履歴書・職務経歴書の特記事項の書き方は?空欄でもいい?14パターンの記入例を紹介

ノートパソコンを操作する人

履歴書のフォーマットにある「特記事項」欄や「本人希望記入」欄。「特記事項」欄にはどのようなことを記載すればいいのでしょうか。この欄を使用して伝えることができる事項や書き方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

履歴書の「特記事項」欄とは?

特記事項とは、「特別に記載しておく事項」のことです。履歴書の特記事項欄においては、応募企業に対して事前に伝えておきたい勤務条件や希望、働き方や経歴になどについて説明しておきたい事情などを記載します。

なお、厚生労働省の履歴書様式では「本人希望記入」欄となっており、そのほかの履歴書では、フォーマットによって「特記事項」欄、「本人希望」欄、「通信」欄などとなっていますが、いずれも使用用途は同じです。本記事では特記事項欄の場合について解説します。

履歴書の「特記事項」欄を書く際のポイント・注意点

履歴書の特記事項欄を書く際には、まず、次の点に注意しましょう。

譲れない事情・条件のみを記載する

特記事項欄には、絶対に譲れない条件のみを記載します。というのは、採用担当者は、特記事項欄から求職者が抱えている事情に対して配慮すべきことを把握しますが、同時に、求職者の入社条件が記載されている箇所と捉えることがあるからです。

したがって、応募書類の内容から、採用担当者が「面接に進んでほしい」と思える応募者であっても、特記事項欄の内容から「この条件を叶えるのは難しい」と判断されると、次のステップに進むことが難しくなる可能性があります。必須ではない希望条件を記載するのは控えた方がよいでしょう。

理由や背景を併記する

譲れない条件だけを書いていても、理由や背景がわからず採用担当者が理解・納得できない場合があります。伝えられる範囲で理由や背景を一言添えておくとよいでしょう。

客観的事実のみを簡潔に記載する

できるだけ簡潔な文章で、客観的な事実のみを記載しましょう。例えば、選考中の連絡可能時間を伝える際に、現職の忙しさを過度にアピールしたり、応募企業の事情を考慮せずに自分の希望時間帯を細かく指定しすぎたりといったことをすると、自分の都合や要求だけを主張する人と受け取られる可能性があります。

記載事項がなければ、「貴社規定に従います」と書く

記載事項がない場合は、空欄のままにせず「特になし」「貴社の規定に従います」「貴社規定に準じます」などと記載しましょう。空欄のままだと、記入漏れと区別できなくなる恐れがあります。

絶対に譲れない条件以外は面接ですり合わせる

勤務地や勤務条件などに希望があったとしても、絶対に譲れない条件でない場合は、特記事項欄には「貴社の規定に従います」と記載し、細かい条件は面接ですり合わせていくことをおすすめします。

書類選考の段階から希望条件を細かく記載していると、「条件だけを重視する人ではないか」などの懸念を企業に抱かれてしまう可能性があります。また、求職者自身にとっても、面接が進んで入社意欲が高まれば、当初の希望条件は優先順位が下がる可能性があるからです。

記載事項に関連した自己PRを添えることも一案

希望の職種、勤務地、条件など、絶対に譲れない条件を記載した際に、例えば、その職種で採用された場合の目標や自身のアピールポイント、志望動機などを簡単に書き添えることで、働き方に制約などがあっても応募企業が求める成果を挙げられることをアピールするという方法もあります。

働く条件に関する希望を伝えたい場合

ここからは、希望する条件別に、履歴書の特記事項欄の記入方法と記入例を紹介します。まずは、勤務地や職種など、働く条件に希望がある場合の記入例です。

希望勤務地がある場合

応募する職種・ポジションにおいて勤務地の候補が複数あるものの、家庭の事情などで転居や単身赴任などが難しく、特定の勤務地にしか勤務できない場合は、希望する勤務地を理由とともに記載します。

<記入例>

「○○エリア内での勤務を希望します(家族と同居が必要なため)」

希望職種を伝えたい場合

1社で複数の職種を同時に募集している場合、希望する職種があれば明記しておくとよいでしょう。職種名は、求人情報に記載されている表記を正確に書きましょう。

<記入例>

「営業職を希望いたします(これまでの経験を活かし、貴社の事業の成長に貢献できると考えたため)」

テレワークを希望する場合

求人に「テレワーク可」などと記載されている企業に応募する際に、テレワークを希望する場合、その旨を記載しておくとよいでしょう。

<記入例>

「テレワークを希望いたします(子どもの保育園の送迎の都合上)」

時短勤務を希望する場合

育児・介護中など、フルタイム勤務が難しい場合、理由とともに希望勤務時間を記載します。

<記入例>

「16時までの時短勤務を希望します(子どもの保育園へのお迎えのため)」

入社日に制約がある場合

担当しているプロジェクトや後任への引継ぎの都合などで入社時期に制約がある場合、退職予定日や入社希望日を記載します。

<記入例>

「担当プロジェクトの都合上、入社は○月○日以降を希望いたします」

給与額の希望がある場合

給与に関する希望は、文面だけでは希望する背景が伝わりにくい可能性があり、意図とは異なる解釈につながりかねないため、ひとまず「貴社の規定に従います」と記載し、より正確に説明することができる面接や面談の場で相談することが一般的です。

