」と明記し、次の行に「以上」と記載します。

履歴書の「賞罰」欄に書くかどうか迷ったら?

賞については、記載したい内容があるなら、アピールにもなるので伝えることもできます。記入する欄は「賞罰欄」にこだわる必要はありません。「自己PR」欄や「特技」欄でもいいでしょう。例えば、「○○をXX年続けています。20XX年には○○賞を受賞したことがあります」などと記載することも一案です。

罰については、業務の遂行能力に影響がないと判断した場合には必ずしも記載する必要はありません。

「賞罰」欄の選考への影響は?

「賞罰」欄は、選考に影響するのでしょうか。賞と罰についてそれぞれ解説します。

賞の影響

受賞した賞が仕事に関連しており、業務遂行能力の証明になるものであれば、自己PRにつながります。面接で話題に上がる可能性があるので、受賞に至るまでのプロセスでどのような工夫や努力があったのかを、語れるように準備しておくといいでしょう。 ただし、受賞してから年数が経っている場合、アピールの材料にならないかもしれません。賞を記載する際には、その点に留意しておきましょう。

罰の影響

前述の通り、公正な採用選考の観点から応募者の適性・能力に関係のない事柄については、企業は質問してはなりません。ただし、罰によって業務に何らかの制限がでる場合には、選考段階で企業に伝える必要があります。

例えば、罰によって一定期間の自動車免許停止となっている場合で、その期間中に運転が業務に含まれる求人の選考を受ける際は、応募先企業に免許停止の旨やいつまで免許停止かなどを伝えておくと良いでしょう。

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社会保険労務士法人 岡佳伸事務所 岡 佳伸(おか よしのぶ)氏

大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師および記事執筆、TV出演などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。