製造業(メーカー)に転職する場合の志望動機の書き方や職種別の志望動機例文

製造業 志望動機

製造業への転職を目指す皆さんに、「志望動機」の書き方のポイントや手順について、リクルートの製造業担当コンサルタントがアドバイスいたします。製造業の転職市場の最新動向もご紹介します。

製造業とは?製造業の分類

製造業は、素材・部品を生み出す企業から、それらを組み立てて最終製品に組み上げる企業まで多様です。
大まかに分類すると、次のような業種があります。

  • 自動車
  • 機械
  • 電機
  • 精密機器
  • 電子部品・半導体
  • 化学
  • 医薬品
  • 消費財
  • 化粧品
  • 食品・飲料
  • アパレル

今回は、製造業界の中でも特に採用が活発化している代表的な職種のエンジニアにフォーカスしてお話しします。
さまざまな業界・職種に共通する要素もありますので、参考にしてみてください。

製造業の採用動向

自動車・産業機械・精密機器・電子部品・半導体関連・化学・素材などのメーカーでは、全般的にエンジニアの採用が活発です。エンジニアのニーズが高まっている背景としては、次のようなものが挙げられます。

  • 自動車業界が変革期にあり、「EV(電気自動車)」「自動運転」などの開発を加速
  • 世界的に半導体需要が急増し、半導体不足の解消が急務。加えて、ムーアの法則が未だに続き、微細化のための開発投資も継続。半導体・半導体装置・半導体材料と関連業界すべてで人材ニーズが上昇
  • 主な販売先である北米・中国のマーケットが堅調
  • 日本が世界市場で優位性を持つ「高機能素材」のニーズが好調
  • 世界でSDGsへの意識が高まる中、「省エネ」「カーボンニュートラル」などの課題への取り組みが加速

職種分野としては、「組み込みソフトウェア」「パワーエレクトロニクス」「生産技術」「品質管理」などのニーズが高まっているほか、すべての領域のエンジニア採用が動いています。「電池」に関わるエンジニアも、幅広い企業で求められています。

業界の垣根が崩れる

かつては機械エンジニアが中心だった自動車業界で電気・ソフトウェアエンジニアが活躍しているように、技術革新に伴い、業種の垣根を越えた採用が活発化しています。
人材ニーズが高い半導体業界へ、電子部品・自動車部品・素材などのメーカーから転職している事例も多数あります。他には、電子部品メーカーにモジュール化のための機械設計者や新たな機能を生み出すための化学材料技術者が採用されたり、素材メ―カーで生産性向上のための電気・機械エンジニアが採用されたりしています。特に、組み込みソフトウェア、生産技術、品質管理などは業種が変わっても活かせるチャンスが豊富です。

40代以上の採用事例が倍増

中途採用市場では20代~30代の採用事例が多くを占めるものの、2~3年前と比較すると40代・50代の採用事例は倍近くまで増えています。その理由として、企業側からは次のような声が聞こえてきます。

「50代でも、求めている分野で実務をこなせる人であれば歓迎する」
「自社にない知見を取り入れて変革を推進するためには、経験豊富なベテラン層でなければならない」
「品質管理を強化したい。大手のノウハウを導入し、仕組み・体制を作ってほしい」

こうした企業側のニーズと、大手企業を早期退職した求職者側のニーズが一致し、転職が成立する事例が増えているのです。

製造業の志望動機の書き方のポイント

製造業のエンジニアの皆さんが応募書類に「志望動機」を記載するにあたり、どのようなポイントを意識すればいいのでしょうか。採用担当者が志望動機を読むとき、重視するポイントは年代によって少し異なります。

まず、どの年代でも「入社後に定着し、長く活躍してくれるか」という視点が中心となります。そのため、「自社についてしっかり調べて理解しているか。その上で自社に強い興味と入社意欲を持っているか」「技術素養が応用可能か」「強みが活かせるかどうか」を見ています。そのうえで、20代~30代の若手層に対しては、「これからいかに早く必要なスキルをキャッチアップしてくれるか、そのために頑張れるか」、40代以上のベテラン層に対しては、「自身の経験・スキルをどのように活かしていきたいと考えているか」を見ています。

では、応募企業に伝える「志望動機」にどのような要素を入れればよいのか、押さえておくべき2つのポイントをお伝えします。

「経験・スキルを活かして貢献したい」という意思を伝える

まずは、これまでの仕事での経験、身につけたスキルを書き出して整理し、「これからも活かしていきたい経験・スキル」をピックアップしましょう。そして、「応募企業で、自身の強みをどのように活かしていきたいか」という意思を伝えます。