どうしても譲れない、転職の絶対条件となる金額がある場合は理由とともに記載することも一案ですが、応募企業からは、その人の経験やスキル、人物像などをまだ十分に把握できていない段階で希望の年収だけが書かれていることについて「年収だけにこだわる人ではないか」などと受け止められる可能性があることに留意しましょう。

通勤に関する希望がある場合

通勤に関する希望がある場合も、特記事項欄を活用しましょう。

マイカー通勤を希望する場合

マイカー通勤可としている企業であっても、駐車スペースなどの都合があるため、念のため履歴書で伝えておくといいでしょう。

<記入例>

「マイカー通勤を希望します(自宅から最寄り駅が遠いため)」

引っ越しを予定している場合

応募企業の勤務地が現住所から離れている場合、通勤が可能かどうか不安を抱かれる可能性があります。入社決定後に転居を予定しているなら、その旨を記載しておきましょう。

<記入例>

「貴社への入社が決まりましたら、通勤30分圏内の地域への転居を予定しております」

社宅への入居を希望している場合

社宅や従業員向けの寮などが設けられていて、入居を希望する場合、その旨を記載しておきましょう。

<記入例>

「社宅への入居を希望しております」
「社員寮への入寮を希望いたします」

経歴に補足をしておきたい場合

履歴書の学歴・職歴欄だけでは十分に事情を伝えることができず、補足したい場合、特記事項欄を活用することもできます。

在籍期間が短い場合

前職での在籍期間が短い場合、「不満があるとすぐに辞めてしまうのでは」などと懸念を抱かれる可能性があります。やむを得ない事情がある場合、その旨を記載しておくことも可能です。

<記入例>

「事業売却により担当業務が大幅に変更されたため、やむを得ず短期間で退職をしております」

ブランクがある場合

職歴にブランクがある場合、その間にどのように過ごしていたかを気にかける企業もあります。「ビジネス感覚が鈍っているのではないか」と思われる可能性もあるので、不安を払しょくできるように補足しておくのも一つの手です。

<記入例>

「離職期間中は、業務委託という形で知人の企業を手伝っておりました」

「半年間のブランクがありますが、○○の勉強会などには参加しておりました」

転職回数が多いと感じている場合

転職回数が直接選考結果に影響する可能性は低いですが、短期間での転職を繰り返している場合など、企業に「採用してもまたすぐに転職するのではないか」といった懸念を抱かせることになるのではないかと心配になる人もいるかもしれません。その場合、転職を重ねた理由を記載しておく方法もあります。

<記入例>

「○○領域での経験の幅を広げることを目的に、4回転職を経験しました。いずれの会社での経験も、貴社で活かせると考えております」

「○○分野のスペシャリストを目指して、外資・日系・大手・中小と4つの企業で経験を積みました」

学校を中途退学している場合

学校を中途退学している理由を説明しておきたい場合、特記事項欄に理由を添えておくことも一案です。ただし、社会人経験を長く積み、仕事での十分な実績がある場合、中途退学が選考における懸念要因となる可能性は低いため、記載は不要です。

<記入例>

「家庭の事情により経済的に通学し続けることが難しくなったため、大学を中途退学いたしました」

その他、申し送り事項がある場合

特記事項欄を活用して、応募企業への申し送り事項を伝えるという方法もあります。

企業に在職中で連絡時間が限られている場合

在職中のため時間帯によって連絡が取りにくい場合などは、連絡がつきやすい曜日や時間帯を記載しておくといいでしょう。

<記入例>

「就業中のため、平日9時~17時は電話に出られない場合があります。留守番電話やメールでご連絡いただけましたら、確認次第折り返しご連絡いたします」

入社後に定期的な通院が必要な場合

持病の通院や定期健診のため休みを取る必要がある場合は、は、その旨を記載しておくことも一案です。

<記入例>

「定期検診のため、3カ月に1度、半休を希望いたします。業務遂行に支障はございません」

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。