ただし、貢献したいとする製品や技術分野などについて、どこまで絞り込んで伝えるかは慎重に検討する必要があります。求人情報に明記されているものであれば問題ありませんが、企業サイトなどで見た事業・製品をピンポイントで取り上げた場合、「そこは注力分野ではない」「そのポジションの人材は充足している」など、評価されない可能性があります。

応募企業で経験・スキルが活かせる部門・ポジションが複数あるケースも少なくありません。思い込みだけでポジションをピンポイントで指定すると、自ら選考の可能性を狭めてしまいます。応募書類に記載する段階では、ある程度抽象的な表現にとどめ、面接の場で採用担当者とお互いのニーズ・希望をすり合わせた方が良いでしょう。

その企業に魅力を感じたポイントを伝える

その企業ならではの特性や強みを挙げ、自身がそこに魅力を感じていることを伝えましょう。言い方を変えると、採用担当者に「自社のことをちゃんと調べて、理解してくれている」と感じさせるような内容であることです。

求人情報を読み込んで理解するのはもちろんのこと、「企業ホームページ」「企業の公式SNS」「ニュースリリース」「経営陣のインタビュー記事」など、多方面から情報収集し、自身が魅力を感じるポイントを探してください。例えば、応募企業の社史沿革を調べてみると、どのような経緯で設立され、どのように変化発展してきたか、どのような苦難を乗り切ってきたかを調べることで、その会社が大切にしていることや求める人物像が見えてきたり、今後の発展の方向が見えてきたりします。

ただし、この場合も上記で触れたとおり、事業・製品・サービスをピンポイントで挙げると、企業側がそこに関わるポジションで採用するつもりがない場合、選考で不利となりかねません。明らかに採用ニーズがあるテーマを挙げる、もしくは部門・職種問わずあてはまる企業特性――例えば「社風」「組織体制・チームワークのあり方」「経営者の理念/パーパス/ミッション・ビジョン・バリュー」などを挙げておくのも一つの手です。

製造業の志望動機の書き方の注意点

転職ノウハウを伝える書籍やWeb記事などでは、志望動機の伝え方として「その会社でなければならない理由を伝える」とアドバイスしているものも見受けられます。生真面目なエンジニアの方は、このアドバイスに忠実に従おうとする傾向があるようです。実際には複数企業に応募しているのに、「その会社でなければならない」を追求しすぎると、虚偽の志望動機を書いてしまうことにもなり、そこで悩んで立ち止まってしまうケースが見られます。

「A社でなければならい。それ以外の会社ではダメ」ではなく、「A社はここが魅力的、B社はこれが面白そう、C社はこの考え方に共感できる」といったように、それぞれの企業で共感できるポイント、魅力を感じるポイントを見つけるスタンスで臨みましょう。

職種別の志望動機の例文

職種別の志望動機例文をご紹介します。ご紹介する例文は、応募書類への記載を前提とした簡潔なものです。面接で聞かれた際、「このように考えるに至った具体的なエピソード」を語れるように準備しておきましょう。

生産技術の志望動機例文

現職では、生産技術部門の業務の一環としてCO2削減策の検討にも携わっておりました。CO2削減の最新技術を学ぶ中で興味が強くなり、この分野での知見を深めたいと考え、カーボンニュートラルに力を注いでいる貴社を志望いたしました。生産技術職としてプロセスの効率化・コスト削減の工夫を行ってきた経験を活かし、増産体制の確立に貢献したいと考えております。

品質管理の志望動機例文

品質管理として経験を積んできましたが、より難易度の高い製品を手がけたいと考えています。顧客の声をしっかりと吸い上げる体制があり、品質部門と開発部門の密な連携が取れる環境で取り組んでみたいと考えております。貴社にはそのような環境があるのではないかと思い、志望いたしました。現職では、社内の設計・生産・保守部門、社外の協力会社や顧客など多様なステークホルダーとの折衝を経験してきましたので、それにより培った調整力を貴社でも活かせると考えております。

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森重丈二

リクルーティングアドバイザーとして、大手からベンチャーまで幅広い企業に対し人材戦略コンサルティング、採用支援を手がけ、その後キャリアアドバイザー/コンサルタントとして機械、電気・電子、化学・材料、制御ソフト、ITエンジニア、営業職など技術系を中心に転職支援を行う。

アドバイザー

これまでの担当業界はメーカーを中心にIT,小売り、商社等。職種はエンジニア(電気電子、機械、化学、組み込みソフト)、ITエンジニア、コンサルタント、工場長、経営企画、マーケティング、営業、建設エンジニア、店長など多岐にわたる。

※本記事での内容は取材時点での情報になります。